※なかなか語られない宝塚の演出家について語ります。少し長くなってしまいますが、もっと深く宝塚を愛せると思いますので、ぜひ読んでください。


宙組の公演が発表されましたね!


長い休演期間を乗り換え、ようやく舞台に立つことができると、組子もファンも喜びに満ちていることと思います。


さて、そんか公演再開の一発目の作品はショー作品です。


前提知識として、宝塚は通常、お芝居とショーの二本立てで公演が行われます。しかし、今回の宙組公演は準備期間を考慮し、ショーのみの公演が決定となりました。


もとより公演予定だったお芝居と日本物のショーは共に公演が見合わせになり、ショーが新しく作られる形となりました。


宙組にとって再出発となる大事な公演。担当する演出家は、斎藤吉正先生です。


斎藤先生といえば、お芝居もショーも何でもこなすマルチな演出家として知られていますが、その中でも特にショー作品には定評のある演出家です。


2023年に上演された星組のジャガービート、


2018年に上演された星組のキラールージュ、


2015年に上演された雪組のラ・エスメラルダなど、どれも一度見たら忘れられないインパクトのあるエネルギッシュな作品ばかりです(ぜひ見てほしい)


しかし、今回読者さんにお伝えしたいのは、そんな作品の中からポロポロと感じ取れる、斎藤先生の「深い愛」についてです。


不祥事で社会から問題視されてしまった宙組の記念すべき復活一発目となる作品を急遽任されたのは、劇団側の斎藤先生に対する大きな期待があると私は考えています。


ここからは過去の事例から斎藤先生の「愛」について、2つほどご紹介できたらと思います。尚、いずれも筆者の解釈であることをご了承ください。


一つ目 : 生徒一人一人への愛


斎藤先生は、過去作のショーの中でトップスターはもちろん、無名の下級生まで、実力のある子ならどんどん手前に出して、生徒にチャンスを与えます。


今までソロで歌ったことなかった生徒がソロパートをもらったりすることもたくさんです。


「この子はこんなこともできるんだぞ〜〜!!この子はこんな歌えるんだぞーーー」


みたいな感じでしょうか笑


見ている側も、斎藤先生の作品で組子の名前をめちゃくちゃ覚えることができます。


「あの子めっちゃ歌上手いんだね」「こんな子いたんだ〜」


みたいな会話がファンの間でもたくさん起こるんです。なので、推しのスターさんだけでなく、組全体を好きになってしまうことがあります。


そして、その組に所属してる推しのスターがもっと好きになってしまう。。。。みたいな、愛のサイクルが生まれます。(共感してくれる人いるかな)


斎藤先生の作品からは、


「作品はスターさんだけじゃ成り立たないし、スターがいなくても成り立たない、作品は組子一人ひとりによってできてるんだから、一人一人を大切にしないでどうする!」


みたいな情熱を感じます。誇張がかなり入ってしまいましたが、組子の登場回数の多さという事実から、斎藤先生の組子への思いが感じられるのは私だけではないはずです。



二つ目 : 退団者への愛


これを語るために、過去に斎藤先生が担当したショー作品を2つご紹介したいと思います。


2012年に上演された月組の「Misty Station」と2014年に上演された花組の「TAKARAZUKA♾️夢眩」です。


どちらも、10年以上前の作品なのでご存知のない方もいらっしゃるかもしれません。


この2作品の共通点は、「トップスターの退団公演」ということです。


詳細はここでは省きますが、私がここだお伝えしたいのは、斎藤先生の「退団」に対する解釈です。


通常、トップスターの退団公演は「別れ」「悲しみ」「夢の終わり」「さよなら」「感謝」などをテーマに集大成として何かを見せる演出がされます。(安蘭けいのラスト公演にも「夢の終わり」という歌詞が登場していましたね)


しかし斎藤先生は生徒の退団を何かの「終わり」と捉えるのではなく「始まり」と捉えます。


退団公演の一作目、「Misty Station」のプロローグの歌には、こんな歌詞が登場します。


「さあ、旅立とう冒険の世界へ、My treasure, My Adventure 走り始めた僕の夢」


何と素敵な歌詞でしょうか。当時月組のトップスターであられた霧矢さんの背中をそっと押すような意味合いを感じます。


二作目「TAKARAZUKA♾️夢眩」はもっと前向きです。主題歌にはこんな歌詞が登場します。


「新たな星、新たな世界、新たな夢。(中略)今こそ翔け、限りない海の空、クリスタルのようなスカイ、勇気抱きしめ」


歌詞だけ見たら、トップスターのお披露目公演と勘違いしてしまうくらい、前向きに「終わり」を「始まり」と捉えていることがわかります。


こんな感じで、


別れ際に涙を我慢して元気に手を振ってくれる子供のような、


「いってらっしゃい!!!」とも言わんばかりの純粋さを斎藤先生の「退団公演」からは感じるのです。


そして、その斎藤先生の「愛」に気づいた瞬間涙が止まらなくなるのです。




ここまで生徒一人一人への斎藤先生の「愛」について、過去の事例から語らせていただきました。


しかし、あくまで「ファン」でしかない私の意見を述べたところで、実際に在団している生徒が斎藤先生に対してどう感じているのかが大切な所だと思います。


そこで最後に、こんなツイートをしている宝塚OGの方がいたのでご紹介したいと思います。


この方は「音咲いつき」さんという元星組の娘役(元男役)です。斎藤先生によるショー、「ジャガービート」で退団されました。


https://x.com/otosakiitsuki/status/1778980766862680274?s=46


以下引用


「ヨシマサ先生って、人の心を救い上げる力があると思うんです。ワタシもそのうちの1人で、宝塚在団中最も心の支えとなる先生でした。宙組さん再開にあたり、ヨシマサ先生のパワーで、多くの方の心が救われますように。必ず観に行きます。」


引用終了


ここでいう「ヨシマサ先生」とは斎藤吉正先生のことですね。また、この後に返信で「吉正先生の公演で退団したいと思った」との旨が書かれています。


生徒からも相当信頼されているということが伺えますね。


さて、ここまで長々と語ってきてしまいましたが、少しでも、宙組の公演を「斎藤吉正先生」がやるということの意味が理解いただけましたでしょうか。


私も見に行にいく予定ですが、今から楽しみで仕方ないです。


音咲さんがおっしゃるように、きっと今の宙組を深い愛で包み込んでくださるに違いありません。


ここまで読んでくださりありがとうございました!