桂離宮 | 渋谷 茶道教室「松濤庵」

渋谷 茶道教室「松濤庵」

渋谷 茶道教室、松濤庵のブログ。季節に合わせた本格的なお道具を使用して稽古いたします。男性、お年を召した方、全くの未経験者も歓迎いたします。

たいへんご無沙汰しています。昨日、初めて桂離宮に伺いました。京都はいつもお茶に関係することで行くので、たいてい着物を着ての道中ですが、今回はスニーカーにパンツの軽装なのでとても楽ちんでした。久しぶりに美しい夏山の富士山を拝み、おにぎりを3個も食べて準備万端。





見学はweb予約済で9時から。当日予約の方も多くいらっしゃいました。ガイドさん付きで一グループは10人ちょっと。外国人は3人ほど、外国語の説明もイヤフォンで聞けるようです。見学は1時間ほど。池の橋を渡ることや飛び石の上を歩くことも多く、足元に注意して歩きました。昨日までの雨のおかげで緑が鮮やかで、苔がみずみずしく気持ちいい散策でした。今から400年位前に造営がはじまり、後水尾天皇のときに完成したそうです。創建以来、火災に遭うこともなく殆ど完全に創建当時の姿だそうです。近くの桂川の氾濫により建物が水に浸かることはあったとのこと。周りの田んぼも買い取り景観保持をしているそうです。









当時は、外待合から池を対岸の灯籠の明かりをたよりに小舟で渡り茶室に入ったそうです。侘びた風情ですが市松模様の襖に床の間、胡粉をおきあげた唐紙、矢を形どった取手など今も斬新なデザインで、至るところに匠の技が見られて、なんてセンスがよいのかとため息ばかりでした。









残念なことは、明治時代以降、これらの茶室で茶会をすることはなく、つくばいは小石で埋められいました。畳や襖も傷みがひどく、大改修工事はされたていますが、実際に茶室は使わずに細部が朽ち果てもったいない限りです。裏千家や聚光院の茶室などは普段から大事に使われて柱が黒光りして、いい年の重ね方をしていますが、桂離宮の茶室には残念な年の重ね方を感じました。やはり茶室は使われて生きる、いわゆる用の美だということを実感しました。


明治維新以降、天皇が東京に移られてからは、西欧諸国の文化を積極的に取り入れて、神仏分離令もあり仏門に入る皇室の方もおられなくなり、茶の湯から遠くなられたのかもしれません。後水尾天皇の奥方の東福門院と裏千家三代家元元伯宗旦は交流があったとのこと。同じ時代の松花堂昭乗、江月宗玩や宗旦も後水尾天皇の茶会に招かれたことはあったのかしら。桂川の辺りを歩く帰り道、どんなに雅で美しい茶会をされていたのか暫し妄想して楽しみました。今秋は修学院離宮へ伺う予定です。