諏訪中央病院名誉院長 鎌田 實

地域で命を支える」~人生頑張らないけどあきらめない


事例3デイケアの取り組み
介護者を楽にしなければ、幸せはやってこないということに気づき、さらに介護者を1日くらいゆっくりさせたほうが良いと考え、社協と協力して障害老人のデイケアを始めた。病院の図書室を使って。


病院の図書室は学会準備等で使用することもあり、図書室が使えない時は墓地公園へ行った。さらに温泉ホテルなども使った。ホテルでは、車椅子で室内が汚れたと怒られたこともあったが、繰り返し出かけるうちに周囲の人達がだんだん優しくなる、暖かくなる。


この様子をみて、町の人達は「こうやって生きていけばいいんだ。」と思うようになった。病院の中だけでデイケアを行なっていたなら、こういう結果は生まれなかったかもしれない。恵まれない環境の中、地域へ出て行ったことが住民をひきこむ結果となった。
しらぬい荘のスタッフ

4イワジロウの小屋

37歳の時、家族の秘密を知った。両親だと思っていた人は、実は育ての親だった。養父の名をイワジロウと言い、タクシー運転手をしていた。養母は心臓病を患っており、小さい頃から病人のいる家の苦労を知っていた。貧しいながらも自分を育ててくれた。そこで、自分の思うようにばかり生きていてはいけないと思い、家を建てた。退職後は、外国の子ども達の医療に携わろうと考えていて、家を建てるつもりはなかったが、家族の秘密を知ったことをきっかけに定住することを決めた。


そこでイワジロウを呼び寄せた。新築祝いなどするつもりはなかったが、近所の人達がおしかけ新築祝いをしてくれた。デイケアをやり始めた時からボランティアで関わってくれた人達である。自分にとっては戦友。そのボランティアの人達も1番古い人で29年になり、今年3月解散会をした。“あったかい”ってことは大事だと思う。


PS

感想~涙なしには聞けないお話でした。ほっとけない気持ちを持ち続けたいですね。興味のある方は本を読んでみて下さい。(SIホーム生活相談員)