司法試験の過去データから合格者の1回目割合と2回目以降の割合を分けて計算してみた

 

 

R元 2回目以降合格 1502人中618人 41.1%

R2 2回目以降 1450人中490人 33.8%

R3 2回目以降 1421人中397人 27.9%

R4 2回目以降 1403人中357人 25.4%

R5 2回目以降 1781人中197人 11.06%

 

何故、2回目以降の受験生の合格率が低いのか

 

令和元年くらいまでは、1回目合格じゃなくても2回目以降合格が当たり前に近かった。

 しかし令和2年以降、急激に2回目以降の合格率が下がっている。特に在学中受験が始まり令和4年から2分の1以上2回目合格者割合が減ってしまった。

 単純に考えれば勉強すれば知識理解も増えるためベテ有利なはず。ベテは必ずしも勉強サボっているわけでない。何故、2回目以降は受かりにくいのか。Studywebの言うとおり受かりやすい人はすぐ受かる、受かりにくい人は受かりにくいとの傾向が顕著に数字で表れている。

 大きな理由として、試験傾向の変化だと思う。

 

試験傾向の変化及び分析

 

 浪人生の合格率がそこそこ高い令和元年は全体的に出題テーマが現役生には厳しい内容だった。

 

憲法 虚偽表現の自由 

行政法 無効確認、違法性の承継 

商法 設問1は超難問 247条類推

民訴 管轄

刑法 事後強盗の結合犯などあまり手が及んでなさそうな学説対立が多い

刑訴 まさかの別件逮捕学説対立

 

これは、手が回っていない現役生であればかなり苦戦する内容であろう。知識理解が深い浪人生も解きやすいし、現役生の方が合格者分布で若干高い程度であり浪人生も希望の光があった

 

しかし、令和5年は知識重視じゃない。事前準備が極めて困難な生存権及び意見書型の問題、やったことあまりない9条2項を使わない原告適格の処理、配偶者短期居住権のように自力で条文探す能力や、商法も典型論点ながら事務処理能力がかなり求められるようになっている。センスのある若手を合格させる意図であろう。

 また、R4までは過去問親和性が全体的に高めだがR5以降低くなっている。R5は行政法と刑訴と商法くらいであった。R6は、公法と民訴と刑訴くらいであった。分析しまくっているベテが圧倒的に有利にならないようにしているのだと思う。

 だから令和以前の複数受験合格者の過去問分析の重要性を語っていることについてはどこまで正確か自力で判断する必要もあるのかもしれません。私は過去問殆どの年度起案してこの結果なので過去問分析の頻度を減らしてインプットの比重を増やせばよかったと後悔しています。何故、ローの在学生で時間がないはずで過去問の手がそこまで回ってないのに受かるのかを考えないといけないと思います。

 ただ、誘導や書き方や出題者のメッセージに気づく必要があるため、過去問分析不要だとは思いませんが過去問ばかりやるのは危険かもしれません

 

 今年も在学中受験で若手合格のため1回目合格させる割合を今より増やすだろう。公法のように対して知識が必要でなく(行政法に当たっては違法性の承継の判例の規範をあらかじめ誘導文に明示しているため試験委員は規範を正確に覚えていることでなく規範の意味を理解して事案で使いこなす能力を求めている) ただし、勉強しなくていいというわけではなく、判例の考え方を理解しないと使いこなせないわけではあるが…

 民法も論点についてそこまで多くなくむしろ条文操作が多く論証使う場面が少ない。商法は採点次第であるが単に正解筋に乗っているだけでなく事案を理解しているかという観点で採点するだろう。設問2なんて地裁判例で百選にすら掲載されていないため知らなくても勉強不足とは断言できず、問題との向き合い方だろう。

 自分にはできなかったが「なぜ我々だけ締め出されるんだ、容認できない」という株主丙社の主張の誘導を読み取って、株主平等原則を想起する能力が求められているのだと思う。

 論証自体は使う場面がほぼないから論証だけ覚えているベテ受験生を排除する趣旨だろう。

 民訴は方向性が決まっているため、知識のひけらかしばかりするベテを落とそうとするだろう。

 刑法は過去1の解きずらさではあるが、当たり前のことすらできない自分はともかく学説の深い理解より取った立場でキチンと処理できるかどうか、時間内に書き切るかを見てるだろう

 刑訴は過去1簡単?であるが書き負けてDEの人もいるだろうし、年配の筆力が低い人を落とす意図かもしれない。

 

 

 結局、今の司法試験は事務処理能力ができるポテンシャルのある人を求めているという試験傾向の変化が原因と思う。

 そもそも在学中受験が始まったのは、予備ルートじゃなくても法科大学院在学受験を可能にすることで卒業と同時に早く修習にいき法曹になることを可能にするためである。すなわち知識理解の大小は求められていない。

 ①問題点に自力で気づき、②大枠を間違えず、③文章の明快さ、④規範を適示し、⑤事実を引用し時間内に書き切る

 これができれば絶対合格できると思う。

自分がどこで詰まっているか考えないと2回目以降も合格できない危険があると思う。僕は①②で詰まっているし何年も改善できていない。ここが乗り切れない限りどれだけ勉強しても合格出来ないと思う。

①はどうしても自分には厳しい、視野が狭いことと状況把握力が原因だと思う。ここをどうするか考えないといけない

 

 あと4回のチャンス…失権が当たり前になっている現在では対策本当にしっかり取らないといけない。自分は筆力には問題がないため視野を広げる訓練をして大枠を間違えないことの訓練をすれば今年不合格でも来年10%の枠に入れるかもしれない

 

後世の司法受験生へ

 

 今年、おそらく不合格の私がいっても説得力はありませんが、R5以降の在学受験が始まった司法の過去問は早めに解いて、合格ラインを取るには何が必要か参考答案、出題趣旨、採点実感を踏まえて事細かく分析して下さい。

 全年度過去問フル起案とかはそこまでやる必要はない気がします。

 若手有利の波に乗れるかどうかや今後の勉強法にも影響あるためこの過去問だけでも早めに解くべきだと思います。皆さんは90%の1回目合格の枠に入って下さい