今日は参議院議員選挙ですので、

この選挙の比例代表制について

確認しましょう。


衆議院議員選挙の比例代表制は

拘束名簿式比例代表制であり、

各党が名簿を作り、その名簿の

順に当選者がでます。

各党の作る名簿には拘束力があり

名簿の順に当選するわけですね。


重鎮の候補者が小選挙区で負けそう

な時は比例区で重複立候補ができて

小選挙区で落選しても、惜しい負けなら

比例で復活当選することもあります。

重鎮は安泰です。


これに対して、参議院議員選の比例代表

は非拘束名簿式で、各党は名簿の順位を

つけず、選挙権者は政党にも候補者にも

投票できます。候補者名が書かれた比例区

投票は得票数に応じて、当選者が決まり

名簿の順に決まるわけではありません。

そのため非拘束名簿式と呼ばれます。

結局、比例区でも得票数が多い候補者が

当選します。


ただ投票価値の平等に関する裁判が

参議院議員選挙でも多々争われ、格差

是正ため、選挙区の当選者が半数になる

選挙区が出ました。いわゆる合区と呼ば

れるもので、鳥取と島根、徳島と高知が

それぞれ一つの選挙区となり、いままで

当選していた重鎮の候補者が選挙区に

立候補できず、比例区にまわることに

なり比例区でも拘束名簿式ではないので、

当選できないケースが出てきました。


そこで、自民党が重鎮の候補者を当選

させるために思いついたのが、特定枠

です。比例区で優先的に当選させる特定

枠を作り、その中に重鎮を入れることで

重鎮を確実に当選させるわけです。


結局、現在の参議院議員選挙の比例代表

制は非拘束名簿式という建前があるだけ

で、結局は衆議院議員選挙の拘束名簿式

と同じように、重鎮を当選させることが

できる、特定枠付きのいびつな比例代表

なわけです。


数で勝る与党がいつの間にか、特定枠

法案を通過させて、国民の投票意思とは

無関係に、重鎮やベテランを当選させる

わけですね。


こんな法律改正をしたのは、実は

安倍元総理であり、今回の件は本当に

心が痛み、残念でなりませんが、政策が

正しかったかといえば、クエッション

マークなのです。


ただ、弔い選挙や同情票が集まる選挙に

なりますので、与党が圧勝する可能性が

高いですね。


行政書士中谷彰吾