岸見一郎先生講演会に参加してきました。岸見先生と言えばアドラー心理学の大家。ライター古賀史健さんとの共著『嫌われる勇気』は日本で75万部、韓国で40万部のベストセラー、今若者に最も読まれている「人間関係を良くするための」本です。

人間関係を良くするために、嫌われる。矛盾しているように見えますね。そこは「おっ?」と読者に思わせる所です。しかし単に奇をてらったわけではありません。これは私の想像ですが、極めて今の世相に合ったコンセプトでしょう。より正確に言うと、世相に合わせているという意味ではありません。世相を変革させるために必要なコンセプトだということです。

この嫌われる勇気、いわゆるマニュアル本、ノウハウ本では決してありません。私は今日から何をすればいいの?的な即効性のある処方箋を求める人には向いていないでしょう。しかし考え方を変えるという根本的な所にアプローチしており、永続的な処方箋を求める人には向いています。

で、今日のブログのタイトル「嫌われることを恐れるな!」。『嫌われる勇気』のメッセージを岸見先生は「嫌われることを恐れるな!」だと語りました。嫌われろ!と言っているわけではありません。ただ、他者の承認を求めるあまり、自分を曲げるな、と言っているのです。

この本、決して「こういうの売れるよな~」と思える本ではありません。難しいことを分かりやすく書いてはいるけれども、決してバカ売れしそうな、易しい本ではありません。私自身、ちゃんと理解するには、ただ読んでいるだけでは無理だと思いました。書籍に出てくる重要なコンセプトを拾い出して、そのコンセプトの間のつながりを矢印で引っ張りながら考える必要性を感じたものです。共著の今ライター業界でナンバーワンの古賀さんも、「もっと長い時間を掛けて広がってゆく本だと思っていた」と語っていました。まして韓国では日本以上のスピードで売れているようですね。

しかし実際にはバカ売れした。それはなぜか?このアメーバブログを利用していて、「あー正に正に、今この本が必要だと」と日々実感するところなのです。アメブロを利用している多くの人が思っているのでは無いでしょうか?

「なんで若者はこんなに嫌われることを恐れているのだろうか?」と。

人に嫌われたくない、好かれたい、そのためにどうすればいいの?というノウハウで、アメーバニュースやアメーバのトピックスはあふれています。内容は、運営するサイバーエージェントさんが読者の望むものをと編集されているはずです。ということは、そういう人間関係の即効性のあるノウハウを読者、トピックスの内容から察するに特に20代の人達は求めているのでしょう。それを見て、ちょっと不思議だったのですよ。

「なーんか、他人に嫌われないためのノウハウがやけにのっているけど、そんなに他人にビクビクしなければ生きていけない世の中なのか?」と。そこへ、この『嫌われる勇気』がヒットしたと聞いて、あー、きっとこの本の言葉に勇気づけられた若者が沢山いたのだろうなと思った次第です。実際、日本では20代30代に最も読まれているようで(男女は変わらない)、今、就職活動生が最も読んでいる本のようです。就職活動生という、最も嫌われたくなさそうな人達が読んでいるというのが面白いですよね^^

ちなみに韓国では、女性向けに売ろうと最初からターゲットを定めていたようで、女性がよく読んでいるようですね。韓国の人口は500万人ですから、40万部売れたというのは、日本の感覚だと100万部です。ましてまだ販売されてさほど経っていませんから、これはブームと言って良いでしょう。

日本の出版界も元気ですよね。アメリカで近藤麻理恵さんの片付けの魔法が3ヶ月連続ベストセラーランキング首位になり、韓国では嫌われる勇気が今年上半期のベストセラーランキング首位。これは相当に来てるでしょう~だって、ありえないもの。でも実際に起こったわけで、神の計らいとでも言うしかない現象ではないでしょうか。