今日、京大に行って成績開示してきた。結果は以下の通りである。

 

 

Ⅰ 成績開示結果

 

 憲法60 行政法30 民法61 民訴25 刑法64 刑訴30 商法55 書類点273.6  計598.6点  120位台だった。

 

 

 

Ⅱ 合格者割合

  233人中101人(内部生93人、外部生62人 ※5年一貫型、3年次卒業含んだ数) 内部生と外部生の合格者人数の割合は約3対2である。内部生、外部生の受験生割合は不明であるが、同じ割合だけ受けていると仮定した場合には合格率は内部生67%外部生33%である。

 もっと確かなデーターを得るため、去年の京大ロー入試を取り上げれば Kさんが30位台で合計点630前半である。 外部生、内部生で書類点30点の差がついているようなのでKさんがもし外部生なら600点台で不合格(この年のボーダーは609前半 合格者は99人)ということになります。 今年は内部外部でどれだけの差が出ているかはデータ上明らかではないが同じだと仮定すると… 内部生は20位台じゃないと外部換算では不合格 外部生で合格できれば内部換算で20位台ということになります。勿論、出願書類の任意提出書類がずばぬけて凄い経歴がある場合には話が別になりますが…とりあえず去年のボーダーが内部で25位と仮定すると74人は不合格なので外部生は特に注意して受けるべきでしょう。ただし後述のように外部生であっても基本部分がしっかりしていたら十分勝機があります。

 

Ⅱ 総合点分析

  今年の合格率は、43%(3年次卒業、5年一貫型除く) だった。去年は38%だった。去年のボーダーは様々なブログから推測するに609前半 今年のボーダーは合格率と私の順位からみるに恐らく605~608くらいだと推測できる。

 

Ⅲ 書類点分析(時間があれば追記します)

 (1)学部成績 よいに越したことはないけれどもあまり重視されていない気がします。したがってGPAが悪くても諦めないことが大事だと思います。

 (2)京大生と外部生の書類点

   まず、京大生と外部生との間で差はつけられていると思います。しかし法律で平均して59~60以上取れれば外部生でも合格できます。データが少ないのでわかりませんが…内部生で1桁前半順位の方は書類点319点だったそうです。外部生では307点の方がいました。もっと皆様開示してください!! なんで273点なんだよ…嫌われているのか?京大と縁がないのか。悔やみきれないです。

 (3)任意提出書類

   書類点の加点要素です。内容次第では外部生でも290、300つく感じです。任意提出書類についてはとりあえず迷ったらすべて提出すべきだと思います。予備試験の短答式の合格通知提出しなかったのですが提出すれば少しはマシだったと思います。予備試験の短答式の合格通知出してたら、ワンちゃんいけてたかもしれません…Aさんは、外部生ですが予備試験の短答式試験だけを任意提出書類で出したところ307点貰えてたそうです。短答合格の加点思っている以上に大きいのかもしれません…

 京大ローは書類点命です。出せる書類は迷わず提出すべきです。それで不利になることはないと思います。私の書類点で合格するにはボーダー608とした場合には、全科目平均60.8点取らないと厳しいです。60点で受からないって…そうならないよう一つ一つ書類は丁寧に書き、提出できる書類は全部出すくらいでいきましょう。多分私の場合はリベンジ受験生かつ経歴の悪さで下げられた気はします。通常なら280はつくと思います…

 

Ⅳ 出題趣旨

  出題趣旨はここに上がっている。いちいち全部は書き写しません。ただ気になったところについて…

 基本的な法律科目に関する基礎的学識を習得し、法的な思考・判断力、理 解・分析力および表現力を備えているかを判定した。

 何故、このような定性的評価がなされているのかじっくり考えるべきですね…出題趣旨落としたから即ダメとかそういう話ではなく逆に拾えていても怪しいところがあれば59以下になると思います。すなわち真の実務家としてどれだけの能力があるかという観点で判定している可能性が高い。真の実力がないと京大ローは太刀打ちできません。京大ローはこの間の女神の教室で報道されていたとおり、司法試験予備試験につぐ難易度でロースクールの中では最高の難易度のローです。そこに受かるのは決して簡単ではありません。特に外部の方はやや不利なので司法試験予備試験最終合格する力をつけるつもりでやらないと厳しいと思います

 

 

Ⅴ 法律科目分析 感想及び敗因分析

  法律7科目は550点満点中 325点だった(得点率59.1%)

 

 

憲法 60点 予想外ですね… 出題趣旨見る限りパブリックフォーラム落としています。また適用違憲のところで明確性の原則を論じるという謎なことをやっています(明確性の原則は文面審査)。また、設問2で国会議員と地方議員との差を出さないといけないと思いつつ、令和2年判決の規範を国会議員のところで書いて地方議員の司法審査は部分社会の法理で否定してしまいました。55切っていると思いました。

 

 多分60でとどまったのは、パブリックフォーラムの配点がそこまで高くなかったことと統治についても最新判例で出来が悪かったことがあると思います。

 よかった点は、設問1のCについて 問題の事実を全部拾って具体的に評価し公安条例事件の規範(警察署長の介入によっても阻止できない緊急状態が生じる場合には規制はやむを得ないみたいなの)を書いたのがよかったのかもしれません。

 また、設問2でも最初に比較で地方議員、国会議員が何故司法審査が制限されるのかで司法権の定義と自律性など序文をしっかり拾ったからかもしれません。あとは弁明の機会の付与と憲法31条について論点書きました。

 書いている内容は頓珍漢だったと思いますが、事実や条文拾って丁寧に書く姿勢が評価されたのかもしれません。何を書いていいかわからない方でも丁寧に事実や条文、判例重視して丁寧に書くことを心がけると点数が取れるのかもしれません。令和2年判決の理解がしっかりできていて明確性の原則をCの形式的正当化で書けば63とか取れていたのかもしれません。

 

行政法 30点 これも予想外に上振れました。訴えの利益の定義と規範を冒頭に書いて回復すべき権利利益について参照条文使って書いただけです。しいていえば無理矢理事実ねじ曲げて処分基準と裁量の論点を書いたくらいです。2ページ書いただけで信用、名誉の判例全く書いておらずどこが評価されたのかよくわかりません。規範を書いたのがよかったのかもしれません。また裁量基準の論点は無理があったけど「できる」という条文の文言に着目して検討しようとする姿勢が多少点数に繋がったのかもしれません。できるという文言書くにしても処分歴があり次の重い処分適用される可能性が高いみたいなことを書けばよかった気はします。そしたら問題文でAの異議に関する事情使えたと思います。

   今年については行政法よくわかりません。1桁台でも26点とかですし…

 

民法 61点 これも上振れました。 

 

  設問1(1)で債権者代位を書いたのがよかったのかもしれません。BとAの時効援用で分けて書けました。ただ、登記請求権を被保全債権として時効援用権を代位行使という書き方はおかしい気はしました。もう少し守れる書き方すればよかったと思います。 設問1(2)では背信的悪意者と転得者についてはさすがに書けました。 

  設問2(1)では要件事実の理解が問われていたと思います。過失について5行くらいしか書けなかったけど、65点取れていると思われる再現答案では評価根拠事実、評価障害事実に分けてCが不動産業者ではないという事実に着目して書いていました。このように要件事実を意識している答案を書ければ高評価に繋がったと思います。 

  設問2(2)では562条1項挙げた上で不適合は数量不足であっさり認定してしまいました。代わりに減額請求の範囲について契約解釈の論点を書いたから少しは点数入ったのかもしれません。催告なしで減額請求可、解除は書けませんでした。建替え可能という事実があるので履行不能解除書くべきでしたね…あとそもそも履行不能といっていいのかよくわかりませんでした。たしかに土地の引渡は履行不能と認定したけど建替可能なのでどうなのかと悩み通常の564条、415条1項の損害賠償を書きました。

   61でとどまったのは恐らく契約不適合責任の理解が皆できていなかった。時効援用権で完成後の承認で知っていたか知らなかったかで場合分けしたがしていない受験生が多かった、過失の認定が雑な受験生が多かったなどがあるのかなと思います。

  65取るには…設問1(1)で登記請求権を被保全債権として…と書くとすれば金銭債権じゃなくてもいいのか?ということをしっかり示すべきですね。また、過失の認定は要件事実を意識する、解除も配点あるはずだし履行不能と明示してしっかり書く、損害賠償請求で何の損害を求めるかしっかり明示するあたりですね…外部生では是非要件事実極めて65以上目指しましょう!

 

民訴 25点 あれえええええ??自己評価からダダ下がりです。説明問題に撤したのが悪かったのかな…あと自白で弁論主義第2テーゼ、証拠共通で第3テーゼ、証拠共通の原則書かなかったのが響いた?当てはめで問いに答えるのが難しく誤魔化した姿勢が悪かったのか…定義、趣旨など丁寧に書いたつもりですが、要件事実など甘いと思われたのでしょうね…あとは考える姿勢が足りず知識ごり押しだから点数悪かったのかな…金銭消費貸借契約などの要件事実について記載殆ど書いてなかったですし…

 

刑法 64点 上振れました。設問1はあまり出来なかったが、設問2がまあまあ書けたからなのかなと思います。設問1は滅茶苦茶難しいです。総論は毎年京大ローは正解筋わからず予備試験よりずっと難しいです。67とか取れている人凄いです。場合によっては事例演習刑法などを自主ゼミ使ってやるのもいいのかもしれません。

 

  設問1 甲の罪責←父に対する詐欺未遂について 実行の着手時期言及 肯定 中止犯論証書いて当てはめ 乙との間の共謀共同正犯 共謀の3要件に当てはめ 共謀OK 実行行為←上乗せ分は否定 正犯意思←立場暴力団といえ対等に接し甲発案 分け前で利益帰属 共犯成立 抽象的事実の錯誤言及(強盗の故意で詐欺の結果)OK 共謀の離脱否定(余事記載?未遂では共謀の離脱ある?)

      乙の罪責←ヒ首のとりたてを強盗にした(恐喝みたいですね…ただ判例知らないと難しいです。反抗抑圧するに足りる暴行脅迫で悩みをみせればよかったと思います) 甲との共謀OK 乙との共謀 単に要件当てはめただけ

      丙の罪責←乙との共謀3要件書いて突っ立っているだけでも共謀認められるのかという問題意識しめしたくらい。

後、書くべきなのは甲の犯罪利用の承継的共同正犯?全く気づかなかった。

 

  設問2  窃盗←条文の要件一つ一つ検討し、不法領得の意思大展開 親族相盗例言及 完璧

      詐欺←実質的損害を欺罔行為で論じるべきだけど変なスイッチ入って別要件で論じるミスした。問研では別要件で書いている例もあるしいいかなくらいでしたが判例に添うべきですね。実質的損害は営業停止の不利益など具体的に書きました。

      保護責任者遺棄←単に遺棄の定義書いて認定しただけでしたが、論点みたいですね。ただこれを書ける受験生は殆どいない気がします。そして生命の危険ないという事実に着目して何故か因果関係大展開という余事記載しました。

      建造物等以外放火←焼損、公共の危険の定義など書いて条文の要件にあてはめ 公共の危険の認識の論点は正確に書けました。

 

 設問1でやらかしてても64取れたのは、皆がとれる設問2が高得点だった、設問1でも実行の着手、中止犯、共謀の要件適示、正犯意思の考慮要素など丁寧に書いたから情けで取れたのだと思います。設問1のような難問が出た場合には甲、乙、丙の罪責の中で何個か配点項目が振られているはずなので加点されるにはどうするか考えればいいと思います。

 

刑訴 30点 少し上振れました。簡単と言われていたけど、令状の事前呈示の原則を趣旨から書いて事実使ったのと必要な処分の定義、当てはめがある程度できていたのがよかったのかもしれません。後は強制処分、任意処分の論証は伊藤塾ので書きましたがそれでもいいみたいです。当てはめで尿の性質に言及して考えを示せば高評価ついていた気はします。単に詐術的な方法行っているという事実に着目して意思決定の自由の侵害を書いてて少しズレました。尿の性質、DNAと同視できるかなど考えを示せれば32点ついてたと思います。後は領置に気づけば33~35点というところでしょうか。

 

商法 55点 設問1(1)重要な事実の開示に触れ、競業取引の規範を趣旨から示しました。当てはめが(2)と差を出せず厳しかったです。損害は423条2項さすがに書けました。 (2)これは会社法事例演習教材やっていないと問題の所在に気づけませんね…条文適示して当てはめただけでした。 

      設問2 論外ですね。支配人の21条は引けたけど21条3項が引けませんでした。多分、難問だと思ってメンタルで失敗したと思いますね。制限っていっていいのか?みたいな変なことを考えた記憶がありすっ飛ばし関係ない23条の検討をしました。皆引けていますね、さすがに。家に帰って落ち着いて考えれば21条3項に気づきましたが悔やまれます。また、着服と書いてあり代理権の濫用をどこで書いたらいいかわからなかったけど請求原因に対する反論で書けましたね… 21条の支配人→許可得ていないけどいいの?23条の要件検討→自ら営業行っている→効果無効→権限なく降り出している偽造手形で8条類推の論点書いたけどクソ外ししまくっていました。

 

 商法は最大の課題ですね。2年連続で苦手克服できませんでした。書き方がわかっていなかったです、、設問1(2)も論点自体は事例演習教材にあったけどそれをやっていないからダメという分析は的外れだと思います。わからないなりにどう書いたら点数貰えるか考えるべきでした…設問2も完全に現場思考なのでこういう問題に対処するには答練や問題演習などで考え方の訓練するしかありません。

 

Ⅵ どうすれば合格点取れたか

  内部生で落ちた方は単なる勉強不足です。問題は外部生です。及第点と言われる60取るのは決して簡単ではありません。本物の実力をつけるしかありません。この論点を拾えれば60点、拾えなければ59点というわけではありません。出題趣旨を見る限り求められている力が単なる論点抽出力ではないからである。自分がどこで論文詰まっているのか考え、論証が記憶できていないなら論証記憶、論点主義の答案になってたりするなら答案構成(ナンバリング、文章の整理など)をやり直すしかありません。しかし最後まで諦めず論理立てて書く訓練を繰り返せば論点多少落としたとしても60つくと思います。後は要件事実の理解の徹底が大事だと思います。

 特に要件事実の理解がすすめば民法、民訴は高得点取れると思います。商法も大外しが少なくなると思います。主張、反論の整理ができるようになるのかもしれません。

 特に民法で65以上取れればかなりのアドバンテージになります。京大ローでは要件事実知っている前提で授業進みます(先輩情報)ので要件事実勉強し予備試験の民事実務科目でA取れるのを目指す気概でやればいいと思います。それくらいの実力がつけば、内部外部問わず京大ローに入った後でも少しは授業の予習復習の負担が減るかもしれません。

 

 私の場合には、会社法の苦手が克服できなかったこと 要件事実の弱さがもろに出た(商法、民訴など)。民訴で考える作業あまりせず知識ごり押しでいった、書類が多分急いで出したのでいい加減だったのかも?これらが敗因だと思います。後は知識、論点の整理が不十分な部分があった、この辺は混同しやすい部分は意識的に整理するしかないと思います。


 予備試験論文に合格できるような力をつけること、要件事実を極める、論理的に筋の通った文章が書けること(ナンバリング、条文重視など)、要件事実の徹底した理解が必要だったと思います。

 

Ⅶ 来年の受験生に向けて

  配点の高い、憲法民法商法刑法で失点すると挽回が難しくなるのでいかに点数を落とさないか考えないといけません。自主ゼミを組むなり京大ローに行っている先輩から情報提供して貰う、沢山答案を書いて(もしくは構成して)見て貰うことが大事だと思います。付け焼き刃や小手先では京大ローは絶対受かりません(特に外部の方)。

  また、早めに過去問は解くべきですね。どれくらいの難易度の問題が出るか、太刀打ちできそうか考えるべきです。出題趣旨については普段の学習で熟読するというよりは司法試験予備試験、旧司法試験、余力があれば司法試験の論文問題の起案なり答案構成して司法試験予備試験最終合格できることを目標にすれば京大ローもついてくるかもしれません。

  頑張って下さい。あと試験で失敗しても諦めないように。相対評価なので失敗したとしても60いっていることだってあると思います。一つくらい55があったとしても62、63があれば挽回できます。書類は注意!雑に書くと点数が下がる危険があり270だと挽回が難しいです。

 

 ここまで読んでくださってありがとうございました。