しずくの振り子

私にとっては、
生きることが喜びであり、
生きることが苦痛である。
心臓の辺りに振り子がある。
丁度、振り子時計に付いてる様な
でも形は重りのようなしずく型。
それが度々に振動するの。
そうすれば胸の辺がざわついて
ぎゅうと締めつけられて、真ん中の
奥深くで不安は生まれる。
絵の具のにじみの様にじわあっと
ふわあっと染み込んで、
私はこれといった訳もなく、
理由はある。
ただ何となく恐くなるのだ。
心配になる。
幼い頃はそんな理由で
よく泣いていたものだ。

今は私は大人であるから、
滅多なことがない限りは
涙を流せなくなった。

それはそれでつらい。
泣いた方が気楽でいられると
解っている時でさえ、
もう涙は出ないのだから。
最も暗い中を歩かされた
あの時分、
私はほとんどの涙を
消費してしまったのかもしれない。
それでもつい最近、
涙が出た。

(2019.12.29.日.しずくの振り子