2020年1月8日(金曜日)

 

温熱療法やオプジーボの話を主治医としたことは一昨日書いた。

 

そして、話が長くなりすぎたためこの日は時間切れとなり、1月13日の水曜日に再試合がおこなわれることとなった。

 

再試合にならざるを得なかった理由は私が、がんビジネスの話を持ち出したからだ。

 

私「いまからする私の話で気分を害されるかも知れないですがそれを承知でお話しします」

 

医「わかりました」

 

私「この3年で私は2度のがん切除手術を受け、30回の抗がん剤治療を続けてきました」

 

医「はい」

 

私「にもかかわらず、いま、新たながんの転移の報告を受けた」

 

医「はい」

 

私「あなたの役目は手術が済んだ時点で終わっていたのではありませんか?」

 

医「そんなことはありません」

 

私「いわゆる3大治療と呼ばれる現代医学の標準治療で手術、放射線治療、化学療法が並列的に扱われていますが実際はちがいますよね?」

 

医「私にはなんともいえません」

 

私「確かにあなたは手術前、手術によって根治の可能性があることを私に告げた」

 

医「はい」

 

私「その時のあなたの顔は自信に満ちていて頼もしく思いました」

 

医「・・・」

 

私「少なくとも今向き合っているあなたと同一人物とはとても思えない」

 

医「・・・」

 

私「では、改めて聞きます。がん治療における標準治療について先生なりのご意見はありますか?」

 

医「いえ、特にはありません」

 

私「私のがんを消してあげたいと思う気持ちはありますか?」

 

医「もちろんです」

 

私「その答えが化学療法の再開と理解していいんですね?」

 

医「はい・・・」

 

私「しかしそれがわずかな延命効果しか持たらさないことをあなたはよくご存じのはずだ」

 

医「・・・」

 

私「更なる副作用というおまけ付けで」

 

医「・・・」

 

私「なぜ、もっと患者を喜ばせたり安心させたりする言葉がその口から出てこないのですか!」

 

医「・・・それはマニュアルがあるからです」

 

私「マニュアル?」

 

医「病院には病院なりのマニュアルがあり患者さんの治療に関するルールが定められています」

 

私「医師がそれに逆らうことは?」

 

医「できません・・・」

 

私「そのマニュアルとやらの正体は病院が作ったものではなく実は製薬会社に無理矢理押しつけられたものではありませんか?」

 

医「そんなこと私にはわかりません」

 

私「あなたはマニュアルに従い誠実に自分の職務を果たしていると思っているだろうが、結果的に抗がん剤ビジネスの片棒を担がされている・・・」

 

 

この間私は何度も「気を悪くせずに聞いて欲しい」と言う言葉を繰り返した。

 

気を悪くしてるに決まってる。

そんなこと承知の上だ。

 

何故か看護記録を付けている看護師が私に「もっと言え!」と言っているように見えた。

 

看護師さんは毎度繰り返される医師と患者とのやりとりに辟易しているのではないかとさえ思えた。

 

この不毛ともいえる問答が主治医との間で交わされ、結果的に持ち時間がなくなってしまった。

 

延長戦の話は来週改めてお伝えしたい。

 

 

話は変わる。

 

カバートップの画像を見て奇異に思った人が多いだろう。

 

今、医者と向き合っている私と中外製薬のがん関連製品売上高となんの関係があるのだろうかと。

 

中外製薬は日本の製薬会社の中で6位に位置する超大手企業でもちろん1部上場会社だ。

 

私は医学に関しては素人だが、元々企業に関する情報を重視する企業に勤めていたこともあって企業の数字の見方に関しては素人ではない。

 

自分が過去30回も受けてきた化学療法薬アバスチンとゼローダを作っているのはどこの会社なのだろうと思うのは当然の成り行きともいえる。

 

またアバスチンとゼローダを作っているのが同じ会社というのも、ただの偶然とも思えない。

 

改めて見て欲しい。

 

 

アバスチン(点滴)は年間売上げ約6000億の中外製薬の大黒柱とも言うべき商品で年間約1000億を売り上げている。

 

薬価ベースでいうと私の場合500㎖で約20万円なので30回だと600万円売上げに貢献したことになる。

それも1人で。

あの無色透明の水が。

 

それが前年比23.3%のマイナスとなりそうなのは新薬創出・適応外薬解消等促進加算の返還がおこなわれ、去年の4月から薬価が15%以上下がったことが原因だ。

 

言葉は悪いが、ぼったくりの是正措置と理解してもらっていい。

 

みなさんの中でも、病院での精算時に支払額がいつもより少ないなと思った人がいるだろう。

これが理由だ。

 

次にゼローダ。

これは売上げが下がり続けている。

こっちの理由はいたって簡単。

2019年から後発薬(ジェネリック)が出たからだ。

それは特許の期限が切れたからによる。

 

抗がん剤ビジネスは特許ビジネスでもある。

 

「リツキサン」という薬の売上げが大きく下がっているのも同様の理由だ。

 

私が製薬会社の営業マンなら、アバスチンの売上げを維持するため必死で努力するだろう。

接待や袖の下、ありとあらゆる手を尽くして。

 

その行為そのものは誰に責められるべきものでもない。

 

特に上場企業は株主に対する配当の責任があり、利益を上げ続けなければならない。

 

 

話を元に戻したい。

 

私が言いたいのはビジネスや利益云々の話ではなく

 

それががん患者、特に私のような進行がん患者とどう結びつくのかということだ。

 

医師や病院はともかく、少なくとも製薬会社の優先順位はがんの撲滅ではない。

 

利益の確保だ。

 

年間100万人もの新たな罹患者を生み出すがんは最低最悪の巨大マーケットを創造し続けている。

 

そしてその巨大マーケットはがんがこの世から消えてなくなると一番困る連中が実は抗がん剤を作っているという矛盾を内包している。

 

その矛盾をついてがん患者の味方ヅラをして自由診療を掲げる医師たちはもっとタチが悪い。

 

変な言い方になるが、そこに進行がん患者の生きる可能性が逆に見え隠れしている。

 

製薬会社や研究者が利益やマーケットを無視して開発していればとっくの昔にがんはなくなっているはずだ。

 

本当は見つかっているのかも知れない。

 

少なくとも私はあると思っている。

 

私の実験はその可能性を探る一里塚に過ぎない。

 

まさかがんを消し去るために製薬会社の決算書を調べることにまでなるとは思いもよらなかったが、ほじくり返せばまだまだ情報が手に入りそうだ。

 

勉強や調査や実験も今まで以上にやり続け、結果を出すこと。

 

それがわたしのマニュアルだ。

 

 

 

ムキになって書いていたので、15時の計測を忘れていました。

17時の計測は怒りながら書いたので血圧が異常な数値を示したためノーカウントとさせてもらいました。

 

明日からまた、冷静に、穏やかに作業をすすめさせていただきます。

 

 

 

続きは明日の午後6時に発信します。

 

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