まいどです。


ここ数年はめっきりラジコン屋さん(利益は生まないw)だった僕ですが。笑


元々、二輪ロードレース業界にメカニックという立場で携わらせていただいてきました。



そんな中で、2017年に在籍させてもらったカワサキチームグリーン時代にお世話になったkassyさんからお声がけいただいて。


「今年8耐来てくれへんか?」と。


Kawasaki plaza racing team

岩戸亮介・清末尚樹・岡谷雄太組




全日本ST1000クラスに岩戸亮介選手でフル参戦中のチームでもあります。



…って、ちょっと待ってくれ、と。



独立開業して早4年。

私、普段は気分屋の気まぐれで好き放題してるだけの町工場の無能。


ガチレースしてたのなんて遥か数億光年前の話で、しかもそのスペックたるや相当低スペック。


もともとショボいのに、現場を離れたそんな素人同然のしおれゆくオッサンが、あろうことか有力チームに関わってなんぞあったらどないするんや、と。



正直、真剣に辞退する気でいました。

何かあってからでは遅いですから。


とは言え普段お世話になってる方からのお話。


一通り悩んだ挙句「やるだけやって一発目のテストでスパッとクビ切られよう」と。

華やかに見えるけど、レースメカニックってそう甘いもんじゃないですから…ね。


速いとか遅いとか、そんな事以前にライダーの命が掛かってるわけで、たらればは一切通用しません。



そんな僕を、6月の公開テスト一発目からチームは暖かく迎え入れてくました。



メカの隊長、わっきーさんの誕生日おめでとうサプライズをやったり。


この人無くしてこのチームなしだと思いました。本当に素晴らしいメカさんです。



精力的に走り込んだライダー3人。

左から:尚・亮介・雄太



頼れるエース。岩戸亮介選手。


予選では2分7秒348というストックでは異次元の痺れる走りを見せてくれました。


真面目で背も高くてイケメンで走れば速いってもう最高でしょ?


あっ…残念。

新婚さんで愛妻家ですので世の女性陣は他当たってくださいね♡笑



チームのムードメーカー、清末尚樹選手。


自由人でふわっとしてて、まるで自分を見てるような気がしてならない事も多々ありましたw


でもひとたびバイクに跨がればきっちりアベレージタイムを揃えてくるベテランライダー顔負けのいぶし銀的な走りで、職人感がすごかったです。


ワールドスーパーバイク併催のWSSP300に参戦中の岡谷雄太選手。世界で戦うライダーです。

普段は乗るのは軽量級の車両ながら、テスト初日から決勝の最後のスティントまで乗るたびに覚醒し続けたのはさすがのひと言です。

真面目そうな雰囲気を醸し出しつつ、チーム内での爆笑シーンには誰よりも早くカメラを回してる仕事人です。笑


そんなライダー3人を中心に、各々がフォローし合いながらレースに向けてセットアップを進めて





ヘルパーさん達はライダーのサポート、そして走行の合間にスタッフの衣類の洗濯、ご飯の用意、等々…




皆がそれぞれの持ち場で素晴らしい働きをされていました。


チーム全体で、

・今車体にどういう問題があるのか?

・どういう方向にセットアップが進んでるのか?

・このセッションでは何をテストしてどういう流れで進めるのか?


が共有されていてモチベーションを保ちやすく、非常に働きやすかったです。


そして何より、これは非常に勉強になりました。



今回は自身初の経験となる給油マン。


SSTクラスなので、タイヤ交換はピットイン2〜3回に1回なのですが、給油は毎回。


給油装置にガソリンを満タンにすると約30〜40kg。


それを毎回担いで、補助の誘導で確実に給油口に合わせて打つ、と。



わずか数秒でほぼ空っぽの24リッターのバイクのガソリンタンクが満タンになるので、一般のスタンドでは考えられないスピードですね。



何やら神妙な面持ちですが、そんな僕はただ導かれるままに給油装置を差し込み、合図と共に抜いていただけに過ぎませんので♡笑




で、案の定というか。

やっぱりというか。

そういうとこやぞっていうか。


金曜日に腰を痛めてですね。


この時点で、実は最低でも7回以上の給油をこなせそうになかったのでそりゃ焦りました。


ギックリとかではなかったから「いけるっしょ」って思ってたけど、あれよあれよと言う間にもう普通に歩けないんだもん。笑



ヤバいヤバいヤバいと思いながら、


土曜日の走行終わりでヘルパーさんのマッサージを受けて、決勝日はトレーナーさんにテーピングを受けてコルセットで縛り上げてもらい…


ライダー並みの手厚いサポートを受けながら、迎えた決勝。



それでも腰が粉砕して歩けなくなったとしても、給油だけはする気でいました。


しかしですね。

そもそも論、ウィークの体調管理が出来てない時点でやっぱりワシ二流以下やないか…と反省。



フロントタイヤ担当のヘルメット三兄弟も完璧なチームワーク。

奥のロバートことアキヤマ君と真ん中のまっちゃんの会話がようよう聞いてると実は相当ええ味出しつつ、わっきーさんがやっぱりイジられつつも頼られつつ。



「リズムが出てきたなぁ!」と監督も太鼓判だったリアタイヤ担当のkassyさん。

今回僕を引っ張り出してくれた方でもあります。

電気的な制御の担当、メカニックもこなしながら情報収集と一人で何役もこなされるデキる人。


左に映るのは、まるで何かに取り憑かれたように、ただの一度もピットに戻らず8時間サインボードを出し続けたkassyさんの奥様、歌織さん。「なーに、イージーな事さ。」とは本人談。笑


 

余談ですがこのご夫妻の娘ちゃんがチームの癒しなのでありました。



他にも紹介しきれない個性豊かな面々が、ひとつのチームとして機能してるのがこのチーム最大の強みだと思いました。


「この人たちとなら何があっても絶対なんとかなる」と思えました。


あっという間の8時間の中、固唾を飲んで見守る残り15分。


人生でもっとも長かった15分だったと思います。



そして結果は…



SSTクラス優勝。



ただただ、夢みたいです。



そして、この素晴らしいチームを作られた"にっしゃん"こと西嶋監督(左)と車体セットを完璧にまとめられた中里チーフメカ(右)。


チーフからはバックヤードで「あと○回、頑張ろや!」ってピット作業が終わるたびに声をかけてもらい、監督には「頼んだでぇー!」と励ましてもらい続けて。


ここまで頼りないこと山の如しな給油マンも前代未聞だったに違いありませんが、


みんなのおかげでどうにかこうにか与えてもらった役割は全うする事が出来ました。

感謝感謝です。



さて。

個人的にやっぱり合点がいかないのが、SSTクラスの表彰式が無かった点。


そりゃあってもなくても結果は変わらないんですけど、でもやっぱり大事なセレモニーだと思うんです。


そこだけを目指してどのチームも真剣にやってるわけで、やっぱりエネミー(enemy=敵)ではなくライバル(rival)なので、お互いを讃え合う瞬間って必要だと思うんですよね。


だから無いと知った時はちょっと切なかったです。


ともあれクラス優勝。

本当に素晴らしい経験をさせていただきました。



ハタチの時、漠然とした憧れだけでなんとなく飛び込んだ世界。

この15年、僕個人としては何の苦労もなく運と周りの人たちの支えだけでここまできましたが、

それでも月並みに嫌なこと、理不尽なこと、納得出来ないこと、時には身を切るような絶望も当然ありました。


その度に、
わろとけわろとけと思ってたし、
言いたい奴には言わせとけしょーもないって思ってたけど、

腐らず折れず、諦めんでホンマに良かったな、と。

そんなこんなな超個人的な思いが、全部ぜーーんぶ報われた瞬間。

さすがにじんわりとこみ上げてくるものがありました。

何でもいいから本気でやっていれば、報われる瞬間は絶対やってきます。


ただ諦めるな、と。

5年ぶりに行ったパワースポットで、この上ない結果を持ち帰らせてもらう事ができました。


今回の経験を糧に、今まで以上に自分の仕事に精を出していこうと思います。


最後に、この機会を与えてくださった皆様、一緒にお仕事をさせていただいた皆様、応援してくれた友人たちに改めてお礼申し上げます。

"ファミリー"で掴んだ結果は、僕の人生においてかけがえのない財産となりました。

ホンッッッマにありがとうございました。

んじゃ⭐︎