「創造なくして破壊なし」とは、つまりまず創造して、次に創造した結果不要になったものを破壊する、あるいは創造する過程で不要になったものを破壊すると。


まず創造ありき、ということです。


なんでこんなことをわざわざ言うかというと、破壊してから創造する、あるいは破壊しないと創造できない、という考えをする人が結構多いのですよね。


これ、単に不満なだけなんですね。周りの何かが。気の利いたアイデアや、実現すべき理想を抱いているわけでは無いということですね。


おおよそイノベーターと呼ばれる人達は、皆共通して、創造創造また創造、徹底して創造です。破壊は、その過程や結果で生じますが、イノベーター本人はまるで無頓着です。なぜなら創造にしか興味が無いからです。


それでも「破壊」を前面に出した言説がある程度「ウケ」がいいのは、人々の鬱積した不満に基づく破壊衝動を代弁しているからでしょう。


これは日本の世の中を俯瞰して感じることですが、ここ数カ月の間に破壊衝動は随分と勢いを失ってきているように思います。勿論こういう衝動は様々な変化に応じて急に盛り上がることもよくあります。


とはいえトレンドが変わったかな、と。いわゆる「ポストモダン」は私の中で終焉した、とここで宣言しておきましょう。


ちなみにポストモダンとは、権威の徹底した排除(モダンの否定)を推し進める考え方です。もうぺんぺん草も生えなくなったんじゃないかな。ただ、様々な権威を破壊してしまった後に何かが生まれたかというと、実際は荒涼としただけであって、既存の権威に代わる新しい何かは生まれなかったわけです。


そうしたら今度は現在の新しいモダンを生みだす番です。ポストモダンはあくまで「モダンの後」ですから、モダンの否定以外に何もすることは無いのですよ。役割はもう終えたのではないかな。