文化祭が迫ったある下校時に
下宿を訪ねると下宿屋の
おばさんが縁側にポツンと腰を
下ろしていた。
俊二は留守だった。
あの一別以来、俊二には逢っていなか
ったがれい子はおばさんに文化祭の
案内状を渡した。
その時、外にいる俊二が見えた。
若い女性と一緒だった。
俊二とは同世代に見えた。
「ああ、あの人は近所の娘さんや。
なんも関係ないで。」
おばさんが気を利かせたつもり
だろう、そう言った。
何故か、れい子は俊二に見られたく
なかった。
そっと下宿を出た。
その近所の娘さんと自分を比べている
自分がいた。
果たして
文化祭には俊二は来なかった。
それが答えだとれい子は思った。
文化祭のポスター等を剥がしながら
ーこれでよかったのかも知れない。
自分自身を諭すように
ひとりごちた。
(私は恋に恋をしていた
だけなんだ。)
夏子を見た彼への親しみから
淡い恋心を抱いたに過ぎない。
たしかに彼への思慕がなかった
と言えば嘘になる。
彼は美男ではないが、表情には
男の魅力がそこはかと醸し出されて
もいた。
短い期間だったけど、その一つ一つに
れい子の若い体は微妙に揺らいだ時もある。
それはそうなんだけど… 。
窓から冬間近な冷気がはいり
込んでくる。
れい子は教室の窓を閉めた。
⑦はここまでです。
➇に続きます。
➇は来週の土曜日に
アップする予定です。
大川蛍子。
20250112
........鐘子。
またね❤️🔥