11月13日に受けた京大ローの商法の再現答案を書きます。正直全然わかりませんし、再現答案書く気があまりないです。再現度は80%くらいだと思います。

 

Ⅰ 設問1の(1)

 (1)BがP社に対し会社法462条1項六号ロに基づき、連帯して金銭の交付を受けた帳簿価額に相当する金銭の支払義務を負うかどうかが問題となる。

  まず、本件計算書類は取締役会において取締役全員の賛成により承認され、定時株主総会に提出されており(会社法438条1項)、同総会に総額1000万円の剰余金を行う議案が提出され可決されている。もっとも、本件計算書類は財務担当取締役Aが、本来分配可能額が0円にも拘わらず1億としており、粉飾して作られているので計算書類が無効であり剰余金配当決議の効力が生じない以上支払う義務がないのではないか。分配可能額を超えた剰余金配当決議の効力が問題となる。

 この点において、454条1項3号では「剰余金の配当がその効力を生じる日」と規定されていることから分配可能額を超えた剰余金配当決議及び配当は有効である前提で規定されていると考えられる。

 したがって、分配可能額を超えた剰余金配当決議は有効である。

 (2)そして、本件剰余金配当は461条1項8号違反であり、462条1項六号ロ違反の責任を負うとも考えられる。

   しかし、Bから、粉飾決算したのはAである以上、P社に帳簿価額相当する金銭の支払い義務がなく462条2項の規定により支払い義務がないという反論が考えられる。

  しかし、Bは粉飾に気づいており異議を述べなかったことから任務懈怠が推定(369条5項)される以上、「職務を行うについて注意を怠らなかった」とは言えない。

 (3)したがって、BはP社に対し会社法462条1項六号ロに基づく金銭の支払い義務を負う。

 

Ⅱ 設問1の(2)

 (1) AのQ社に対する責任について

  会社法423条に基づく任務懈怠責任を負うかどうかが問題となる。まず、「任務を怠った」といえるか。

  任務懈怠は法令定款違反があれば成立すると考えられるところ、本件取引を行ったのはBであるがBに対する監視義務違反(362条2項2号)を理由に任務懈怠が成立しないか。取締役会に上程されていない事項についても監視義務を負うかが問題となる。

 取締役の監視義務を定めた362条の根拠は取締役は取締役会の構成員であることから、取締役会の実効性を図るために相互の取締役の監督機能を果たす点にある。

 したがって、取締役会に上程されていない事項についても監視義務を負う。

 したがって、AはBの本件契約締結についての監視義務があるが、監視義務に違反しており任務を怠ったといえる。

 そして300万円の未払い手数料がQ社に生じており「損害」が発生している。

 そして、Aは、Bの本件取引について財務担当取締役という立場でQ社が本件計算書類を取引の検討材料に用いていたことから本件取引について知ることができた以上、少なくとも過失がある。

  したがって、AはQ社に対し監視義務違反に基づく損害賠償責任を負う。

 (2) BのQ社に対する責任について

  BがQ社に対して423条に基づく損害賠償責任を負うかどうかが問題となる。まず、「任務を怠ったといえるか」。

  Bは、オンライン授業支援業務を行うQ社と本件契約を締結しているが、オンライン授業により生徒が増えることに一縷の望みをかけて締結しており、経営判断原則違反に基づく善管注意義務違反として任務懈怠責任が発生するかが問題となる。

 この点について、経営判断原則の趣旨は取締役が行うありとあらゆる行為が違法であると考えるのは取締役が業務を行うことを萎縮するおそれがあるから責任を限定する趣旨である。そこで通常の経営者の判断を基礎として判断に著しく不合理な点がなかったかどうかで判断すべきである。

 本問では、現在の授業料の収入では秋頃には本件契約にかかる手数料の支払いが滞るのではないかと考えている点については経営判断原則が作用する場面である。

 そして分配可能額が0円の計算書類で倒産寸前の会社が本件契約を締結したら手形の手数料が滞る点については通常の経営者の判断を基礎として著しく不合理であるといえる上、Bも知り得た。

 したがって経営判断原則違反として善管注意義務違反として任務を怠ったといえる。

 そして、未払い手数料という損害がQ社に発生し因果関係もある。

 したがって、BはQ社に対して任務懈怠責任を負う。                                                    以上

 

第2問

 

Ⅰ 設問2の(1)

 EがBに対して手形の支払請求ができるためにはBが手形の支払義務があることが必要である。

 まず、Bは手形金額50万円でCに振りだし、Cは権限がないのにも関わらずDに降り出しておりDから譲渡受けていることからCD間で手形の権利移転効が生じない以上、Eは有効に手形を取得できずBに手形の支払い義務がないのが原則である。

 しかし係る原則を貫くのであれば取引の安全を害する。そこで権利外観法理を適用して支払い義務を肯定できないか。

 そもそも権利外観法理の趣旨は、虚偽の外観作出者の帰責性の元、虚偽の外観を信頼した者を保護する点にあることから①虚偽の外観が存在し、②外観作成者に帰責性があり③外観を信頼した場合にはじめて権利外観法理により手形取引を有効にできると解する。

  これを本問についてみると、支配人の名称が付されており、支配人は裁判上、裁判外すべての行為をする権限がある以上(商法21条)、手形権利が発生しているとの虚偽の外観がある。そしてCには名称を付した帰責性がある。これに対してEが善意であればCD間の取引が有効であり、Bに対する支払い請求が認められる。

Ⅱ 設問2の(2)

 EのAに対する請求が認められるためにはAに手形の支払い義務があることが必要である。原則は、CD間の手形権利移転効が生じていない以上、Eは有効に手形を取得できず請求できないのが原則である。もっとも係る原則を貫くなら取引の安全を害する。

 AはBに対して営業を行うことを許諾しており商法14条に基づく責任を根拠に支払い義務を負わないか。

上述の基準で判断する。

 Bは商号を直接使用していないことから商法14条を直接適用できない。しかし同条の趣旨が権利外観法理にあることから①虚偽の外観があり②外観作出に帰責性があり③第三者が信頼している場合には支払い義務を肯定すべきである。

 まず山田山洋菓子という名称の虚偽の外観があり、Aは名称を用いて営業を行うことを許諾しており帰責性がある。したがって、Eが外観について信頼している場合に限り支払い義務を肯定できる。

 したがって以上のような場合にはEはAに対して支払い請求できる。

Ⅲ 設問2の(3)

 EはCに対して請求できるか。裏書に手形行為独立の原則が適用されるか問題となる。

 手形行為独立の原則の趣旨は手形取引の安全を図り政策的判断を図る点にあるから裏書に適用されないなら手形行為独立の原則は適用できないなら7条の適用場面が低くなる。したがって適用される。

 CがDを支配人として登記した場合には、虚偽の外観がありCに虚偽の外観作出の帰責性がある以上、請求できる。

                                                                               以上

 

本件の論点は、462条1項8号、429条2項、裏書の連続、手形と名板貸責任、裏書の連続、表見支配人です。ボロボロ落としすぎですね…

 

 

手形は論文マスターやっても全然わからないし、論理に混乱が生じています。会社法2問目も大外しになっているような気がします。今考えてテキスト見ても何が正解か全然わかりません。