総務省の発表によると、電磁波は100kHz以下で刺激作用(誘導電流)が大きくなり、100kHz以上で熱作用が増大するとされている。ですが、生体は特定の周波数に対して刺激作用が強く表れる性質がある。数10Hz, 数MHz, 約18 GHzは誘電率が減少すると同時に導電率が増大する分散現象が起こるとされる。

 神経が興奮するということは誘導電流されることであり、誘導電流されるということは信号が伝わる。確かに、100kHz以下では刺激作用が現れるとされるが、数十Hzが大きな電流を流すことができる。100kHz以上であっても数MHz、約18GHzでは熱が生じるのだが電気が流れ易いという人間の習性がある。

 人の神経は30Hz、電流密度が10μA/cmで興奮するとされている。1μT、50Hzの条件下で体内の誘導電流の密度を計算すると0.89mA/m^2であるとされる。

 例えば、数10Hzは静電磁界であり磁石や地磁気や潜水艦の通信に使われる。数MHzはラジオ放送、18GHzは衛星放送などに使われる。これらの通信の中に紛れている可能性がある。

  結びに、生体の誘導電流の項目は昭和から研究が始まり、平成や令和では磁場による生体への効果を調べることが主な研究の課題になっている。物理では磁場がエネルギーを与え電気を誘導するということが電磁誘導の一般的な物理法則となっているからだ。ただ、生体はコイルと永久磁石ではない。生体は数10Hz, 数MHz, 約18 GHzに電気が流れ易くなる性質があり、効果的な電源を確保するなら、数10Hz, 数MHz, 約18 GHzをルートとして確保するのが望ましいと考えることだろう。

 

・用語

 誘電率:電荷を蓄える能力である。コンデンサは絶縁体を挟んだ回路を持っている。絶縁体を挟んでいるので電子が流れないが、電荷から発生した力場により電子が引き合う性質がある。引き合う力場が強いと電気が多く蓄えられる。電気を蓄える量は絶縁体の性質により増減する。

 導電率:電気の流れ易さの指標である。主に水溶液の電気の流れ易さを指し、導電率が小さいほうが電気が流れにくく、導電率が大きいものは電気が流れやすい、抵抗(Ω)の逆の書き方をしている。

 

・参照

 電磁界と生体、斎藤正男, 山浦逸雄、_pdf (jst.go.jp)、P1、(1974年12月)

 ELF電磁界の健康影響と防護指針、雨宮好文、電子情報通信学会、会誌 2001年4月 (ieice.org)

 低周波磁界人体内誘導電流に関する考察 一誘導電流換算モデルの比較 一 、山崎健一 他、_pdf (jst.go.jp)、P370、(2000年)

 電磁波とは、電磁界情報センター、電磁界情報センター (jeic-emf.jp)