足と靴について③~事例とこれから~
足と靴シリーズ最終回です。
こんな依頼がありました。
『靴選びで散々苦労したので、次に買う靴を最後の靴にしたい』
ご高齢のお客様でした。
ご挨拶をする前の第一声の言葉。余程の苦労があったのでしょう。
足を見ながらお話しをお聞きすると、ご苦労の意味がわかりました。
『この足のせいで、どこに行ってもぴったり合う靴はないと言われた。だからサンダルが一番いい。でも…遠くに出掛けて歩く時や、サンダルで人に会うのは失礼な場合がある。そんな時に履く靴がほしい』
高齢者の…
靴が欲しい…
靴を履いて出掛けたい…
靴を買い替えたい…
には必ずドラマがあります。
靴を売る前にすべきことは…
お客様が何故靴を欲しいか?
どんな人生を歩んでこられたのか?
これからどんな未来を歩きたいのか?
お客様が語りたいドラマをお聞きし、語れないドラマを空気で察し自然と準備しておくこと。
福祉用具専門相談員で一番大切なのは「福祉用具専門」ではなく「相談員」。相談が最初にきて福祉用具専門が次にくる。
「福祉用具専門」は商品紹介ではなく、使い方、事例説明。事例を語れるようになれ。要らない話しをするな。今必要なことを話すこと。10ある機能の全てを話す必要はない。
私が業界に入った時に先輩に教わったこと。
何年経っても色褪せない言葉です。
いかに相談しやすい空気を作るか?準備するか?日々そうなれるよう努力しています。
話しを戻して…
足を見ながら、今まで履いた靴の形状、そのメリット•デメリットを聞いていきます。
『あなたのような会社、装具屋さんからもう10足以上靴を買った。正直今日もそんなに期待していない』
期待されなくても、期待されても燃えるタイプなので(笑)なんとかしてあげたいなと思いました。
「準備の時間をいただきたいので、改めて○月○日○時に伺います」
事務所に戻り…
はて…困った…。
マジックテープ式
『半年も経つとマジックがつかなくなるから嫌だ』
スリップオンタイプ
『この間口の靴は足が入れずらいわ』
足の変形に対応する柔らかい靴
『この靴は伸びるのはいいけど、私の足だと靴擦れを起こす』
確かに10足以上履いて来たご経験をお持ちでした。
どうしたもんか…。自分になかった経験って、ふいに凄いタイミングでやってくるもの。
考え抜いても調べてもわからない出来事の場合、関わる方に相談するようにしています。
会社の社員さん。
メーカー担当者。
リハビリ職。
その人に携わっている介護職。
相談する中で、ご意見をまとめながら、光が見えてきました。
①課題は足を靴に入れるときの間口。
②足を組むことができないので、履く位置を上げる事はできない。
③ご病気に負けず毎日歩いている。3km散歩する。
3つの課題をクリアする靴。
3つの課題に寄り添う靴。
3つの課題に向き合う福祉用具専門相談員。
改めて工夫してみました。
チャックで間口を広げ、足を入れやすくし、インソールで足の負担を減らす。
履いているうちに靴、インソールが足に馴染んでくるので更に履きやすく、歩きに違和感がなくなることをお伝えしました。
3日後…
お客様よりTEL。
「靴はまだ履きなれてないのもあるのか、少し硬く感じるけど、インソールがあなたの言うとおり足に馴染む感じがするわ。今日はこの靴で近くのスーパーと、友達のところに行ったわ」
「あなた心配そうな顔してたから…連絡してあげたのよ」
顔に出ていたのはプロとして失格ですが(笑)
お礼の連絡をいただきました。
~了~
事例を組み合わせた作話です^0^
でもその流れと、専門職として悩む経緯は日常そのまま。
上手くいかない方が多いです。3~4回の訪問では済まないことも日常茶飯事です。
今週1週間、福祉用具の事を学びたい学生の実習があり、靴の事、足の事を教えるにはどんな教え方をしたらいいのか?何が大切なのか?現場でどのような確認をしたらいいのか?どう調べたらいいのか?3部作にして自分の頭をまとめてみました。
靴のこと、足のこと。
人を支える福祉用具の構造説明、組立、解体。
担当者会議の構成、福祉用具専門相談員としての進行、話術。
住環境整備のBefor・After。資料の作成、その真意。
筋緊張の緩和を生むポジションニング方法。ご家族への指導方法。
おむつの付け方、排泄ケアの実際。
福祉用具のフィッティング方法と会話構成。
福祉用具専門相談員を実習するって教える方も、教わるほうも大変だと思いました(笑)
私の背中は未来の卵達にどのように映るのかな…。
人の目線が気になるようでは、まだまだ修行が足りないのでしょう。















