覚悟 | Show space

Show space

絵本作家しょうみのりのブログです。

絵本マイスター湯岡さんによる

絵本の読み聞かせを見学してきました。

「3歳、4歳、5歳、一歳差があるだけで全然違うでしょ?」

本当にそうでした。

 

もちろん個別の発達もあるので、早くに大人びる子達も居ますが、生の反応や、本当の(現実としての)読者(自分が作品を描く対象)の姿って大事だなと思いました。

 

どうしても日常で忘れて、置き去りにしてしまいがちな“感触”を思いださせてくれます。

意識するようにして描きはするんですけどね。

実際に寒いところに行ったり、真夏の太陽の下に立ったりしたときの実感なんて快適な家に居たら想起するのが難しいですから。

 

子供たちに向けて

「あえて悲しい話や、怖がらせるようなものを選書したりはしない」

とおっしゃってました。

それをする意味がないからってことでしょうね。

 

子供たちにとって、この国の現実はとっくにもう過酷ですから。

でも、それをするときは私なら準備体操として与えて、そのあとのフォローもしっかりできる体制でするでしょう。

つまりごく近しい、親という立場にならない限りは、そういう情報を与えるのは控えたいものです。

 

作る立場としてはまた別のことを考えます。

与えたいときに与えたい絵本がないなんてことは一番、作者としてあってはならない世界だと思います。

 

読んであげる時は、それに責任を負える人達が良いと思います。

ピンポイントに出した作品の一部(一発描き形式で制作)

 

最近、「性についての絵本」を読み聞かせする人たちを見かけます。

 

特別な形式でされてる場合はともかく、普通の読み聞かせでそれをする場合、私は憂慮して貰いたいことがあります。

 

「そこに性虐待を受けた人が居るなら、それはセカンドレイプになりうる」ということです。

 

性的なダメージを受けてない子供のほうが珍しいと思ってたほうがいいですし、PTSDになってる子達が混ざってる可能性を考えて貰いたいです。

 

ジェンダー問題が流行ってる昨今

「その話の対象が目の前にいる可能性については考えないの?」

という場面が沢山あるように思います。

 

「バイとか考えられないよな」

と話してる相手はバイではないんでしょうか。

「レイプに至ってないのに騒ぎすぎ」

と話してる相手はレイプされてませんか。

「ハゲってみっともなーい」

カツラもいいじゃないですか。

 

面倒かもしれませんが、世の中ってのは面倒なんです。

もはや普通という手続きでは生きられないほど共感性の高い社会がなってしまった。

 

話を戻しますけど、性的なことを教える絵本は

「不適切なタッチがあるよ」という具合に教えますね。

それはまだ、経験のない子供たちに向けて防犯意識を高め、もし犯罪にあったら即座に訴えられるようにするためです。

 

絵本を読む人は、「辛い訴えを受け取る」準備ができてるでしょうか。

その受け皿をないままに絵本を読むのは、とっても危険だと警鐘を鳴らしたいです。

被害者を置き去りにしないてあげて下さい。

 

「もう不適切なタッチだらけだよ」という苦しみを更に増やします。

子供たちの間でその会話がしばらく続いたら、その会話に参加するたびに心が悲鳴をあげて、耐えられません。

 

そんな絵本を与えるなら、具体的な救いのないままに放置される一番の被害者を救ってあげる気概で読んで頂きたい。

 

私は女子高に通っていました。

性的内容を含む映像つきの授業もあったわけですが、

「嫌だと思ったら机にふせったり、出て行ってもいいから」と最初に伝えられました。

それ、できる?

皆の前で、出ていけるの?

 

そもそもフラッシュバック中には動けませんから。

拘束器具付きの拷問とかやめてね。

 

「じゃあ、どうしたらいいの?」

と答えをお求めの皆様、その答えは各自で探して下さい。

探せないような、見つけられないような人は読まないでやって下さい。

それでも答えなどないまま読む!という方はどうぞ。

 

その覚悟には何も言えません。

 

それらすべてを飲み込んで生きている。

そんな子供たちを私は誇りに思います。

 

皆さんへの応援を込めて。

どうにかよっこいしょーで、なんとかしましょう。

 

しょう みのり

 

(余談)

予防のための知識ってとても役に立つと思います。

PTSDについての報告を読んでいたら、重篤な後遺症を受けた例に以下のものがありました

「幼少期に交通事故に遭い、その痛みでパニックになっているところ救急車が来て、隊員によってわけもわからぬまま拘束器具をつけられ四肢の自由を奪われ運搬され、親とは引き離されて不安と痛みと不自由の拷問のなか治療が開始され、大の大人に囲まれて怯えるなか、麻酔が途中で切れたり効かないまま、更なる痛みを課せられた子供」

 

言葉を十分に理解しない場合、また救命最優先の状況がある場合、悲劇を生むことがあるってことです。

 

子供たちには日ごろから、「救急車はいいもの」「救急隊員は命を救う人」「痛くても必ず助かるし、必ず助けに行くから安心してなさい」

そんな言い聞かせをしててもいいかもしれません。

あるいはそんなことも起ることがあるが、最後はよくなると知ってるだけでも違うと思います。普段の生活のなか忘れていっても、重要な時に思い出せるなら、それが希望になるでしょう。

 

ヒーローが必要です。

心の中に絶対の存在があれば、鰯の頭も信心から、どんな痛みからも復活できると言いたいです。

火の鳥になれますように。

 

お茶をどうぞお茶

余談までお付き合いありがとうございました。

 

にほんブログ村 イラストブログ 絵本制作へ
にほんブログ村