16の歳、初めて辻潤を知った「辻潤著作集」(全6巻)。
第4巻「ですぺら/どうすればいいのか?」は所在不明。第6巻「唯一者とその所有」は買いそびれたままだ。
後に五月書房から8巻本の全集が出ている。
辻潤は生涯貧乏だったが、最初の翻訳、ロンブローゾ(ロンブロゾオ)「天才論」とマックス・シュティルナー(スティルネル)「唯一者とその所有」はベストセラーになった。(カッコ内は辻潤の表記)。
辻潤のパリ行きは読売新聞文芸特置員という肩書きはついてるものの自費だ。
「唯一者」の印税で洋行した。
パリで知り合ったのが松尾邦之助。
「辻潤著作集」の編集委員で、8人の編集委員の筆頭にあがっている。
彼のことはウィキに項目が立っていたので下記。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%B0%BE%E9%82%A6%E4%B9%8B%E5%8A%A9
シュティルナーは現在も過去もマイナーな人だが、辻潤の人生そのものになった。
と言うより、初めから辻潤の中にあったものを言葉にした。
だから取り憑かれた。
一言で言えば「生きたいように生きよ」「自分以外の何物にも仕えるな」、刹那刹那の最も充実した生命的欲求に従って生きよ、と説いていたのだ。
それはつまり、通俗的な意味での「自我」を捨てることでもある。
思想だの国家なんてものをゴミ箱に投げ捨てる理由でもある。
禅に近く、荘周に近い、とは辻潤自身の言葉だ。
辻潤は気に入れば、どんな人種とでも付き合っていた。
アナーキストだけでなく、ボルシェヴィキや右翼とも付き合っていたが、なによりも市井人と交わった。
小田原に山内我乱堂という人がいた。
看板屋さんで、10人の子沢山。生活は苦しかったが、辻潤が居候に訪ねてくると質屋に走って歓迎していたらしい。
月報に、その彼の文章があるのは嬉しいプレゼントだ。
坂口安吾とも付き合いがあり、「安吾巷談」にも登場しているという(ボクは読んでいない)。
自分が他人(ひと)様の面倒になるだけでなく、他人の面倒もよく見ていたらしい。
帰国後は大恐慌の真っ只中。
大学は出たけれど・・・という時代。
大学出たての若い友人が古本屋をやりたいと言って来たので、パリで買い求めてきたジェイムズ・ジョイス「ユリシーズ」、珍しい文芸誌「トランジション」を提供したそうだ。
びっくりするのは、辻潤がパリにいたのは西暦28年から29年だが、ジョイスを買い求め読んでいたこと。
多分日本人読者としては最も早いひとりだろう。
アカデミックな教育を受けなかったので、系統だった読み方は出来ず、読みたいものだけを読んでいると語っているので、彼のアンテナが反応したわけだ。
とにかく真贋を見分ける才能は天賦のものだったようだ。
萩原朔太郎が有名になる以前、真っ先に天才詩人と称揚したのは辻潤だし、大正11年刊の「浮浪漫語」には「謎の人ユイスマン」の1文が収録されている。
彼はフランス語が読めなかった(少し勉強したらしいが諦めている)ので、英訳で読んだんだと思うが、「さかしま」も「大伽藍」も読んでいる。
「さかしま」は、ボクは澁澤龍彦訳で読んで、あのデカダンスの虜になった思い出の作品だ。
ちょっと横道に逸れると、「ユリシーズ」はパリで Shakespeare & Company という書店を経営していた米人女性 Sylvia Beach が予約を取って、自身の書店から22年に出版した。
この書店は、パリの文学サロンの観を呈していて、英米仏の偉大な、そして群小の文学者たちのたまり場になっていた。
アメリカの文学者でいえば、ヘミングウェイやエズラ・パウンドも常連だ。
で、 Transition だが、ロレーヌ地方で生まれて米国へ移民した Eugene Jolas が27年にパリで刊行したマイナーな文学誌で、シルヴィア・ビーチが刊行元を引き受けた。
Ford Madox Ford の Transatlantic Review についで、ジョイスの「フィネガンズ・ウェイク」の一部が掲載されたことで知られている。
あの時代に、そんな雑誌まで買い求めていた辻潤の先見性と審美眼には、恐れ入るしかない。
Silvia Beach は、50年代に書店名をタイトルにした Shakespear & Company を著していて、この雑誌のことにもちゃんと触れている。
ボクがこの本を読んだ頃は翻訳がなかったと記憶するが、今はどうなんだろう??
とにかく20年代のパリのインターナショナルな文学空間を知るすこぶる面白い話満載なので、一度は語ってみたいと思っている。
柄にも無く、硬い話になったので、柔らかく行きましょう。
ぐにゃぐにゃがいいか、にゅるにゅるがいいか・・。
いやいや、やっぱり美人ですよね~(笑)
ボクが一目惚れした映像を見ましょう。
最初に映る女性審査員です(笑)
名前は Faith Hill。
カントリーの世界から出発して、ノンジャンルで大スターなんだそうです。
ちりりりり~ン。
ほら、彼女から電話がかかってきましたよ。
ボク:一目惚れしたので結婚してください。
彼女:まあ~残念だわ。あたし、20年前に結婚して今でも夫とラヴラヴなの~
こうしてまたひとり、ボクのもとから美女が去っていったのだった。
う~む・・・婚活は厳しい・・。
S.O.S. を出そう~誰か~助けてくれ~!!