名作の誉れ高い、チャールトン・ヘストン主演の「猿の惑星」。地味になったシリーズ3作目~5作目も観ましたし、ティム・バートン監督の「PLANET OF THE APES」も観ました。


そして最新作が「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」。正直ねぇ、「また猿の惑星かよ」というのはありました。僕にとって猿の惑星といえば、シリーズ5作で完結している作品。リメイクされたティム・バートン版は、シリーズ一作目をベースにしたものでしたが、まぁ大したこと無かった^^; 映像の迫力は増しているし、よく出来た映画だとは思うのですが、オリジナルに比べると、どうしてもインパクトが足りません。


人間が猿に支配されている世界。斬新でしたよ、初めて観た時は。しかし同じ衝撃をリメイクに求めるというのは、やはり酷というもの・・・


そう思っていたのですが。


「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」はすごかった!旧シリーズとは別のオリジナル作品と銘打たれているそうですが、シリーズ第4作「猿の惑星・征服」をほうふつとさせるものがあります。主人公の猿の名前も同じシーザー。


幾つか何がすごかったのか、振り返ってみると、まずひとつめはCG。猿のアクションシーンは迫力あるし、またシーザーの知的な顔!知的さとか思慮深さを表現するのは、結構難しいのです。例えば知的な2枚目の人気男優って、意外に居ないのですよ(女優も居ない)。冬のソナタで日本で人気になったぺ・ヨンジュン氏は、知的さを表現できた所が、日本人には新しかったのではないかと、冬ソナファンの男2人で昔語り合ったものです(笑) え?NHKの衛星放送で流れていた番宣で、こいつは誰だ?といち早くぺ・ヨンジュンには着目していたのですよ、どうでもいい話ですが^^ 知的さ、というのは、高貴さにも通ずるものがあります。品が良い、とも重なります。


現代は、上品さがあまり姿を見せなくなりましたからね。下品さが、等身大だと人気になる時代がしばらく続きましたから。


それはともかく、シーザーは高貴さと思慮深さを感じさせる、類まれなる猿でした。旧シリーズのシーザーは、偉大な猿でしたが、映像や演技でそれを表現することは出来なかったですから。


もうひとつはストーリーのリアリティ。ジェネシスというと、僕は大好きな吉田秋生さんの「YASHA」に出てきた製薬会社「ネオ・ジェネシス」を連想するのですが、遺伝子工学やバイオテクノロジーの進化により、図抜けた知能と身体能力を持つ双子が出てくる漫画作品でした。


本作もそうした設定は似ています。認知症の劇的な治療薬になるという期待で研究開発中の薬品投与により、猿の知能が劇的に向上。集団で統制のとれた行動をとるようになります。そして人間に反乱・・・。


このストーリーのどこにリアリティが?と言われるかもしれませんが^^、旧シリーズもティム・バートン版も、宇宙船が出てくるのですよ。宇宙船の事故で、どこかよくわからない星に迷い出て不時着してしまった、という設定なのですね。そうすると、随分と未来の話、という設定になっているわけです。しかし本作は、正に現代を舞台にしている点が、よりリアリティを増す要因になっていると感じました。


最後は監督の腕ということなのかなー。作品のテンポが良くて、つかみはOK!そのままグイグイひきつけて、ラストまで息もつかせぬ展開というやつ。そうした作品のリズムの良さといい、アメリカの緑豊かな公園の映像の迫力といい、どこかジェームズ・キャメロンの作品を思わせるような一級品のエンターティメント映画に仕上がってました。


続編は・・・あるのかな?あっても良い展開。動物の反乱という意味では、新井素子さんの小説「・・・絶句」をちょっと思い出せるものもあって、設定自体がワクワクします。新井さんの方は、猿だけでなく、日本にいる様々な動物が反乱に加わるし、超能力者や宇宙人は出てくるしと、より大掛かりでハチャメチャな作品ではありますが^^; 中学生の頃、はまったのですよ~素ちゃんに。


というわけで、「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」。旧シリーズに負けない、いや映画の完成度という意味では上回る、名作と呼んでよい作品なのではないでしょうか。続編を期待しています!