テレビ用レコーダーに五つハードディスクを接続し、たくさん番組を録画してあるのだが、たしか合計で18TB(テラバイト)ほどあつた容量も疾うの昔に一杯だ。新しくハードディスクを追加するときりがないので、もう買はない。したがつて新しく録画するためには、録画番組を消さなくてはならない。
そこで、YouTube検索して、最初に出た "Lisa Lövbrand - I Will Wait For You (Live Nyhetsmorgon 2011)" を聞いてみたところ、これにはまつてしまつたのである。
このメロディーは聞いたことがあるなと思ひつつ、映画「シェルブールの雨傘」のテーマ曲であることが分かつた。私はこの映画を見てゐないのだが、なぜか日本語の歌詞が口をついて出てくるのが不思議。以前に、さう、岩崎宏美の「シェルブールの雨傘」を聞いてゐたからなんだ。
フランスのミュージカル映画 "Les Parapluies de Cherbourg シェルブールの雨傘"(1964年)の挿入歌 "Devant le garage ガレージの前で" は、 Michel Legrand ミシェル・ルグラン (1932-2019) 作曲、Jacque Demy ジャック・ドゥミ (1931-90) 作詞である。
この映画の英語版 "The Umbrellas of Cherbourg" では同じ曲が、 "I Will Wait For You" と云ふタイトルで、Norman Gimbel ノーマン・ギムベル (1927-2018) によつて作詞された。
下段にリサ・ロヴブランドが歌ふ "I Will Wait For You" へのリンクを貼つたので、是非聞いてほしい。訳も以下に挿入した。
ライブ映像でノイズのため鮮明ではない。舌足らずで大変癖のある歌ひ方だが、せつなく胸に迫る。かうまで自分のものにしてゐるのは、ジャズ歌手ゆゑか。
I Will Wait For You (Music by Michel Legrand/Lylics by Norman Gimbel)
If it takes forever, I will wait for you
For a thousand summers, I will wait for you
'Til you're back beside me
'Til long touching you
'Til I hear you sigh
Here, in my arms
永遠にならうとも 待つわあなたを
幾千の夏が過ぎても あなたを待つわ
私のもとに戻つてくるまで
あなたに触れるまで
私の腕の中に あなたの
息づかひを感じるまで
Anywhere you wander, anywhere you go
Every day remember how I love you so
In your heart believe
What in my heart I know
That forevermore
I'm gonna wait for you
どこにゐようとも どこに行かうとも
いつも忘れないでね 私がこんなにあなたを愛してることを
心の中で信じてね
私が誓つてゐることを
いつまでもずつと
あなたを待ち続けると
The clock tick away the hours go, one-by-one
And then the time come all the waiting's done
The time you return, find me here, and run
Straight to my waiting arms
時計がチクタク、時を一つづつ刻んで
待ち時間が過ぎて願ひが叶ふ時が来る
あなたが戻り 私を見つけて、まつすぐ腕の中に
飛びこんで来る日がきつと来る
If it takes forever, I'll wait for you
For a thousand summers, I stay right here I wait for you
'Til you're back beside me
'Til I'm holding you
'Til I hear you sigh
Here, in my arms
永遠にならうとも 待つわあなたを
幾千の夏が過ぎても じつとここであなたを待つわ
私のそばにあなたが戻つて来て
私があなたを抱きしめるまで
私の腕の中に あなたの
息づかひを感じるまで
※オリジナルの歌詞は、リサ・ロヴブランドの歌に合はせて多少変へてゐる。
日本語歌詞は、以下のサイトの和訳を参考にした。
Matt Monro - I Will Wait For You シェルブールの雨傘
最後に、岩崎宏美版のリンクを追記した。彼女の歌い方はフランス語のオリジナル曲直伝だが、リサを聞いて仕舞ふと、没個性的と云ふか平板に聞こえる。愛する人がアルジェリアに出征してゆき逢へなくなる、と云ふ悲しみが強く感じられない。
リサ・ロヴブランドやタムジン・オースウェイトなどはこの先テレビ映画で見ることはないであらう。天は惜しげもなく二物を与へる。また録画を削除できなくなつて困つたことだ。