第1 設問1

 1 検察官の本件住居侵入・強盗致傷の事実に本件暴行を付加して勾留請求したのに対し裁判官は勾留できるか。

  本件で被疑事実に追加して勾留請求が認められるか。

  そもそも刑訴法203条以下が厳格な身体拘束期間を定めた趣旨は、できる限り捜査機関が捜査し起訴不起訴の決定を行う点にある。かかる趣旨から身体拘束期間を濫用して被疑事実に追加することは許されないのが原則である。

  もっともかかる原則を貫くと新たな勾留請求の追加する必要が生じた場合にも一切できなくなり妥当ではない。また被疑者にとって身体拘束期間が有利になる場合もあり身体拘束期間の濫用につながらないケースもある。そこで例外を認めるべきである。

  そこで①一罪の被疑事実の追加であり②勾留請求を追加する必要があり③被疑者にとって身体拘束期間が有利になる場合には適法である。

  本件では、本件暴行と本件住居侵入・強盗致傷は構成要件が違うが顔面を殴打するという犯行態様は同じなので強盗致傷の暴行と本件暴行を同視できるので一罪といえるので①要件を満たす。

  次に実行犯の氏名や住居等は判明していない以上、追加する必要があるので②要件を満たす。

  さらに別々に逮捕勾留するよりも一つの手続で勾留請求する方が実際的で身体拘束期間の点において甲に有利である。したがって③要件も満たす。

 2 したがって勾留請求は認められる。

第2 設問2

 1 裁判官は甲を勾留できるか。

  (1)まず甲は令和4年9月7日に本件住居侵入・強盗致傷の事実で逮捕されているものの28日に釈放されている。しかし10月19日に再び逮捕さえ勾留請求されていることから、再逮捕再勾留にあたる。再逮捕再勾留の適法性が問題となる。

  そもそも厳格な身体拘束期間を法が定めた趣旨から再逮捕再勾留は原則として許されない。もっとも、かかる原則を貫けば捜査の流動性を害する。また、法199条3項、規則143条は再逮捕を予定している。再勾留については明文の規定はないが再逮捕に続く身体拘束であり同様に認められると考えられる。そこで①新事情、新証拠が出現し②再逮捕再勾留の必要性があり③逮捕勾留の不当な蒸し返しにならない場合には例外的に適法である。もっとも再勾留は再逮捕より長期の身体拘束を伴うため③要件については厳格に判断する。

  (2)本件で最初の逮捕勾留時においては実行犯の氏名や住居等は判明していなかった。また、防犯カメラでも実行犯の氏名及び所在も腕時計が甲にわたった状況なども判明していなかった。

    しかし乙が別事件で逮捕されその後の取調べにおいてPに対し本件住居侵入・強盗致傷について乙が実行犯であることを供述している。そして甲との共謀を裏付けるメッセージが記録されていることから乙と甲が共謀し、乙が実行犯であるとの新証拠が出現しているので①要件を満たす。

 次に、本件住居侵入・強盗致傷は刑法130条、240条に規定されているように重大犯罪であり検挙の必要性が高い。また、甲との共謀を裏付けるメッセージのやりとりが記録されている以上甲が本件住居侵入・強盗致傷の嫌疑が高いので②要件を満たす。

 次に、先行逮捕の時点では十分な証拠がなく、新事情の下、ようやく有力な証拠入手により逮捕勾留されており不当な蒸し返しではない。たしかに長期の身体拘束を伴う勾留について単独犯で当初起訴すべきであった以上不当な蒸し返しとも思えるが共同正犯で起訴した方が実行犯でない以上犯情は軽い。したがって当初の逮捕勾留の時点で起訴すべきではなく不当な蒸し返しではない。

 2 したがって裁判官は甲を勾留できる。                                  以上

 

 

 

 

 

論外ですね、Fだと思います。設問1は短答でぱっとみたくらいでどう構成していいかわかりませんでした。設問2で60条を検討しないのは論外かもしれません。時間が足りなくて検討できませんでした。

 

追記 予想通りFでした。設問1の逮捕前置主義落としは致命傷なうえ、設問2の再逮捕再勾留禁止の原則を書かず、再逮捕書くなら分けて書くべきだったし3要件説では2番目の要件が比較衡量というのを理解していませんでした。

 よって妥当な評価ですね