菌と言えば病気の原因となる物質であるが、世の中には面白いもので電気を食い物にする菌が存在する。菌は鉄酸化細菌(Thiobacillus ferrooxidans) という名前である。鉄酸化細菌は化学変化の過程で移動する電子を取り込みエネルギーを獲得している。鉄酸化細菌は二価鉄から三価鉄へ酸化する時の化学エネルギーを使い二酸化炭素を空気中からため込む性質がある。Fe^2からFe^3へ酸化すると電子が失われる。Fe^3のある培養層に電極を入れて電子を供給すると二価鉄に戻る。二価鉄は再び酸化するので鉄酸化細菌は食料の供給を受けることができる。このようなサイクルができるので電気を流すだけで、鉄酸化細菌を増やすことができるのである。

 鉄酸化細菌は真空中では動きが異なる。鉄酸化細菌は空気が無いと水素を酸化させる。三価鉄から二価鉄に還元させる過程で電子を奪いエネルギーを獲得している。

 微生物燃料電池(Microbial Fuel Cells=MFC)は有機物の化学エネルギーを微生物の代謝で電気を取り出す仕組みである。嫌気状態で発電菌、触媒に電極で電気、水素を与える。発電菌が電子を発生させるのだが、発電菌の電子のエネルギーを使い水素と空気中の酸素が結び付き水が発生する。水になる時に電気エネルギーが発生するので、その電気を受容器の電極で回収するという仕組みである。

 電気を食い物にして病気にしたり、腐らせる菌は発電菌であるということである。

 

・参照

 電気を餌にして育つ微生物、松本伯夫 他、1996年、ja (jst.go.jp)

 微生物の電気培養で環境浄化、松本伯夫、2006年、..........-1 (denken.or.jp)

 微生物燃料電池、高岡大造、2021年、211ほんぶん画像調整すみ★★★.smd (jst.go.jp)