抱腹絶倒の酔っ払い小説・・樋口昭雄「武装酒場」・・・Agnostic Mountain Gosp | 洋楽と脳の不思議ワールド

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酒好きなら読むべし。飲むべし。



阿佐ヶ谷の高架線下にある赤提灯「善次郎」は常連さんの多い店だ。

その日、どの常連さんも訳有でこの店に集まった。

夫婦喧嘩の果てに女房を絞殺したと思い込み、自首する前に一杯飲(や)りたいとやって来た男。

借金取りに追いかけまくられ、夜逃げの決心をしたので最後の一杯を求めてきた男。

売れないくせに、スランプに陥った貧乏小説家。

高校をすっ飛ばして、マサチューセッツ工科大学で学んだ天才物理学者。
壊れてしまったので東大教授の座を追われ、今はこの店で朝から晩まで酔い続けている。

紅一点。一流ゼネコンのOL。
超美人なのに男が寄り付かず、20代後半まで男と手さえ握ったことがない。
それなのに、年下の後輩に告白され、人生のすべてを賭けた恋をしたのに、ふられたと思い、自棄(やけ)になって顔を出した。

おかまのママと、連れで旦那気取り、喧嘩が大好きな肉屋の親父。

この店の奥にヤクザが隠したという拳銃を手に入れるため現れた、刑事と密告者のチンピラ。

店の親父はイヤな予感がする。

酔っ払いの元天才物理学者が、やくざの隠した拳銃を見つけたのが始まりだった。



酔いのせいで引き金に指がひっかかり、バンバンバン撃ちまくる。

機関銃が見つかり、手榴弾まで見つかるのだ。

時ならぬ銃撃音にびっくりしたのは近所の住民。

すぐさま通報を受けた警官が踏み込もうとしたその瞬間、機関銃が乱射され、手榴弾まで外に転がり出て爆発する。

すべては酔っ払いたちの偶然の行動がもたらした結果だが、警察はそうは思わない。

さあ~凶悪事件だってので大騒ぎになる。

酔っ払いたちは外の喧騒なぞ我関せず、自分たちだけの物騒な宴会をとことん楽しむ。

土曜の夜から始まった宴会は日曜になっても終わらない。

借金まみれの男が日曜のG1レースで穴馬ラクバフブキの単勝に有り金25万全部をぶちこんだ話がTVの中継を通して日本中に伝わる。

その穴馬が最下位の評価を覆して、先頭で第4コーナーをまわるのだ。

店の酔っ払いも、外の警官も野次馬も必死の応援。

この敵味方を越えた連帯感が実にいいのだ~感極まって涙がしとどこぼれる。

そのラクバフブキは見事優勝。

4500万の配当金を手にした男は、借金取りから逃げ回る生活からやっと抜け出せると万歳した途端、居酒屋の床が抜けて、ぽっかり空いた穴の中へ真っ逆さま。




運悪くというか、何というのか、第2次大戦で米軍が落とした不発弾がこの店の下にあるのが発覚する。

不発弾処理の自衛隊まで出動して、店の周りは騒然。

穴に落ち込んだ酔っ払いがその不発弾を見つけるのだ。

店に不発弾を運び上げたのを知った警察や自衛隊は手も足も出ない。


さあ~いよいよアッと驚く結末です。

この先は内緒。

本を買ってお読みください。

とにかく、読み進むにしたがって随所に仕掛けられた地雷を踏むので大笑いすること請け合いです。


ハルキ文庫。

定価629円+税。

2009年初版発行。

ドラマに仕立てたら面白いと思うんだけどなあ~












いちど紹介したが、カナダ、カルガリーの Agnostic Mountain Gospel Choir の Oh Sorrow。

酔っ払いの宴会風でとても気持ちのいいヴィデオだ。





まだ現役だと思うが、確認してないので断言はしない。



















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