こんにちは。

 

前回、成年被後見人(サポートを必要とする人)も、印鑑登録が可能になった件を書きました。

 

これは、昨年6月 「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」 (※以下、整備法)が公布されたためです。

 

欠格条項による制限

 

今まで、成年被後見人等(成年被後見人・成年被保佐人)になると一部の職業や資格を取得できないなどの制限を受けてきました。

職業や資格につけない「欠格条項」として、成年被後見人や成年被保佐人であることが法令で掲げられていたためです。

 

具体的には、医師や士業(弁護士・税理士・司法書士など)の資格や、貸金業や古物営業などの営業許可において、成年被後見人等であることが「欠格条項」とされていました。

 

整備法の内容

 

今回の整備法では、数多くの法律で規定されていた成年被後見人等に係る欠格条項を一律に削除し、資格等に相応しい能力の有無を「個別的」「実質的」に審査・判断する仕組み(個別審査規定)へと改めるものです。

 

今後は、成年後見制度の利用を必要とする方が、「制度利用するだけで、直ちに欠格条項による失職や資格の剥奪をされる」ことを心配することなく、制度利用を検討できるようになります。

 

公布年月日 令和元年6月14日
施行年月日 一部の規定を除き、公布の日から起算して3か月(9月14日)または6か月(12月14日)を経過した日

 

主な改正対象

 

整備法の改正対象は、187の法律です。下記のようなものがあります。

 

(公務員等)国家公務員法、自衛隊法等
(士業等)弁護士法、医師法等
(法人役員等)医療法、信用金庫法等
(営業許可等)貸金業法、建設業法等
(法人営業許可等)銀行法、信託業法等

 

なお、「会社法」では、取締役等取締役,監査役,執行役及び清算人)の欠格条項として成年被後見人等が規定されています。

しかし、今回の整備法に「会社法」と「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」は含まれておらず、今後の会社法の改正と併せて欠格条項の見直しを行うべく検討が進められています。