戦争状態、ということなのでしょうね。今や国家間で戦争するメリットは、特に先進国同士では無くなりました。その代わりに、国家以外の集団が戦争する主体としてクローズアップされてきたのが現代です。

平和の難しいところは、たとえ一方の当事者が全く戦争する気が無かったとしても、もう一方がその気になれば、戦争になることです。例えば日本は平和憲法をかかげて、戦争しませんと宣言しているわけですが、よその国が仕掛けてきたら、たとえ日本が無抵抗だったとしても戦争状態になります。したがって戦争しませんという日本国憲法上の約束は、日本だけでは守れないわけです。よその国にも、日本とは戦争しませんと約束してもらう必要があるわけですね。

これまでは日米安全保障条約により、よその国は日本に手を出してこなかったわけですが、今回はアメリカの軍事的威光が通じない相手が現れてしまいました。

安倍首相は、全ての課題に対してちょっと異様なまでの情熱で解決策を立てるタイプの人ですが、今回はこれといった解決策を立てられないでしょう。しかし政権を担う人にとっても、多くの国民にとっても、重苦しい課題でもあります。

お亡くなりになった方のご冥福をお祈りするのは勿論ですが、世界の変動の中でどう生きていくのか、より国際社会、海外の諸文化に日本人が目を向けていく時代に来ているのかなと感じます。同時に逆に日本人は益々内にこもるのではないか、とも思う次第です。

「べき論」では前者ですが、現実には後者の道を歩むのだろうなぁと。そこに絶望はありませんが、衰退はあるでしょう。今流行りのピケティ教授の「r>g」です。「資本収益率>経済成長率」、別の良い方をすれば、「株・不動産の運用収益>賃金の伸び」「資本家の資本の増加>労働者の賃金の増加」です。

ピケティさんの理論だと、日本や欧州のこれからの経済的な衰退社会においては、どれだけ働くか(就労所得)よりも、どれだけ資本を運用するか(不労所得)が重きを成してきます。給料よりも遺産相続がポイントです。これからの日本人・ヨーロッパ人は遺産相続と、相続した遺産の運用で食っていく時代になるし、遺産の乏しい人達にとっては苦しい時代になるということになります。