元祖サイケデリック・・・The Blues Magoos | 洋楽と脳の不思議ワールド

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Psychedelic(サイケデリック)の名を冠したアルバムを最初に作ったバンドとして 13th Floor Elevators と共に歴史に名を刻んでいるのが、ブルース・マグースというこのバンド。
名を刻んだアルバムは写真の Psyhedelic Lollipop 。66年11月に発表された彼らのファーストアルバムだ。
ヴォーカルの Peppy Castro とキーボードの Ralph Scala の2人を中心にNYのブロンクスで64年に結成。グリニッチ・ヴィレッジで頭角をあらわし、マイナー・レーベルから2枚のシングルを発表した後、大手のマーキュリーと契約。
そしてこのアルバムを作ったというわけだ。
ルー・リードと同じ頃グリニッチにいたわけだから、ひょっとしたらヴェルベット・アンダーグラウンドとブルース・マグースを同時に聴くチャンスがあったかもしれない。
そう考えると、なんだかワクワクしてきませんか。
アルバム冒頭の曲、(We Ain't Got) Nothing' Yet がシングルカットされて全米5位の大ヒット。「恋する青春」の邦題で日本にも紹介されている。
このヒットのおかげで、67年のフーの全米公演の前座に抜擢。
しかし、英国では売れなかったそうだ。
そこでステイタス・クォーの前身 The Spectres がカバーし、67年の2月に英国発売されたそうなんだけど、これもだめだったらしい。
しかし、ディープ・パープルの Black Night のギターリフに影響を与えた曲として知られているので、ガツーンと来た人たちも多かったのだろう。
サイケはギターの音色に特色があるとボクは思っているのだけど、このファースト・アルバムはそんなにサイケ色が強いとは思えない。
13th は登場した時からサイケの音だし、サイケといわれたウェストコーストのジェファーソン・エアプレインやクィックシルバー・メッセンジャーズと比較してもサイケ色が特に濃いとは思えない。
とはいってもA面3曲目の Tabacco Road やB面トップの Gotta Get Away 、2曲目の Sometimes I Think About なんて曲はサイケそのものなんだけど。
ただ全体を通して聴くと、ブリティッシュ・ビートの影響が強く感じられ、ガレージ色のほうが強いと感じてしまうのだ。
大西洋から伝わってきたブリティッシュ・インヴェイションに対する地理的な差なんだろうと思う。
このアルバムに収録されている Worried Life Blues なんて、アート・ウッズが演ってるのかとおもったぐらいだ。
R&B時代のムーディ・ブルースもカバーしていたジェームス・ブラウンの I'll Go Crazy の演奏まで入っているせいかもしれないけれど。
映画「イージー・ライダー」にこの (We Ain't Got) Nothing' Yet が使われているらしい。
多分ちょっとだけ流れているんだと思うけど、DVDを借りてきて確かめなくちゃ。
彼らは続く Electlic Comic Book, Basic Blues Magoos の方がトータルでサイケ色が濃くなるようだ。
マーキュリーからはこの3枚だけを発表し、69年になるとABCレコードに移籍して2枚のアルバムを残すんだけど、メンバーチェンジもあるし、そんなに聴きたいとは思っていない。
が、マーキュリー時代のこの3枚のアルバムはどれをとっても素晴らしいと思う。
写真は91年に初めて復刻されたCDなので、レコードと同じ10曲しか入っていないんだけど、現在はボーナストラック3曲(計13曲)が含まれ、お得になっている。
付け加えると、ラルフ・スカラのキーボード・プレイが素晴らしい。
彼が英国で生まれ育っていたら、間違いなくモッズ・アーチストとして大成功を収めていたはずだ。