第1 設問1

 1 BのAに対する請求

  (1)BはAに対して請負契約に基づく250万円の請求をすることが考えられる。これに対しAから本件契約は甲が修理不可能なほどに傷んでいる以上無効なので支払う必要はないとの反論が考えられる。しかし履行不能であっても民法412条の2により有効である以上反論は認められない。

  (2)Aから有効だとしても甲が現に修復されていない以上、金銭を支払う理由はない旨の反論が考えられる。まず民法536条1項の「双方に責めに帰すべき事由がない」といえるか。まずBに帰責性があるか検討する。

 そもそも契約を締結し、取引関係に入った当事者間においては相互に他人の財産、人格を害しない信義則上の義務を負う。そこで適時必要な場合に情報提供義務、説明義務を負う。

 本件でBはAに対し甲につき修復可能なのかと何回か事実確認し「蓋を開けたら修復不能なほどに傷んでいたと言われても知りませんよ」と述べていた。しかしBは専門の事業者で高度の注意義務が求められている。Aは私人でありそれをBは認識していた。Aは標準的な保管方法に反し、Aの返答を漫然と信じるだけで保管方法の指示や甲の状態を確認していない。そこで信義則上の義務に違反する。したがってBには「責めに帰すべき事由がある」

  (3)次に536条2項によりAに「責めに帰すべき事由」があるか。たしかに標準的な保管方法に反し、Bからの質問にも状況を正確に説明していない。しかし私人でありBが確認しなかったことに落ち度があるため「責めに帰すべき事由」はAにない。

  (4)したがってBのAに対する請求は認められない。
 2 いかなる範囲で認められるか

  仮に認められるとした場合の範囲が問題となる。民法416条は相当因果関係の原則を定めた以上1項は通常損害の原則を規定し、2項はその予見すべき特別の事情を定めている。本件で40万円は予見できる以上、40万円の請求が認められる。

第2 設問2

 1 小問1

  (1)DはBから乙を売買契約により購入したことを理由にCに対して引渡を求めることが考えられる。これに対し本件条項(3)を理由にBに所有権がない以上Dには権利が帰属しないとの反論が考えられる。まず本件条項の有効性が問題となる。まず本件委託契約は民法643条により行われている。そして善管注意義務(644条)が受任者に求められている。したがって委任者からの請求に応じて直ちに返還を求めなければならない特約は有効である。

  (2)これに対し、Dは即時取得を理由に引渡を求めることが考えられる。まず民法192条の要件は、取引行為によって、平穏公然善意、無過失、動産を、占有を始めたといえることが必要である。まず無権利者であるBとDとの取引がある。平穏公然善意は186条1項で推定され無過失は188条で推定される。乙は動産である。次に、占有を始めたといえるか。

 そもそも192条の趣旨は真正権利者の権利喪失の犠牲の下、第三者の権利取得の取引の安全を図る点にある。そこで保護に値する物的支配がなければならない。そこで一般外観上、占有状態に変更を来す場合でなければならない。

 本件でBはDに対し、「乙は以後Dのために保管する」と告げており占有改定に当たる。占有改定は一般外観上占有状態に変更を来さない以上占有を始めたに当たらない。

  (3)したがってDは即時取得の要件を満たさないため引き渡しは認められない。

 2 小問2
  (1)DはCに対し所有権に基づく乙の引渡請求につきCからの委託を受けBに売却権限があることから代理行為として有効にBD間の契約の効果はCに帰属し所有権を有すると主張する。

  (2)これに対しCから、Bに対し返還を求めていることにより販売権限を失い無権代理(113条)により契約の効果は帰属しない旨の反論が考えられる。

  (3)これに対しDはBが本件委託契約に基づく処分権限があることを信じていた以上表見代理(112条)が成立すると主張する。112条の要件を検討する。まず、CはBに対し販売の代理権を与えており処分権限も代理権も同じであると考えられるため「他人に代理権を与えた者」といえる。そして代理権の範囲内において行われており、CのBに対する引渡により代理権は消滅している。これに対し、Dに「過失」があったかが問題となる。過失とは注意義務違反を意味するが本問で過失を疑わせる事情はない。したがって112条の要件を満たす

  (4)したがってDのCに対する引渡請求は認められる。                           以上

 

実際修正しまくっているし評価は厳しいと思います。112条の要件検討も雑で設問1の損害についてもよくわかりません。536の債権者、債務者が誰かすら怪しくなっている気がします。

 

追記 F評価 黄色のマークで囲った事項が逆鱗に触れたのかもしれないし、それ以外も明らかに構成がおかしかったのだと思います。

 設問1 原始的不能というワードを出せず、いつの時点の不能か明示していないの痛い 412の2の1項なのか2項なのか曖昧にしていた

 536条出しながら契約締結上の過失を論じるという謎構成かつ損害論を536Ⅱ後段じゃなく415の論パ貼り付けという意味不明なこと 帰責事由のあてはめが妥当でない。

 設問2 即時取得は事実関係を踏まえていない、代理は全く理解していないのを露呈していました。

 

ただ皆の出来も悪いし、危険負担とか代理や即時取得に気づけているしDEで耐えてくれると思ったが甘かったです…

論点とかじゃないです。本当の実力者に点数を与える問題だったため、偽実力者であることがバレたのでしょうね