2017年12月4日

 

ストーマの交換は大体週2回を目安におこなう。

 

ストーマ認定看護師の長山さんに装着してもらったのが11月30日なので12月3、4日が次の交換日となる。

 

お風呂場で交換するのが一般的だが、私の身体にはまだチューブが付いている。

 

これらが付いたままだと当然シャワーを浴びることなどできない。

 

お腹とお尻のチューブは出血が治まれば外してもらえるが、尿管に刺さったカテーテルは抜いたら最後、自力で「おしっこ」を出さなければならないので「抜く」タイミングが難しい。

 

私の場合、1回目で失敗したため、もう一度カテーテルを刺し直すという「痛くて、恥ずかしい」地獄を体験した。

 

 

結局12月3日の夜に、2度目の挑戦でカテーテルを抜いてもらうことに成功し、身体に繋がれているのは腕の点滴だけとなった。

 

 

翌日のお昼、さっそく入浴室の時間割のボードに自分の名前を記入した。

 

ストーマパウチ(袋)は長山さんから支給されていたが、他の備品(リムーバ、泡石けん、テープ等)は病院の地下にある医療品専門の売店で揃えた。

 

入浴室の制限時間は30分だ。

 

モタモタしていると次の人が入ってくる。

 

点滴はすでに外してもらってある。

 

 

まず、ストーマを付けた状態で、先に身体や頭をシャワーで洗い、スプレー式のリムーバ(剥がし液)を使って、ストーマパウチを外しにかかる。

 

外したストーマパウチを不透明のゴミ袋にいれて、むき出しになった人工肛門をたっぷりの泡石けんで恐る恐る洗う。

 

ここまでは順調だ。

 

予定では、ここで風呂場を出て、脱衣所で身体と人工肛門を拭いてパウチ装着の予定だったが、洗っても洗っても人工肛門から何やらチロチロ出てくる。

 

長山さんにやってもらったときなにも出なかったのはそれまでなにも食べていなかったからなのだ。

 

だが今は違う。

 

昨日も今日もおかゆとはいえ「メシを食ってる」当然この「チロチロ」が何者なのかはわかっているが、こいつが止まってくれないと、いつまでたっても風呂場から出ることができない。

 

「焦る。」

 

 

結局、「チロチロ」を手で受けて脱衣所に戻り、備え付けのティッシュを数枚取り出し、チロチロごと人工肛門を乱暴に上から押さえつけた。

 

一瞬「チロチロ」が止まった。

 

人工肛門の周りを改めてティッシュできれいに拭いて、無我夢中でストマパウチを装着した。

 

本当は人工肛門の周辺をよく乾かさないといけないのだが、そんなことしていたらまた「チロチロ」が息を吹き返す。

 

さらに教えられた手順では、ストマパウチのシート(面版)を手で温めなければいけないのだが、まだ身体も髪の毛も濡れたままだ。

 

左手でバスタオルをつかんで身体をふきながら、右手で面版を押さえて暖める。

 

髪の毛は片手では無理なので、面版から手を離し、両手でこすりまくる。

 

入浴時間はとっくに過ぎているが、このままの状態で出られるわけがない。

 

面版も気になるが、時間はもっと気になる。

 

 

引きつり顔の「超焦りモード」から

 

「やけくそモード」に自分が変わっていくのがわかる。

 

「やけくそモード」の時の顔は、もはや笑顔だ。いい顔だ。

 

 

想像してみて欲しい。

 

お腹にストマパウチをぶら下げたスッポンポンのオッサンが、仁王立ちで薄ら笑いを浮かべてる。

 

想像を絶するとはまさにこのことだ。

 

アドレナリンがまわりすぎて「江頭2:50」状態になってしまっている。

 

放っておけば、俺はこの姿で病棟を走りまわるだろう。

 

看護師を襲うかもしれない。

 

「$%X♡◎X!#?」

 

そうだ「ここは病院だった!」

 

飛び出す寸前で「我に返った」わたしは、まだ濡れた身体に無理矢理パジャマを着けて、4人部屋に逃げるように戻った。

 

結局わたしは、ここから1年9ヶ月の間ストーマと付き合うことになるのだが、この「チロチロ」にはとうとう最後まで悩まされることになる。

 

 

 

本文(後編)ここまで、明日に続く。

 

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「おなら(ガス)」を制する者が人工肛門を制す。

 

ストマを付けている人なら共感してもらえると思うのですが、ストマの最大の敵は「おなら(ガス)」だと思います。

私自身、自分が寝ている間にこんなにも「おなら」をしているとは思いませんでした。

ストーマにまつわるトラブルの原因はほとんどこの「おなら」に起因します。

この「おなら」(もちろん排泄物も)のせいで寝ている間にストマがパンパンに膨れ上がり、逃げ場を失ったガスが面版の穴を押し上げて隙間を作り、そこから「排泄物」を誘導します。

気がついたときは手遅れです。

わたしのような「回腸ストーマ(イレオストミー)」は大腸を経由せず小腸から排泄されるため基本的に「便が柔らかい」ので特に逃げやすいのです。

 

 

今すでにストーマのトラブルで困っている方、これからストーマを着けざるを得ない方は以下を参考にしてください。

 

●ストーマ装着者の気をつけるべき点

 

1)自分の排便のリズムをできる限り知る。

 これがわかれば苦労はないのですが、人工肛門から「チロチロ」が出る時間帯、量、傾向を見つけることができれば、装着時の「チロチロ」にイライラせずにすみます。私はとうとう完全には傾向を見つけることができませんでした。回腸ストーマ(イレオストミー)の方は特に難しいです。理由を一言でいうと、「小腸はバカ」だからです。結腸ストーマの方は「大腸は賢い」ので「チロチロ」に悩まされることは少ないと思います。

 

2)「おなら」対策に万全を期す。

 対策は2つしかありません。

 1つはストーマパウチを完全に「空」にしてから寝ることです。

 忘れて寝てしまうと朝泣くことになります。

 もう一つはやはり食べ物と、飲み物です。豆類、芋類が要注意なのは言うまでもありませんが、最も怖いのは炭酸飲料です。コーラには絶対手を出してはいけません。

下の写真のようにストマがパンパンに膨れ上がり、

エライことになります。

 

3)ストーマの「サイズ」に注意する。

 ストーマは時間を経るにつれて小さくなります。2ヶ月を経過すると大きさも安定しますが、それまでは注意が必要です。穴が「ブカブカ」のストーマは装着は楽ですが、「漏れ」と「かぶれ」を引き起こします。

 

4)ストーマの内部は「絶対」洗ってはいけない。

 どうしても「ウンコが溜まる」と見た目がいやなので、キャップの口からお湯を入れて洗いたくなる気持ちはわかりますが絶対やってはいけません。早く「漏れ」ます。

ストマ用トイレにはハンドシャワーも付いていますが、洗うのはキャップの部分だけにしましょう。

 

 

5)剃っちゃいましょう。

 

 どうしてもストマ交換時にアンダーヘアは邪魔になります。

 私は子供みたいに「ツルツル」に剃っていました。

 小学生みたいで「カワイイ」です。

 さっそくやってください。

 

6)「腸液」について。

 実は人工肛門以外からも「チロチロ」出るものがあります。

 それが「腸液」です。

 ゼリー状の透明な液体です。

 これは「本物の肛門」から出ます。

 「胃」とつながっていないにもかかわらず「出ます。」

 食べ物を食べたことを認識した「大腸」が排便を円滑におこなうために事前に放出します。

 このように「大腸」は「脳」以外で唯一「脳のような」活動をおこなうことができる臓器です。

 大腸を「賢い」と表現したのはこのことを指します。

「腸液」は不定期にかなり長い期間出ます。

 量はたいしたことはありませんが、かなり不快です。

 私は女性用の生理ナプキンをお尻に挟んでいました。

 

 

他に思い出したら追加します。

 

 

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◎「願い」は過去形に置き換える

 

繰り返し何度も言います。自分への「祈り」「願い」は厳禁です。

「がんが消えて欲しい」は「がんは消えている」に

「痛くなりませんように」は「わたしは痛くならない」に

「死にたくない」は「私は死なない」というふうに

 

自分に宣言してください。

 

「がん」は自信満々の人も苦手です。

私は今ももちろん毎朝宣言しています。

「わたしのがんは消えている」と。

前々回も触れましたが「縁起を担いで」言ってるのではありません。

ただの「ルーティン」です。

私も人間ですからいつかは死にますが、少なくとも「がん」では死にません。

 

 

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