エチオピアの奥地でムルシ族に出会った
エチオピアのひとつの目玉と言えば、少数民族を訪ねるたび。
おれら旅行者は基本、見どころのある大きな街と街を結ぶだけですが、その間の村々でも人々の生活が営まれていて、電気もガスもないところで、わらを被せたような家に住み、炭や薪で料理をし、家畜を育てて、生活している人たちがいます。
そんな少数民族の中でも最も有名なのが「ムルシ族」。
テレビなどで見たことがある人もいるかもしれませんが、「ムルシ」の女性たちは唇を切り、そこに皿をはめています。
「首長族」の首が長いほど美しいとされるように、「ムルシ」もこのお皿が大きければ大きいほど美しいとされているんだとか。
某日、そんな「ムルシ」の村を訪ねようとしたことがあったんだけど、あいにく前日の雨で道が不通になり、念願かなわなかったのですが、ジンカのマーケットを訪れた際に、買い物に来ている「ムルシ族」に出会うことが出来ました。
お出掛けの際は皿を外すようで、その姿を拝むことは出来ませんでしたが、その唇がぶらんと垂れ下がっているのが分かるでしょう。
これはまた別の女性。
この方も1枚の布を巻いた格好で、赤ん坊にお乳を飲ませながら、マーケットで買い物をしていました。
その良し悪しは別として、いまも独自の文化・風習を守って生活している人たちがいることは貴重なことですが、ジンカで仲良くなった人からこんな話を聞きました。
「テレビや本なんかの影響で、いっきにムルシが有名になって、観光客が押し寄せるようになったんだ。その結果、ムルシの人たちは畑を耕すのをやめ、ただひたすら旅行者が来るのを待ってる。観光客が落とした金で、酒ばっかり飲みながら暮らしているのがいまのムルシなのさ」
そういえば先述のジンカのマーケットで会った時、むこうから
「フォトフォト」
と声を掛けてきて
「ワンフォト、10ブル」
って言われたっけ。
これら少数民族の村のほかにも、ラリベラの教会群や古代都市アクスム、国立公園でのサファリなど、観光資源に恵まれたエチオピアにとって、旅行者は貴重な収入源であると同時に、これまで先祖代々培ってきた大切な文化を壊しかねない、諸刃の剣のような存在なのです。
旅行する際の心構えとして、現地の人たちのプラスになりこそすれ、彼らが不利益を被るようなことになってはいけないと思いながら、人々の暮らしをなるべく邪魔しないように行動しているつもりですが、果たしてそれだけでいいのか、と考えさせられたエチオピア少数民族を訪ねるたびなのでした。

