頭が薄くなってきたため、数年前から丸坊主にしている。
父親のように板前の職に就こうかとも思ったが、自分には続かないと思い、普通に就職した。高卒で就職したため、40歳目前であるが、給料はギリギリ生活していける程度の金額だ。
自分の人生の全盛期は20歳ぐらいまでだった。
小学校高学年からオレは異様にモテ始めた。中学校でラグビー部に入ってからはさらにモテの勢いがついて行った。
高校生になってからも彼女は絶えずいた。良く河◯町を歩いていると、同級生が俺たちを見かけ、羨ましく思っていたそうだ。
「ヨッちゃん、この前河◯町で女に横で『お昼お寿司がいい~』って強請られてたやろ。ええなぁ」
なんてことをツレから言われたこともあった。
20歳を過ぎ、仕事中心の生活になってからは次第に女性は離れて行った。
ワタ◯ベ、オオ◯ラ、ウ◯バヤシ、そしてアサ◯は死んだ。ト◯タは今刑務所だが、恐らく一生外には出てこれないだろう。
今日はあの忌まわしい事件が起こったこの場所で'あいつ'と会う約束をしている。身を潜め生きていたみたいだが、何とか居場所を掴み、今日に漕ぎ着けた。
男子生徒は死んでいない。20歳で白血病になったというのも恐らく単なる噂だ。同級生が24歳の時に普通にコンビニでバイトしている彼に会っている。彼がレジ対応をしたみたいだが、知り合いとわかっていながら一切目を合わさず、声もかけてこなかったらしい。・・・まぁ仕方ないだろう。俺も19歳の時にファストフードでバイトをしていた彼に一度会い、レジ対応をしてもらったが、目も合わせてくれず、もちろん声などかけられなかった。
・・・俺が彼のイジメに一番加担したようなものだから。
それら全てを清算する意味で今回この場で'アイツ'に会うことに決めた。必ず何かを知っている人間だろうから。
そして、このすべ、えっ?んっ?!
バサッ!!
大きな黒い布を背後頭の上から全身に被せられ、手に何かを握らされた。その直後、これは包丁とわかったが、わかった瞬間に何かが刺さった。
ズブッ・・・・・・
・・・肉が刺さる確かな手応えだった。
急いで布を剥ぎ取り、その場を確認すると、滅多刺しにされたウツ◯ヨウコ、旧姓オオ◯ラヨウコが倒れていた。
「えっ?どういうことやねん?!オオ◯ラって死んでたんちゃうんか・・・」
「お前があの場にウツ◯ヨウコを呼び出して滅多刺しにしたんやな、クボ◯チヒロの所持品やった包丁を使って」
「違いますよ!俺は頭から大きな布をかけられて、その時にナイフを握らされただけで。そしたら向こうからナイフに刺さりに来て。刺さったのは一度です!完全に冤罪です!」
「まず一度でも自分で刺してんねんから冤罪ちゃうやろ?まず、あの場に予め滅多刺しにされたウツ◯ヨウコが運ばれてって、そんなこと誰ができんねん!?布を剥ぎ取ったら誰もおらんかったんやろ!?それはどう説明すんねん!え!?」
「わかりませんよ!あとワタ◯ベチヒ、いや、クボ◯チヒロの包丁ってどういうことなんですか!!」
「包丁の取手からクボ◯チヒロの指紋がしっかり出とんねん。この世におらん人間の指紋がしっかりとな」
「・・・え、嘘や、そんなん・・・。俺はマツ◯ラと会う約束をしてここに来たんです!・・・え?、まさか・・・」
(続く)
※この話は勿論フィクションです。