本題に入る前に告知をば! ちょっと先の話しになりますが、12月18日(日)の午後、新橋で講演会をすることになりました(本講演会は終了しました)。合同会社あいとぅるーさん主催です。

年末の大祓いのつもりで、気合いを入れて、いやスキマを全開にしてやります!

さて、今回のブログ記事の本題。

働かなくとも食べていける時代がやってくる!?

です。

これ、経済学では「財産ベース社会への回帰」という、かたーい言葉で表現されます。

去年日本でも話題になった経済学者トマ・ピケティの『21世紀の資本』に出てくる主張で、「資本÷所得」が、18ー19世紀イギリスのシャーロック・ホームズの時代に回帰するぜという未来予測です。

20世紀半ばは200〜300%でした。これ、ある個人が働いて稼いだ年収の2〜3倍がその人の全財産という意味です。が、今は500%、今後は18−19世紀の欧州並みに600〜700%までいくのではと指摘していました。

だから何なの? というと、

「所得=労働で稼ぐ金額」の重要性が減り、「資本=財産」の重要性が増してくるという世の中の流れです。

シャーロック・ホームズの時代は、遺産相続で食べていく人が多かった時代でした。コナン・ドイルの小説の主人公ホームズは、言わずと知れた世界一著名な探偵です。いっぱい殺人事件がおこりますが、その多くは遺産相続にまつわる事件。これは、財産ベース社会という当時の時代背景があったわけです。

汗水たらして働くよりも、親から受け継いだ財産で生活していく。そんな人の割合が今より多かったわけですね。

この財産ベース社会がまた到来しつつあるのは、少子化が大きな要因です。

少子高齢化というと、ちまたでは、若年層にとって重苦しい話しばかりで、この先ろくでも無さそうな印象を与えるばかりです。が、実は若者・子ども達にとってそんな悪い話しばかりでも無いよと。

なぜなら、財産ベース社会への回帰をもたらしそうだからです。

この経済構造の変化は、2つの行動の変化をうながします。

ひとつめは、(そんなに)働かなくとも食っていける人がふえる。

ふたつめは、労働で所得を増やすよりも、資産運用で財産を増やすことが重要になる。

相続した資産を運用し、その収益が経済基盤のかなりを占めてくるということですね。

実は今現在の日本経済も、そんな収益構造になってきています。かつては加工貿易といって、質の高いモノをつくって輸出して大きな貿易黒字をつくるのが、日本経済の成功パターンでした。

が、先進国になった日本では、日本人労働者の賃金が非常に高くなりました。日本人労働者と外国人労働者。賃金に数倍の差があったら、はたしてどちらを雇うでしょうか?

日本人が労働してお金をかせぐ・経済を豊かにしていくのは、どんどん難しくなっていきました。

で、今の日本国が、なにで大きく黒字を出しているかというと、所得収支。

所得収支とは、外国から得た利子・配当や賃金等と、 外国へ支払ったそれら等の差額です。例えば海外証券の売買など、海外投資で稼いでいるわけですね。

質の高い労働者から、したたかな資本家に日本経済は「いつのまにか」変化していったわけです。その変化の波は、個人にもおとずれています。

ニートとか引きこもりの大人の出現は、財産ベース社会の前触れととらえることもできます。

特に病気でも無いのに働かない現役世代の大人が一定数いる。本来彼らは食べていけないはずなのに、現実には親などに食わせてもらっています。ものすごーく白い目で見られる事もありますが、そういう事も可能なんだという、ひとつの可能性を示したともいえるでしょう。

人口ピラミッドを思い浮かべてください。若者が多く年寄りが少ないピラミッド型、その反対の逆ピラミッド型。

年金という視点でみれば、ピラミッド型は若者には楽で、逆ピラミッド型は若者の負担が大変ですよね。

が、遺産相続という観点でみると、ピラミッド型は若者への分け前が少なく、逆ピラミッド型は若者への分け前が多いです。

資産は個人の家にあるだけでなく、組織や国にも資産はあります。それら社会的な資産も、若者世代は全体的に受け継いでいきます。

若者や子ども達にとって、なんだか重苦しく大変な未来が待ってそうな空気が世間に充満しています。が、はてさて、それはどこまで本当でしょうか?

これからの人達は、経済的には、今よりも楽に豊かに生きる可能性もあるのではないでしょうか。またそうした社会をできるだけつくっていくのは、年長者の務めでもあると認識しています。