6月にサンフランシスコで新たなネットサービス「iCloud(アイクラウド)」を発表したジョブズCEO=AP
6月にサンフランシスコで新たなネットサービス「iCloud(アイクラウド)」を発表したジョブズCEO=AP
人気製品を次々と発売し、米アップルを躍進させる原動力となってきたスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が24日退任を発表し、アップルは今後、革新的な製品開発力をどこまで維持できるかが焦点となる。米グーグルなどが追い上げを図っており、ジョブズ氏退任が世界のIT(情報技術)業界の勢力図に影響を及ぼす可能性もある。【竹地広憲、乾達、宇都宮裕一、ワシントン斉藤信宏】
◇IT業界の勢力図に影響も
ジョブズ氏の後任となるティム・クック最高執行責任者(COO)は米IBMなどを経てアップルに入り、ジョブズ氏が97年に経営トップに復帰した直後からアップルを支えてきた。さらにスマートフォン(多機能携帯電話)の「iPhone(アイフォーン)」後継機種の今秋発売がうわさされ、「当面はジョブズ氏の築いたビジネスモデルは揺るがず、アップルは好調な経営を維持できる」との見方があるが、問題はその先だ。
米調査会社の調べでは、アイフォーンの11年4~6月の世界販売台数は2030万台とスマートフォン市場で首位。これに対し、米グーグルはスマートフォン用の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を各社に提供して追い上げており、「アンドロイド」を採用した「ギャラクシーS」が好調な韓国・サムスン電子の4~6月販売台数は1730万台に上る。
日本でもソフトバンクが販売するアイフォーンに対抗して、NTTドコモやKDDIがアンドロイド搭載のスマートフォンを次々と投入している。さらにグーグルは米携帯端末大手、モトローラ・モビリティの買収を15日に発表し、スマートフォンをめぐる競争は激しさを増している。
アンドロイド陣営に対し、アップルはジョブズ氏の指揮の下、操作感やデザインなどの完成度の高さで差別化を図り、アイフォーンのブランド力を維持してきた。一方、クック氏には、抜群のセンスで消費者を引きつけてきたジョブズ氏のようなカリスマ性はこれまでのところ見られない。
IT業界は、アップルの多機能端末「iPad(アイパッド)」などの急成長で、パソコンが主役の座を追いやられ、パソコン世界最大手の米ヒューレット・パッカード(HP)がパソコン事業の分離検討を表明するなど変化が激しい。ジョブズ氏退任でアップルの個性が薄れれば、これまで築き上げてきた優位性を失い競争が一段と激化する可能性もある。
毎日新聞 2011年8月25日 22時01分(最終更新 8月26日 0時45分)
