生体はアンテナの役割をするのに最も適していることが知られています。2023年1月4日、米マサチューセッツ大学アマースト校の研究チームは次世代のワイヤレス通信について研究報告をしています。彼らはテラヘルツ波を通信手段に選び、光で浪費されてる電磁波を回収しようと考えています。研究成果は幾つかの材料の側に銅線のコイルを置くことで、材料に生じる電流や磁場、そこから誘導される電圧を計測して浪費される電磁波をどのような材料で回収するのが最も効率的なのかを明らかにしました。壁材とか電子機器など様々なものを使ったのですが、電子機器を追い越して、600μV程度の誘導に成功しています。人体が最もコイルに誘導される電圧が高いことが明らかになりました。つまり、電磁波は生れ付きの人間に600μV程度の影響があるということです。

 

 600μVは0.6mV程度のものです。神経を動かす電圧は-60mV~20mVの範囲をカリウムやナトリウムの電解質の移動により発生させています。イオン化傾向の異なる二つの電解質が交わることでショートを起こし発火をすることで、周囲の細胞に電気信号を発生させています。ワット数を高くすれば、誘導される電圧は高くなるんですが、環境にある電磁波では神経を動かすには100倍ぐらい大きくないと効果が見込めないということになります。

 ところが、生体には生まれた後に電気を供給する金属を身に付けることがあります。その金属というのは歯科治療用のインレーの類、ニッケルやパラジウムや銀合金などであります。この金属は唾液という電解質の中にあり、常時、融解を起こしております。融解した金属はタンパク質に吸収されると金属アレルギーを起こすか、ガルバニー電流を発して帯電を起こしてしまいます。歯科治療用の銀70%前後の銀合金には0.5V程度の電圧が生じます。自分の歯を計測して頂ければ理解されますが、義歯の寸法はどの程度かというと4mm~10mm程度であります。奥歯治療用のクラウンなどは10mm程度の金属になります。

 

 4mm~10mm程度の金属は15GHzの衛星放送に影響を受けると考えられます。15GHzは波長が19mm前後です。波長はλで表します。ダイポールアンテナの仕組みであるλ/2の金属により電磁波と共振を起こして電圧が生じます。環境にある電磁波はμV程度しか誘導しないようですが、銀歯に衛星放送が影響すると考えられます。衛星放送は義歯に対して寸法的に電圧が生じるのですが小さいので無視していいと思われています。ところが、電流は波動の類であります。二つの波動が衝突した時にどうなるのかということであります。理科の教材でウェイブマシーンがあります。両端から二つの波を衝突させると接触した波は足し算を起こします。山波と山波は足し算を起こし、山波と谷波は引き算を起こします。波の衝突実験が何を意味するのかというと、銀歯から生じるガルバニー電流の直流と衛星放送の交流の電流が衝突すると言えます。交流と直流の電流が衝突するとどうなるのか。二つの波は直流の電圧に足し算をした形で交流波を描く、脈波という形状になります。銀合金に0.5Vの直流電圧が発生してるんですが、衛星放送の600μVと衝突を起こし、0.5V前後の脈波が生じる。それで、神経を動かすのは-60mVから20mVの単位であるので500mV程度の電圧がかかると神経に影響するのは十分な単位であると考えられます。生体に電磁波は影響がないというのは間違いないのですが、生体ではないものには電磁波は影響すると言えると思います。

 

 結論としては、生れ付きの人間にはμV程度の微小な電圧しか生じないが、生まれた後に歯科治療を経験することで神経を動かすのに十分な電圧が生じると考えられます。

 

・参照

 次世代ワイヤレス技術は人体をエネルギーに活用する可能性があります:UMass Amherst

 [ 虫歯の電気化学説 ] | I歯科医院の高楊枝通信。 - 楽天ブログ (rakuten.co.jp)