まいどです。


さて、本日のテーマはショックアブソーバー。



個人的にはかなりこまめに手を入れる部分です。


英語で書くとShock absorber。

Shock=振動、打撃、衝撃…などの意。

Absorb=緩和する、吸収する、消す…の意。これの名詞がAbsorber。



サスペンションのショックアブソーバーを日本語にすれば、


振動吸収装置。



また、ダンパー(Damper)も、

振動を打ち消す物、勢いを弱める物…の意味の名詞です。


では具体的に何の振動や勢いを弱めるのか?



それはズバリ、バネです。


コイルスプリングを縮めて一気に解放すると、縮めて蓄えたエネルギーでそのバネはバイーーーン!って伸びますよね?



蓄えたエネルギーを一回伸び切るくらいじゃ当然使いきれずまた縮んで伸びて…



ってな事を何回も繰り返しながらやがて収束に向かうのですが、これこそがバネの振動の正体です。


要は"ビヨーーーーン"ってなるアレ。


そんなわけで、伸縮できるのは大変に魅力なんだけど、バネ特有の動きがサスペンション的には非常に都合が悪い。



仮にバネ単体だけでサスペンションを作ると、もはや直進状態ですら車は永遠に揺れ続けてまともに走れないシロモノに。



そこでその余計なばねの振動を一発でスパッと止めるニクイ奴が必要で、今日のテーマのショックアブソーバー、つまりダンパーの登場なわけであります♪



仕組みとしては、オイルなりの液体の抵抗を使って余計なビヨーーーーン(振動)をカットする方法が広く用いられておるわけですね。




いろいろと噂が広がるダンパーですが、実は今日のテーマはこれで終了って言ってもいいくらい。




と言うのも、あくまでもバネの振動を止めるのがダンパーの本来の仕事。

何を差し置いてもまずこれが基本で、そこさえ押さえてれば充分と言えば充分。




そしてこの振動を消す作用を減衰(げんすい)と言います。

その強さを示す言葉こそが減衰力であり。



そんなわけで、バネレートと減衰力はある程度比例関係にあります。

当然硬いバネには強い減衰力が必要になるし、柔らかいバネには弱い減衰力でないとバネの伸縮そのものをスポイルするなんて事も。



実車で見た目だけで車高調組んでバネレート上がったから乗り心地重視で減衰力を弱めても一向に乗り心地が改善しない…なんでやぁ!


て。

いやいや抜いたらあかんがな、的な。笑


逆に上げたら一気に楽になったと。

これはバネに対して減衰が足りないパターンの典型です^ ^



そしてラジコンでも、まずはその本分をしっかり理解していないと、明らかにばねを変える場面でダンパーに手を出したり、逆も然りで簡単に迷宮入りします。



大前提としてロール/ピッチングの量を決めるのは…

・バネレート/レバー比

・重心位置

・ロールセンター/ピッチングセンター

・ホイールの総スロトーク量

・スタビライザーの強弱(TT02には縁のない世界)


主にこの5項目でしかありません。


つまり、ダンパーオイルでロール量は変わりません。



100番であれ1000番であれ、車とタイヤの限界領域内で定常円旋回を続けると、その他全ての項目が全く同じなら同じ角度までロールします。

※あくまでもその最大横Gに対してタイヤが滑り出さず、かつピストンが動ける範囲の強さまでの話ね。



「嘘や!ダンパーオイル硬くしたらロール減るし!」って思ったあなた。


まだ構造と仕組みを理解できてない証拠ですぞ♡




…すみません。笑



せやかて工藤。


なぜかそんな感覚がするんですよね?

ええ、すごくわかります。



同じサーキットの同じコーナーで比べれば、明らかにロールが減ったように見える。



これはなんでなのか?



答えは"時間"です。




先の条件で定常円旋回すれば、いずれは同じ角度までロールするんだけど、減衰力を変えると最大ロール角に到達するまでの"時間"が変わります。


減衰力、つまりバネに対する抵抗力なわけで。


ゆえに、ある特定のコーナーやコースで比較すると、ロールが増えたり減ったりするような錯覚に陥るのですね。



減衰力を上げても仮にその先も同じ曲率でコーナーが続くならばいずれは同じ角度に到達します。


しかしそのコーナーでその瞬間だけを切り取ればロールは減ったように見える、と。これがカラクリです。



実際、そうやってロール制御を減衰力で誤魔化すと他でネガが出やすかったりします。


単調なレイアウトなら問題なくても、様々な曲率のコーナーが入り混じるコースなら秒で詰むのです。笑




少し乱暴な言い方すれば、減衰力=サスのストロークスピードであると言えます。


弱いとスコッと一気に動くから一気にタイヤを路面に押し付けられるし、強いとジワっとで同じくジワっと。




さて、そんな減衰力を調整する方法は

・ダンパーオイルの粘度

・ピストンのオリフィス(穴)の径と数

・ピストン/シリンダーの形状

・オイルシール(Oリング)の抵抗

・ダイヤフラムの形状、硬さ


が主です。


また、パッツンだの引きだのいろいろ言われますが、それは伸び側/縮み側での減衰特性を変えたいのが主な目的です。



パッツンだと絶えず伸びよう伸びようとしているのでタイヤの面圧は上がる方向だし、引きだと絶えず縮もう縮もうとするので

ギャップの吸収性であったり縮み方向の初動が良くなったりするわけです。



でも、先に書いた本来の目的から言えば「押しも引きもしない、バネに余計な力や影響を与えない」のが理想的なダンパーだと言えます。




そんなこんなな前提があった上でここから掘り下げていかないといけないのですが、ひとまず今日はここまで。


サクッと減衰力の強弱による特性の違いをまとめておきます。


減衰力 弱

・よく動く

・キビキビズバズバ走る

・低速コーナーや切り返しが楽

・高速コーナーは女心のようにナーバス

・路面追従性/ギャップの走破性アップ

・オイル粘度で下げるとオイルが漏れやすくなる


減衰力 強

・あまり動かない

・マイルドで走りやすい

・低速コーナーや切り返しが苦しい

・高速コーナーで実家のような安心感

・路面追従性/ギャップ走破性ダウン

・オイル粘度で減衰を上げるとオイルロック現象が起きやすく、一定のピストンスピードを超えた瞬間に全くストロークしなくなる



また、当然オイルも汚れます。が、少し走っただけでここまで汚れるようならそのシリンダーは終了ですw


ちなみに、オイルシールなんてなくてOリングでシールしてる風なだけのラジコンのダンパー。



そらあのサイズでオイルシール作れって言うほうが無理ありますよってに、定期的なチェックは欠かせまへんで!



そして新品で組んだから全て同じ…とはなりにくく、実は再現性を担保しづらいところ。


高い精度での組みバラしが求められる部分なので、丁寧な作業は言わずもがなでありんす♡



と言ったところで今日はこの辺で。

では皆様素敵なRCライフを♪


んじゃ⭐︎