百済来については軽くスルーすることにして、それから先へと車を走らせていると国道3号線の赤松トンネルの八代側入り口付近に出た。それならば、海浦海岸、芦北海岸を眺めてみたい。そういうことで赤松トンネルと潜り抜けると、その先が田浦。


田浦とくれば御立岬だと、御立岬に行ってみると、海水浴場は結構な賑わいを見せていた。八代で暮らしていた頃は海といえば、七浦と呼ばれるこちらの海だった。


もうこうなればついでだ。田浦を走り抜け、海浦トンネルをくぐると、海浦小学校前の海水浴場を通り、次の芦北海岸海水浴場に来た。5、6分間、車を停めて休憩をしながら、海の風にでもあたろうかと思ったのだが、駐車できるスペースはどこも有料駐車場になっており、休憩するためだけに駐車料金を支払わなければならないのは馬鹿らしい。


そのままスルーして芦北海岸を走り続けた。「芦北城址に行ってみるか」とカミさんに声をかけると

「別に、いい」

という返事。

「それなら帰ろう」

と芦北ICから高速道路に乗り、一路、松橋ICを目指すことに。


御立岬海水浴場
百済来の里


宮原SAでトイレ、喫煙休憩をとり、そのままSA内レストランで夕飯を済ませることにした。レストランでテーブルに案内されてすぐ

「タイピーエン(太平燕)単品を2つ」

と注文を済ませた。


エアコンの効いた店内でくつろぎながら談笑していた。そのうち幾つかのテーブルの客が入れ替わる。そして後から来た客の注文する料理が運ばれている。

「ん、なんか変だな」

と思い始める。

カミさんが

「店に来て30分経つよね」

と言う。

「うん、まあね」

しばらく待っていると、後から来た客に料理が運ばれていく。

そこで店員を呼び

「もう30分以上待っているけど、どうなっているのか」

尋ねてみると、店員たちがそわそわと動きが変調をきたし始める。

ほどなくして

「もうしばらくお待ちください。ただ今、急いで作らせていますから」

と、頼んでもいないウーロン茶のグラスをテーブルに置いて行った。

結局、45分経過したところでやっとタイピーエン(太平燕)単品2つがテーブルに並べられた。味は薄い塩味で上品な作りであって合格。


食べ終わったところに責任者らしき男性が現れ、

「申し訳ありませんでした。お代は頂きません」

と告げた。注文を受けた店員が厨房へのオーダーを済ませていなかったのだ。


入店待ちの客の間を通るときに、注文を受けた店員がいて、心から申し訳なかったというお詫びのしぐさを示したので

「いえ、いえ、気にしないで」

と声をかけ、責任者とは目礼を交わして店を出た。

得したのか、損したのか分からない、よく分からないまま、車を走らせ松橋ICで高速道路を下り、自宅に帰り着いた。


玄関の扉を開け、紛失したという片方の登山靴がどこかに転がっていないものか探してみると、あった。

それからもちろん冗談ではあるが、玄関から出かける度に

「靴、あったね」

とがねがカミさんに言う。

終わりよければすべてよし。