高橋泰教授の話を続けます。


蕉夢苑 ブログ-駐車場の桜2


 過保護介護は、無重力状態のように筋肉を減らす 実は、我々の身近なところに所に、無重力状態の宇宙飛行士と同様に、筋肉への負荷が大幅に減少する状況に直面し、急速に筋力が低下している人たちがいる。それは、過度に生活支援や介護を受けている高齢者である。日本の介護の基本は、敬老精神である。日本人の心情からすると、ある動作を行うのが大変になったお年寄りを見ると、ついついやってあげたくなる。例えば自分で買い物に行けるのに、「大変そうだから」ということで誰かが代わりに買い物に行くとすると、それまでの下肢の筋肉にかかっていた負荷がなくなることになる。そうすると脚の筋肉は軽度の負担にかまけて、足が急速に細くなり、外出に必要な筋力を失うようになる。このような状況が続くと間もなく、トイレへ行くのがたいへんになり、また誰かがトイレに行くときに援助を行うと、更に筋力が落ちるという悪循環に陥る。過保護ぎる高齢者に対する援助や介護は、高齢者の機能を低下させる危険性が潜んである。


(続く)