という季語がある。
旧暦の5月28日に降る雨のことをいい、
仇討ちを果たした曽我兄弟の兄十郎が返り討ちにあって亡くなったことを愛人の虎御前が嘆き、その涙が雨になり、それを「虎が雨」というようになったらしい。
先月の5月28日は夕方から雨が降った。
前日まで、京都は晴れた暑い日が続いていたのに、
次の日の29日はさらに強い雨になった。
29日、私の兄のお葬式だった。
21日にくも膜下の手術を受けに手を振って手術室に入ってったという兄のために、
麻酔の醒める頃に元気付けしてやろうと
はるばる妹の私は出かけて行ったのに
17時間もの長い手術で頑張ってたはずなのに
そのまま目覚めることなく兄は逝ってしまった。
66歳だった。
「あー、弟とたったふたりきりの家族になってしまった」
と泣いた。
自分にはもうちゃんと家族が出来てるのに、
この歳になっても
そんなふうに思う自分にうろたえた。
「私と◯◯弟は、まだまだ行かへんからねー! 
  お父ちゃんとお母ちゃんに言うといてやー!」
と兄に伝言した。
虎が雨がざんざん降っていた。
  骨壷の残る温みや虎が雨
ふっ、とした瞬間に
ところ構わず悲しくなって困っていた先週でした。
でも、今週は、月曜火曜と二日続けて句会に行き
上の句を提出してきました。
日常がはじまっています。
