これは、独立起業全般の話しです。特にフリーで活動している人は、人脈が大事で、中でも、ある人と知り合い仲良くなったのがきっかけで、ぐっとビジネスが拡大することがあります。

そういうある人のことを、かつて勤務していた会社の営業研修では「キーパーソン」と呼んでいました。キーパーソンにどう近づき、どう口説くのか? は、営業マンの腕の見せ所でしたね。

スピリチュアルジャンルでも、キーパーソン的な人物はいるでしょう。

そういう人に覚えてもらうために、とにかく、ぐいぐい積極的に近づく。これは単純にひとつ思いつくことです。

もちろん、上手くいきません。

キーパーソンに近づくのは諸刃の剣で、「嫌われる」可能性が当然出てくる。キーパーソンに、あの人はダメだと判断されてしまうと、あの人はダメだけでなく、あの会社の人間はダメとなってしまいかねません。

それだったら、まだ近づかない方が良かったとなります。

なぜ、押し強く、ぐいぐい積極的に近づくとよろしくないのか?

キーパーソンは、集団レベルの意思決定ができる人物。数十人か数百人かもっと多いか分かりませんが、多くの人の意思を動かす人物です。

これは「代弁者」の役割ということです。みんなの代わりに意思決定する、ということ。それだけ、多くの人から信頼を寄せられています。

キーパーソンは、そういう存在だと理解できていたら、キーパーソンに強引に近づくことは、みんなを無視する行為で、かえって嫌われるだけという事が、わかってきます。

じゃ、どうすればいいのか?

キーパーソンの判断や立場を尊重することです。もっといえば、キーパーソンが背負っている人達のことが、ちゃんと想像できて、この場にいないその人達のことを尊重できる人が、信頼をえる営業マンです。

個人同士の関係で閉じていれば、強引に来られて、いいよいいよと、心広く受けとめる事もある。それこそ、「ま、ちょっとガマンすればいいわ」位のレベル。

ところが、そのガマン、個人を超えて、集団レベルの意思決定でやってしまうと、多くの人に迷惑をかけ、信頼を失うことになります。

たとえば、何らかの商品やサービスを「紹介して!」と、頼まれたとしましょう。キーパーソンとみなされると、こういう類いの依頼は山ほどあります。依頼といっても「タダで」でしょうけどね(笑)。

お人好しなキーパーソンだと、ちょっともっともらしい大義名分があれば、OKしてしまう。私でお役に立つなら、と。

が、これは「紹介される側のことを考えているのか?」というと、配慮の足りない行為です。

目の前の人に愛想良くするあまり、誰かに迷惑をかけてしまうということですね。こういうお人好しはキーパーソンで居続けることは、不可能でしょう。

じゃ、どういう人がキーパーソンで居続けられるかというと、

ひとつは「100%、私情で判断できる人」

ようするに、自分が「好き!」といったら「好き!」という、純粋に混じりけ無しに、自分のエゴ100%でいられる人です。

自分のエゴに、他人のエゴが混ざると、よろしくないわけですね。

キーパーソンを信頼する人達は、そのキーパーソンの価値観・世界観・判断を信頼しています。そこに他人の価値観や世界観が入り込んだら、それは不純物・不快な代物。ぐいぐい来る他人は、完全排除です。

もうひとつはその逆で、「100%、代弁する誰かの心情を反映できる人」。

みなさまのお陰です、みなさまのご意見を尊重します、公平公正です。これはエゴの無い世界。

当然ながら、強引に迫る誰かの意見も、あくまでひとつのご意見。そのご意見が、多くの人に受けいれられるか、多くの人にプラスになるものなのか、慎重に判断します。「声の大きい人の声を、特別に反映させるわけにはいかない」わけですね。

やはり、ぐいぐい押してくる人は、排除されるか、スルーされるかどちらかです。

実際のところ、キーパーソンの信頼を得る人は、おそらくキーパーソンの方から近づいているケースが多いはずです。

もちろん挨拶を向こうから(営業マンの方から)されに来る事が多いでしょうけど、その瞬間に、何らかの魅力やメリットを感じるような人物ということ。

会って20秒〜30秒でわかる事でしょう。

そして20秒〜30秒で魅力が伝わる人は、その人自身が、確実にキーパーソンになっていくでしょうね。

ちなみ営業については、

拙著『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』3章でも語っています。

・法人も神社と思うべし! ビジネス交渉の裏技(p.239〜)
・将来のキーパーソンの見つけ方(p.244〜)

我ながら幅広い題材を扱っていたものです(笑)

【著書】

26万部突破♪『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』(八木龍平・著/サンマーク出版)