最近政治系のニュースは橋下大阪市長が関連がトップで、いつの間にか大阪が政治の中心地になってしまった感がありますね。。まだ維新の会は国会で一議席も持っていないのに、そこまで騒ぐ必要あるのかな?とも思うのですが・・・。




橋下さんが代表を務める維新の会の政策を見ると、(1)大阪都・道州制の実現、(2)地方交付税を廃止し、消費税を地方の財源に (3)基礎的財政収支の黒字化 (4)国民総背番号制の導入 (5)国税庁と社会保険庁の統合 (6)年金・失業保険・生活保護を一本化し、最低生活保障制度の創設 (7)資産課税の強化 (8)所得税の税率は皆同じにする、(9)首相公選制、(10)参院廃止などなど。




ざっと見ると、「変化」が最も大きな価値観なのだなと感じます。政治には、右翼とか左翼、あるいは保守とリベラル、保守と革新のように、政治思想の対立軸があります。しかし維新の会は、どうもそういう従来の政治思想の対立はある意味どうでも良くて、とにかく変われば良いのかなと。




例えば彼らはTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の導入に賛成のようですが、TPPは賛成派も反対派も、日本にとって影響が大きいということだけは共通の認識です。だから橋下さんは賛成なのかなと(笑) やるかやらないかなら、やる。やる選択肢が複数あるのであれば、もっとも大きく国民・行政の行動が変化するものを選択肢しているのかなと。




進歩主義ってやつですね。古き良き時代なるものを設定して、それを是とする「保守」とは全く正反対の方なのでは無いかと思います。進歩主義と革新は意味が非常に似ております。ただ日本においては社会党や共産党を代表とした革新と呼ばれる政治勢力がありますが、それらは日米安保の解消と大企業への規制強化が、二本柱です。橋下さんは日米同盟強化&大企業寄りですから、日本政治における革新&左翼とも反対に位置するようです。




保守でも無く革新でも無く、その間(中道勢力)でも無い。極端に言えば、新しければ、変われば何でも良いのかなと。




自由主義経済派あるいは構造改革派とでもいうような人達は、上記の(6)と(7)に引っかかっているようですね。あとは賛成だろうと思います。(6)は全ての国民に一定金額をばらまきます。ホリエモン流にいえば、公共事業のように仕事を与えるのでは無くて、直接お金配っちゃえば良いじゃん、ということらしい(笑)所得に関係無く一律にお金をばらまくという意味では、子ども手当と似ていますが、子ども手当の場合、子供のいない世帯(あるいは、子育てが終了した世帯)から、子供のいる世帯への所得移転という目的がありました。最低生活保障の場合は、、、、誰から誰への所得移転ということは無いですねぇ。所得税も税率は同じにしようという考え方のようですし、平等と言えば平等ですね。金持ち優遇かというと、そういうわけでも無く、それは次の(7)にあらわれています。




(7)は金融資産に一定税率をかけます。貯金してたら、利息がつくどころか、かえってマイナスになるという(笑)イタリア人のような、死ぬ時は一文無しのライフスタイルを、国家として強制しよう考えているようです。死後の財産は没収っていう、相続税を100%にしようなんて話も出ているようですし。こういう(6)と(7)は、共産主義の考え方と方向性が近いですね。共産主義は、私有財産を認めない、という所にポイントがあります。そして皆一律同じ収入を得るというのが理想です。




こうした方向性に賛成か反対かと問われると、なかなか難しいものがあります。今の単身世帯の私にとっては、賛成です。なぜなら維新の会の政策が実現した方が、私は得する、あるいは損をしないからです。前回2009年の総選挙における民主党の政策には完全に反対でした。なぜなら彼らの目玉政策は、子ども手当に代表されるように、全て私は所得を取られる側だったからです(笑) が、逆にいえば、私に子どもがいたり、高速道を車で運転したりすれば、賛成になっていた可能性があります。




つまり政策の裏側には、その政党が目指す「理想の国民の生活」というものがあるのです。維新の会は、良く言えば、「個人の自立」を目指しているのでしょう。これまでの日本は、特に田舎暮らしでよく見かけるように、良くも悪くも、人と人のつながりが強い国でした。そのつながりは、もう大分弱くなったと言われますが、維新の会の政策が実現すると、さらに分断されるでしょう。一人で生きて行くことが基本になります。




私にとっては、それは今でも実質そうですし、お金の面でも、おそらく私の財布はより豊かになります。勿論、私の財産が死後国家に没収されてもどうってことありませんし、資産課税のようなものは、資産運用に通じていれば必ず「上手いことすり抜ける」抜け道があります。




が、私が得するような政策が実現されることは、果たして国家レベルで見ると良いことなのかどうかというと、ちょっと考えるものがあります。私みたいなのがより増えて良いのかな?と(笑) これまで私が得した政策を実現した政権といえば、かの小泉政権でして、私は最後は明確な支持者になりました。しかし小泉政権は、まだ穏当でした。結局、小泉政権の場合、変化そのものが目的では無くて、財政の持続可能性を高めることが目的だったからです。構造改革とよばれる一連の政策は、全て基礎的財政収支の黒字化実現に向けてのものでした。




だから小泉政権にイデオロギーは無かったわけですね。考え方の異なる抵抗勢力はいても、正義とか悪とかは無かったわけです。しかし、維新の会というか橋下さんからは、イデオロギーを感じます。それは「維新」という、明治維新をなしとげた英雄達に己を重ね合わせるような、自意識からもうかがえます。自分=偉大なる英雄と自称する集団は、己に酔って異論を許さない側面がありますから、なかなか怖いものがあります。基本イケイケドンドンで突っ走りますからねぇ。




ただ独裁だとは思わんですよ。軍隊を握っているわけじゃあるまいし。法治国家において、あくまで法の下に定められた行動のみ許された存在なのですから。