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苫小牧民報社
キリンビール北海道千歳工場の製造担当部長、有賀逸人(はやと)さん(43)=大阪府出身=は今夏前半まで放映された同社のテレビコマーシャルでアイドルグループ「嵐」と共演した。同社が全国各地9工場の”個性”を打ち出した製品のうち「一番搾り北海道づくり北海道千歳工場限定醸造」をアピールする大役だった。今をときめく顔触れとの貴重な経験。「嵐メンバーの仲の良さや前向きさを感じた」と思い出を語る。
有賀さんは3月下旬、リハーサルと本番の2日間で各地8人の製造担当部長と共にメンバー5人を迎えてCM撮影に臨んだ。「皆さんがそろってスタジオに現れたとき、明らかに空気が変わった」。国民的人気のグループ「嵐」がそこで輝いて見えた。
今年で発売25周年の「キリン一番搾り生ビール」。同社は全国9カ所の工場でそれぞれ造った記念製品”地元生まれの一番搾り”を5月に発売した。
販促のためのCMは工場の製造担当部長9人と嵐メンバー5人が総出演の全国放送向けと、各工場所在地方のローカル放送版の二本立て。
2月に社の担当者からCMの企画と出演の話があり「最初はあり得ない。『またご冗談を』と思いました」と笑う。麦芽とホップで造る「一番搾り」全国均一の味わいに北海道米を加え「爽やかに澄み切った味にできた」(有賀さん)。千歳工場代表は自信作を紹介しようと腹をくくり、本番の日を待った。
嵐の5人が集結した収録は横浜のスタジオで午後1時から午後8時ごろまで続いた。当初緊張気味の有賀さんら部長陣に気さくに声を掛け、打ち解けて雑談したという。まず全国版CMを仕上げ、次いで各工場部長とメンバーが1対1で会話するローカル向けを仕上げた。
マンツーマンで撮るCMには決まったせりふはなく、演出家があらかじめ大まかな「流れ」を提示。嵐メンバーがそれぞれ一緒に撮影する部長にビールについてインタビューする自然な会話を引き出した。
有賀さんは順番待ちの間、仙台工場部長と櫻井翔さんの収録の様子を注視。「掛け合いが盛り上がっていた。イメージトレーニングをしていました」。続いてリーダー大野智さんと撮影し「キュー(開始の合図)がかかると、もううまくいきませんで」と苦笑い。だが撮り直しはなかった。
質問する大野さんに答えた有賀さんは「北海道の夏の大自然をイメージしました」と製品の売りを元気よく伝えた。最後に握手する場面で本来は終了だったがアドリブの大野さんと目と目が合ってハグ。うまいビールに感謝する大野さん、分かっていただけた―と喜ぶ有賀さんが抱き合う、ほほ笑ましいCMの結びになった。
放映は7月下旬で終了。反響は大きく、千歳工場見学者がガラス越しの作業場に有賀さんの姿を探したり、案内担当者に動向を尋ねる人も多かったという。
CM出演、大野さんらとの語らいを通じて自身の業務を改めて見詰め直した。「工場でするものづくりでありながら農産物、水と対話する仕事に関わっていられる」。製造担当者の誇りだ。
この夏向けの自信作「一番搾り北海道づくり北海道千歳工場限定醸造」は23日に同工場で行われる「キリン北海道ビアフェスタin千歳」での販売(1杯200円)が最後となる。