「大杉谷から大台ケ原へ」レポートは終わったけれど、一つだけ付け足しておきたい。

 

それは、ツアーコンダクターさんと山岳ガイドさんのこと。

 

今回のツアーコンダクターTさんは、トラベル・ギャラリーの正職員。大阪南港でファリーを下り、バスに乗り換えたときに自己紹介があった。Tさんは60歳くらいで、山の経験が10年くらい。その前は、学生時代、社会人時代を通じて、ずっとラグビーをやっていた。

 

質問で聞きだしたところによれば、中央大学経済学部卒、ラグビー部で、ポジションは1番。1年に50回くらい山に行く。仕事のないときも山に行く。プライベートでは暗いうちに家を出て目指す登山口に着くと、夜が明けるまで車の中で仮眠をとる。そうして山を歩く。年がら年中、山歩きをしている人なのだ。

 

「学生時代からラグビー部なら、酒を飲む量は半端ないでしょう?」

と聞けば

「はい。」

ま、そうだろうな。

 

そうそうトラベル・ギャラリー入社試験の際の話。社長面接があって、

「これまで登山の経験はない」

と告げると

「〇〇日は空いてるか?」

と聞かれた。

「はい。」

と答えると

「じゃ、頼むね。」

それが仕事始めだった。

社長曰く

「山の経験がなくても、山を続けているうちに知識経験は身につく。まず始めることだ。」

それからはどっぷりと山に浸かっている。

Tさんは「幸運だった」と述懐する。

おそらくは今一番好きなことを仕事として生活できることが幸せなのだ。

 

 

もう一人、奈良県の畝傍駅からバスに乗り込んできた山岳ガイドさんは、ロッククライミングを続けてきた。

ロッククライミングをしている間、何人が死んだだろうか。

自分は死なずに今ここにいる。

幸運であった。

 

これからはこれまでの幸運に感謝して、世の中に恩返ししていかなければならない。山岳ガイドをしながらなにがしかの報酬を得ている。年齢は“がね”と同い年である。30キロ以上の荷物を背負い、山を歩くのがきつくなったという。

 

 

 

この二人にサポートされての山旅は、楽しく、かつ、安全・安心の山旅であった。我々は、このようなガイドさんと巡り合ったことを幸運に思う。