士業・法務担当者のための登記パートナー 司法書士・行政書士の大越です。
今週、様々なブログをにぎわしているテーマがコレ。
「濫用的会社分割に対し、詐害行為取消権の行使を認める最高裁判決が出ました!」
そう。遂に出たんです。
東京の方の事例は当事者が上告をしなかったので確定していたのですが、
大阪の方の事例は、当事者が上告をしていて、最高裁判所に係属されていました。
私が、今年の初めに「濫用的会社分割と詐害行為取消権」をテーマに研修講師をしたり、
論文を書いたりしていたときも、結果はずっと出ておらず、動向に注視しよう!
と促してきましたが、ココに来てようやくです!
それが、コレ↓
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82628&hanreiKbn=02
(最高裁判所のHP)
一つ前の大阪高裁の判決が出たのが平成21年の12月だから、そこから約3年。
ずいぶん空きましたね。しかもなぜこのタイミング。。
会社法制の見直しの中で、濫用的会社分割に対する新対処法(詳細はまた今度解説します!)
も導入される可能性が十分あり、その審議が一応こないだ終了して、
次は、国会へ!
という状況だからかな。具体的に改正を国会で審議する前に、
この判決を出すことによって、濫用的会社分割への対処の
重要性を議員にも分かってもらおうという、意図があるとかないとか。
と邪推したくなるタイミングですね(^_^;)
判決の中身、実はまだ忙しくてほとんど読めてません・・・。
本当は検討して、評釈述べようかなと思ってたけど、
それは、おそらく判例時報と
かタイムズとか旬刊商事法務とか
で、どこかの学者や弁護士が来月以降一杯論文
が出されるだろうから、それを見てから自分の意見も考えよう。
私のとこにも原稿執筆依頼来ないかな。来ないだろうな(笑)
いずれにしろ最高裁の判決が出たということは、
よりこの問題に対する注目度が高まるということですから、
我々司法書士としては、単に登記だけアドバイスしてれば
という時代じゃないですよね。
スキーム全体に目を向ける力を養わないと。
ざっと判決を見た限りだと、今までの地裁・高裁レベルの考え方を
概ね踏襲しているという感じかな。
この大阪の事例を基にした判決は、東京の事例と違って、
不動産の移転登記を取り消す、現物返還の事例だから、
厳密には価格賠償まで踏み込んだ事例ではないけど、
それでも、詐害行為取消権の行使自体は認められる
という結論になりそうですね!
金融円滑化法が終了すれば、支払ができなくなる企業が
→会社分割を使えば破産をしなくても債務を免れ会社を守れますよという誤った理解を与えるコンサルタントに相談
(もちろん「いい会社分割」なら問題ないのですが。)→
結果、詐害行為取消権や否認権の対象となり、訴訟等に巻き込まれ悪循環に。
というスパイラルにならないよう、我々専門家である司法書士が中小企業の
適切な相談・指導の窓口となれるよう、世間にアピールしなきゃですね!