32-1. 登記識別情報の「失効制度」とは
登記識別情報は、情報であり、登記名義人が物理的に破棄する事が出来ない。そこで、登記識別情報を盗みとられた可能性がある場合や登記名義人が希望する場合には、これを利用した不正な登記申請を防止するために、登記識別情報を「失効」させる制度である。
32-2. 「失効制度」の申出
(申出の方法)
電子申請または書面申請
登記識別情報を併せて提供する必要はない。
(申出が出来る者)
登記名義人、相続人その他の一般承継人
代理人よる申し出も可能。
※参考 不正登記防止申出は原則として代理人による申出不可。
(添付書類)
①印鑑証明書(3カ月以内)
②法人の場合は、資格証明書
③代理人による申出の場合は、代理権限証書
※不登規65条※(登記識別情報の失効の申出)
1項 登記名義人又はその相続人その他の一般承継人は、登記官に対し、通知を受けた登記識別情報について失効の申出をすることができる。
2項 前項の申出は、次に掲げる事項を内容とする情報(以下この条において「申出情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
- 一 申出人の氏名又は名称及び住所
- 二 申出人が法人であるときは、その代表者の氏名
- 三 代理人によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名
- 四 申出人が登記名義人の相続人その他の一般承継人であるときは、その旨及び登記名義人の氏名又は名称及び住所
- 五 当該登記識別情報に係る登記に関する次に掲げる事項
- イ 不動産所在事項又は不動産番号
- ロ 登記の目的
- ハ 申請の受付の年月日及び受付番号
- ニ 次項第一号に掲げる方法により申出をするときは、甲区又は乙区の別
3項 第一項の申出は、次に掲げる方法のいずれかによりしなければならない。
- 一 法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使用して申出情報を登記所に提供する方法
- 二 申出情報を記載した書面を登記所に提出する方法
4項 申出情報の内容である登記名義人の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないときは、申出情報と併せて当該登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更又は錯誤若しくは遺漏があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報を提供しなければならない。ただし、公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報を提供すれば足りる。
5項 登記名義人の相続人その他の一般承継人が第一項の申出をするときは、申出情報と併せて相続その他の一般承継があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報を提供しなければならない。ただし、公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては、これに代わるべき情報を提供すれば足りる。
6項~11項省略
※不登準則39条※(登記識別情報の失効の申出)
- 1項 登記官は,登記識別情報の失効の申出を受けたときは,受付帳に当該失効の申出に係る受付番号を記録する方法により受け付けなければならない。
- 2項 登記官は,前項の申出があった場合において,当該申出を相当と認めるときは,登記識別情報を失効させる措置を採らなければならない。
3項 前項の措置は,当該失効の申出の受付の前に同一の不動産について受け付けられた登記の申請がある場合には,当該申請に基づく登記の処理をした後でなければ,することができない。