【ステーキハンバーグ けん】の創業者であり、〝ロードサイドのハイエナ〟の異名を持つ井戸実さんと田原総一郎さんの対談本を読んでいたのですが、
井戸さんが当時22歳の頃、働き出した〝築地すし好〟をすぐに辞めてしまうわけですが、その理由が自分が店を辞めた理由と重なり過ぎていて、とても驚かされた。
僕が最初の職場で働き始めた頃、スーシェフにあたる方に「このレストランは、シェフ級の人ばかりだ!」と言われたのですが、実際に現場に入って働いてみると、とても新陳代謝の悪い職場であることに気付き、「一体、この人達はいつになったら今の店を辞めて、シェフとして自分の店を出すの?」と思ってばかりいました。
もちろん、オテル・ドゥ・ミクニの三國さん、シェ・イノの井上さん、ラ・ベットラの落合さんのような、料理業界では伝説と呼ばれている方々のような、下積み時代を経て開業に至り、成功している例というのは素晴らしいと思いますが、
それだけが自分の店を持つ方法かと言えば、そうではありませんし、その世間で王道のように言われているやり方が、必ず上手くいく保証もどこにもありません。
井戸さんは38歳になる、現在に至るまでに150店を潰してきたと対談本の中で言っておられますが、それほど飲食の世界は厳しく、そんな状況下の中で「開業1店目にして、1発当てよう!」みたいな考え方の方が、僕にとってはギャンブルなように思えます。
現場で働いているだけではダメだということを改めて思わされた対談本でした。