第1 Xの立場から憲法に基づく主張

 1 Xは甲の損害賠償請求訴訟においての証人尋問でインタビューに応じた者の名前を問われたが民訴法197条1項3号の「職業上の秘密」にあたることを理由に証言拒絶権を行使している。証言拒絶権が憲法上保障されるかが問題となる。

  まず、報道の自由は、編集、発表の知的作業を伴い国民の知る権利に奉仕する以上憲法21条1項で保障される。

  次に、取材の自由も報道を為す上で必要なものであり、判例は憲法21条の精神に照らして尊重すると述べているが、憲法21条1項で保障されると考えるべきである。

  そして証言拒絶権を行使できず情報が開示されてしまうとマスコミと取材対象者との間の信頼関係が害され、今後の取材活動に影響を及ぼすため証言拒絶権も取材の自由と同様に憲法21条1項で保障される。

 2 次にXは証言拒絶権を民訴法197条1項3号に基づき行使しているが「職務上の秘密」にあたるか。

  職務上の秘密とは、その情報が公開されることにより今後の円滑な活動に支障が生じるおそれのある情報を意味する。本件で、前述通り乙の守秘義務に関する情報が公開されれば円滑な活動に支障が生じるため職業上の秘密にあたる。

 3 もっとも、職業上の秘密にあたるとしてもそれが保護に値する秘密でなければならない。民事事件の場合には、刑事事件と異なり真実発見の要請は劣る。保護に値する秘密かどうかは、取材対象者の情報を公開する必要性、公開により生じる取材活動の不利益などを比較衡量して判断する。そして本人が開示を承諾している場合や、その対象となっている事件が歴史的にみて重要なものであるといった特段の事情がある場合を除き原則として取材対象者の情報につき拒絶権を行使できる。

 4 本件では、XはB県政記者クラブに出席できず、Xの発表の場は主にインターネットしかなく広告料によって収入を得ていた。そしてインフルエンサーとして認識されつつありXの取材活動の重要性は高い。これに対し、乙は森林破壊が国際的に強い批判を受けているC国から原材料となる木材を輸入している甲社の行為を黙認しておりもし乙の情報漏洩の事実が公開されれば社会的に乙の名誉が低下されてしまう以上公開する必要性は低い。

  また、取材対象者である乙は開示を拒んでいる。また、その事件が守秘義務違反とはいえ歴史的に見て重大な事件ではない。したがって拒絶権を行使できる。

 5 したがって憲法21条1項に基づき証言拒絶権を行使することができると主張する。

第2 想定される反論

 1 仮に証言拒絶権が憲法21条1項で保障されるとしても、甲の取材活動は乙に対し「あなたのその態度が世間にしれたらエコロジー家具の看板にも傷がつく」などと迫っており脅迫行為であり取材活動の方法が社会的に相当性を欠くことから違法であり保護に値せず証言拒絶権をXが行使することができないとの甲からの反論が考えられる。

 2 仮に相当性を欠かないとしても証言拒絶権を行使できるか否かは、取材対象者の情報を公開する必要性、公開により生じる取材活動の不利益などを比較衡量して判断する。

 3 本件で、Xは大手新聞社でなくフリージャーナリストにすぎない。そしてB県クラブに出席権が認められていないように社会的影響力が低いので表現活動の保護の必要性は低い。これに対し、甲は労働者との間で守秘義務契約を交わしており。同契約書には原材料の輸入元を含む取引先の情報は守秘義務の対象となる企業秘密に含まれること、情報は退職後においても開示漏洩又は使用しないことが明記されており守秘義務に反した場合には損害賠償を請求できる。すなわちかかる契約が結ばれているのに乙は違反しておりその態様は悪い。したがって乙の情報を公開する必要性が高い。

 したがってXは憲法21条1項に基づき証言拒絶権を行使できない。

第3 私見

 1 原告の言うとおり証言拒絶権は憲法21条1項で保障される。

 2 次に、職業上の秘密にあたる。

 3 次に、職務上の保護に値する秘密につき、甲のいうとおり取材活動は脅迫行為に当たるので社会的に相当性を欠く。

 4 仮に相当性を欠かない場合、比較衡量して判断する。

  本件で、Xはフリージャーナリストとはいえ、Xの発表の場は主にインターネットで広告料によって収入を得ており、インフルエンサーとして認識されつつある。したがってXの取材活動は保護の必要性が高いとも思える。

  甲の言うとおり、甲は労働者との間に守秘義務契約を結んでいるのにもかかわらず乙は違反しており違反行為の態様が悪い。次に、Xの動画には取材対象者に強く迫る様子が映っており、マスコミ各社が後追い報道を行うようになっており社会的にみて影響力が強くなっている以上、開示の必要性が高い。

 5 したがって証言拒絶権は憲法21条1項に基づき行使できない。                        以上

 

勉強不足です。職業の秘密の定義覚えていない以上、高評価は望めません。3段階審査放棄しました。大体60行くらい?

制約、正当化は無理だと判断しました。

 

職業の秘密は民訴で皆覚えてそうだし、Eと予想しておきましょう。

 

追記 答案のバランスが悪かったけど、なぜか跳ねたAだったみたいです。判断枠組みを理解してポイントとなる事実を書けば跳ねるのでしょうね。憲法21条に基づき拒絶できないなど表現は不適切な部分があったが、それだけ皆ができなかったということでしょうね。