韓国ドラマ、マイディアミスターの中で、障害のある祖母と暮らしているヒロイン(21歳)が、心を寄せる男性(おじさん)から、世帯を分け生活保護申請をすれば無料で施設に入所できると教えられます。その際「誰も教えてくれなかったか」と言うシーンがあります。ヒロインが手続きに行くと、「早く申請すればよかったのに。制度ができて結構たってますよ」と職員に言われます(その時の何とも言えないヒロインの表情が印象的です)。この悪気のない職員の一言が、セーフティネットの”ある一面”を端的に表しています。
救済手段をいろいろと並べてみても、結局、本当に必要としている人には届いていないという状況は日本も同じです。
障害年金の請求業務を行っていると、こうした場面によく直面します。
コロナワクチンの後遺症で社労士に障害年金の請求を依頼した場合でも、「予防接種健康被害救済制度」の利用までアドバイスできる社労士は少ないです。なぜなら、同制度は社労士の業務範囲外だからです。
また、70歳以上で寝たきりの方の障害年金について年金事務所や社労士事務所に相談しても、「65歳を超えているため請求はできません」と一蹴されて終わるのが関の山です。実際には65歳以上でも請求可能なケースがありますが、そうした極めてまれで煩雑な事例に対し詳細を確認しようとする社労士は多くはありません(「特別障害者手当」の存在を知っている社労士は少なくありませんが、業務範囲外のため具体的なサポートはできません)。
先月請求した知的障害の方、同居するお母様も軽度の知的障害をお持ちで、「月に5万円程度では2人の生活が苦しい」とおっしゃっていました。一方で、生活保護制度についてはご存じなく、そもそも役所に相談に行くという発想自体をお持ちではありませんでした。
マイディアミスターでは施設に無事入所できた祖母が世話をしてくれた”おじさん”に対し、「これで安心してあの世へ行けます」と伝える場面があります(祖母は聴覚障害者のため筆記で)。序盤から生活保護を利用して施設に入所できていては、そもそもドラマとして成立しないのかもしれませんが、最終的に落ち着くべきところに落ち着いて、観ている側としては一安心です。
様々なセーフティネットが用意されていますが、利用したい方は自力で制度の窓口(入口)までたどり着かなければなりません(しかも、たどり着いて終わりではなく、そこから複雑な手続きが始まります)。
残念ながら、障害の状態が一定の基準に達したからといって、国や自治体から親切に案内が送られてくるというシステムにはなっていません。
将来的にはAIがそうした方々の窓口となるであろうことは、想像に難くありません。しかしそのとき、多数存在する有資格者の存在意義はどこにあるのか、まさに「今そこにある危機」(トム・クランシー)です。
