高校生活最後の夏休み。
文化祭を夏休み明けに控えながらもクラスがまとまってない感じがするというピンチ。
しかし、自分は文化祭に関してはアメリカ留学から帰国した友人に丸投げしてしまいました。
文化祭では彼が脚本、演出をしてミュージカル的な物をやることになってたんですが上手く準備も進まなかった。
そりゃいきなりみんなから丸投げされて、全て任せたってなったらしんどいよね。
なぜみんなで作り上げていかなかったのか今ではスゴく反省している。
夏休み終盤になっても小道具も揃っていなければ、台本や配役も途中な感じだったし、稽古的なものも全く出来ていなかった。
そりゃあみんなの集中力がない状態じゃ無理だよね。
そんな状況に自分も流石に危機感を感じ始めていた時にポン!!っと閃きが。
これだ!!
これを舞台化すれば絶対にイケる!!!
それは…
『パイレーツ・オブ・カリビアン』!!
ちょうどその夏に3部作の2作目が上映され大ヒット。
自分もどハマりし、パイレーツ関連の本なんかも色々と手に取って読んだりしてました。
その時に読んだのが主人公であるジャック・スパロウの少年時代を描いた児童小説。
たぶん小学校高学年向けくらいかな?
原作とどの程度関係あるからはわからないけど、ジャックの少年時代の設定とか気になって読みこむ。
これ舞台にしちゃえば良いんじゃないか?
まずサントラの曲を使えば盛り上がりは必至。
配役も一瞬で浮かんだ。
音響や小道具作りもクラスにそれぞれ適任がいる!
後は台本を書くのみ…
とビックリするくらい完成が頭に浮かび、現状を打破するためにクラスのみんなに提案。
もちろんそれまでやろうとしていた舞台の脚本を書いてくれていた彼にも。
みんな賛成してくれて、クラスも一気にまとまりを見せるようになったと思う。
彼には結構堪えた出来事だったかもしれない。
もっと計画段階から力になれていれば…。
また違った作品を創り出せてたかもなぁと思ったりもする。
彼は今もミュージシャンとして活動している。
自分もプロレス続けてるし、どこかで一緒の舞台に上がるってのが小さな夢だったりします。
で、話を戻して、クラスのみんなに計画変更の賛成をもらい即行動開始!
まずは台本!
原作はあるわけだし、そこまで苦ではなく一晩徹夜して完成。
配役は多数決や立候補はなしにして全て自分の独断で。
演者から裏方、全てにおいてぴったしハマった。
誰一人として仕事のない人は作らないようにした。
急ピッチで小道具などを作成し、役が与えられた者は稽古。
自分はちょい役で出演して常に全体を把握出来るようにした。
台詞だけでなく大事なのが殺陣。
パイレーツ・オブ・カリビアンのサントラに合わせて男子数名で殺陣シーンを作成。
曲の尺にぴったしハマるように繰り返し繰り返し練習。
学校が使えない時間も公民館の会議室を借りたりして稽古をした。
とにかくクラス全員が完璧に仕事をこなしてくれた。
クラスの多くがまだ受験を控えていたのに。青春って良いもんだなと思います。
文化祭は2日間あるので公演は2回。
いよいよ本番。
初日は完璧!全てが上手くいったし、評判も上々!
2日目はちょっとは緊張もほぐれてきてきっとより良い物が出来るはず!と臨んだらまさかのハプニングが…!
一番盛り上がるラストの殺陣シーンで剣がジャックの短剣が折れてしまったのです!!
ホームセンターで買った木材を削っただけの剣ですからね。
稽古の時も何本か折れてはいたけどまさか本番の一番大事なとこで折れるなんて…!
自分は舞台袖にいて出るシーンじゃない、どうする!?
折れたままでやり過ごすしかないか…?
と、諦めかけた時!
ヒロインの子が舞台に落ちていたもう1本の短剣を「ジャック!!」ってアドリブでトスしてくれたのです!
ジャックもそれをキャッチし、敵役の人も対応し殺陣シーンはミスなく完遂!
後から聞いたら観てた人には剣が折れたのは演出だと思ってたみたい。
アドリブに見事に対応したみんなに脱帽です。
結果、表彰では見事に金賞を獲得!!
高校3年間ではこの文化祭が一番の思い出ですね。
これが自分にとっては初めての“興行”だったんたなと今は思います。
中学校生徒会でイベントに携わることの楽しさを知り、高校の合唱コンクールで人から拍手をもらう快感を知り、この文化祭でエンターテイメントの世界にどっぷり浸かりたくなる欲が完全なものになりました。
進路を考える時期でもあり、この文化祭のあとにやっぱり受験は止めてプロレス団体に入門しようかと悩んだこともありました。
結局普通に大学受験をして学年プロレスをすることになりましたが。
人を楽しませる喜び、その舞台を作り上げるやり甲斐を知った文化祭。
次は“プロレスをやりたい!”
そう思うことになった決定的な出来事について書きましょう。