皆様こんばんは。
人生の相棒を共に探す相談員もりこ~です。
毎年1回、福祉用具を作る現場を見に行く研修を設けています。
作り手の想いを現場で伝える事が、福祉用具専門相談員の仕事のひとつです。
「仕入れしている」ではなく「仕入れさせていただいている」という感覚を持つこと。
メーカーさんの商品プレゼンを腕組みして聞いてるような姿勢では仕入れしているから抜け出せません。
仕入れしたものを、ただ売るだけでは、何の想いも伝えられない。
競争に走り、自分の首をしめて、作り手への負担を掛ける。
事業は衰退し、身売りや、倒産が相次ぐ。
既に現実にあることです。考えるだけで怖いことです…。
そうならない為に…作る現場を見に行くことは大切なこと。
去年は日本一のケアシューズメーカー、徳武産業さんを見学させていただきました。
見学し、感じたことを業務に活かし続けた1年。
足と靴の相談にストレスを感じなくなりました。今では靴の相談をいただくとワクワクするようになりました。
2016年は…
紙おむつの疑問解決です。

おむつメーカー、王子ネピア福島工場の見学。

盛岡から高速を使って3時間。意外に近いです。
何故見学したかったのか?
福祉用具専門相談員として、介護職として、おむつの相談を受けた時に歯痒さを感じた事がありました。
「もっと安くならないの?」
「在宅介護でもっと楽におむつを付ける方法を誰に聞けば教えてくれるの?」
恥ずかしながらこの質問に上手く応えられない自分がいました。
質問をお返しして、色々聞いていくと…
経済的な事情、初めての介護へのとまどい、予期しない出費への心労など様々な現状があります。
在宅介護で、一日紙おむつ3枚、尿取りパッドを5枚使うとします。
月間で240枚、年間で2,880枚使う換算。
これを介護施設に当てはめます。
おむつを使うご利用者が30人いれば…
月間で7,200枚。年間で86,400枚使用する換算となります。この枚数に伴って出費がある。
ここだけフォーカスすると凄い数です。
紙おむつを販売する媒体はここ10年で急激に増えました。
私たちのような福祉用具事業者。
コンビニ並みに店舗拡大を続けるドラッグストア。
食品と一緒に購入でできる量販店スーパー。
持ち運びの手間が省けるインターネット。
在宅介護で使用するケース…
病院・介護施設に入所しているご利用者へ家族が買っていくケース…
全ての媒体でお客様のニーズに沿って購入できるサービス・環境が設けられています。
私も子供のおむつ交換を毎日しているので、その作業の大変さと、お金に羽が生えて飛んでいく様子が痛いほどわかります。
毎日の生活と出費…。
誰に、何を、どんなことから相談したらいいのかわからない。
まして、家族の排泄のことなんて…。
考えれば考えるほど殻に閉じこもる現実が紙おむつの相談にはある。
これは時間が掛かっても何か一歩踏み出さないといけない。自分でわからないなら人の手を借りなければいけない。
そんな想いから王子ネピアさんにご無理を言って見学をお願いしました。
前置きが長くなりました…(笑)
ヘルメットをかぶって工場に入ります。

ネピアさんの工場内は特許の塊。写真撮影は難しいとの事でイメージ画像でご容赦下さい。テープ止めタイプの製造場面を見学しました。

工場内にある機械は全長約100m。

実際かなり似た画像です↑
「あの形」ができるまで幾百の工程があります。
まずは"あの柔らかい形状"になるよう、厚紙を砕く事から始まります。
実際触ってみると製造前の原紙は、画用紙のような硬さでした。
砕いた紙を慣らし形に仕上げていきます。

(写真はイメージです)
仕上げた原版の真ん中部分に紙おむつの命とも言える「ポリマー」と呼ばれる尿を吸う素材を付けます。
更に表裏を付けるテープ止め素材、漏れ止めのギャザーを付けて完成です。
凄いスピードで機械が動いているので人的な苦労などないと思いきや、意外な言葉が返ってきました。
「製造ライン上にある機械はひとつでも動かなくなると、生産が全て止まります。機械は人の手で直す以外ありません。2012年に工場が竣工した当初はラインが止まることがしょっちゅうで本当に苦労しました」
せわしく動く機械音の間に、工場長の言葉が、そこだけはっきりずっしり聞こえました。
その場に行って聞かないとわからないこと。これが作り手の苦労なんだなぁとまじまじと感じました。
おむつの品質を管理する部屋へご案内いただきました。

(写真はイメージです)
吸収量の検査、引っ張ってもちぎれないかの検査、異臭の検査などなど様々な検査を潜り抜け出荷されている事を知りました。
検査に引っ掛かると製造ラインを止め調査する。
100mの機械の総チェックをする。
これは大変だわ…。
製造のスタッフさん、品質管理のスタッフさんに実際のご苦労をお聞きしました。
「おむつのサイズが違うと、原料、工程が変わるので気を使います」
「休みなく工場は動いているので異常が起こらないようチェックのチェックをしています」
「自分達の検査基準が正しいものであるのか?の見直しもしています」
たくさんの人の手を伝って1枚の紙おむつができる。
紙おむつは消耗品という分野に位置付けらています。
でもそれはただの消耗品ではありません。
何らかの理由で自身での排泄コントロールが難しい方が"それを"を人の手で付けられるように、毎日毎日品質管理を重ねながら作られています。
そして…どのような想い、工程、管理で作られているか、感じることができました。
工場内には原発の影響で放射線を計測する機械があります。
福島県外に住む人は"そこに"に気付きません。
あの日の爪痕はまだ傷跡が深い。
だから、それを、伝えること。感じる事。想う事。
そんな生き方が必要なように思います。
人に会いに行く旅。
福祉用具専門相談員は個人の技術で成り立つ専門職ではありません。
作り手の気持ちを伝え、必要な人の話に耳を傾け、使い続ける人の生活を守る職業。
様々な人と触れ合える、本当に奥が深い仕事です。
次のステップはおむつの事、排泄の事が相談できる環境の準備をする事。またひとつ大きな山を越える事になりそうです。
最後に…

工場長と弊社代表者の篤い握手でこの旅のレポートを終えたいと思います。