士業・法務担当者のための登記パートナー 司法書士・行政書士の大越です。
「士業・法務担当者のための会社法制の見直しのポイント」
現在、法務省で改正が審議されている会社法、主に上場会社向けの改正を予定していますが、いくつかは中小企業にも影響のある改正も予定しています。
具体的な改正時期はまだ未定です、改正内容も確定していませんが、要綱案も発表されているので、近く改正されるでしょう。
そんなときにあわてず対処できるよう、ちょこちょこ不定期に情報発信していこうと思います。
第2回は、引き続き中小企業向けのポイント、「総数引受契約に関する改正」についてです。
現在、法務省で審議されている内容は、コチラ。
● 募集株式が譲渡制限株式である場合等の総数引受契約
募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合(第205条)であって,当該募集株式が譲渡制限株式であるときは,株式会社は,株主総会の特別決議(取締役会設置会社にあっては,取締役会の決議)によって,当該契約の承認を受けなければならないものとする。ただし,定款に別段の定めがある場合は,この限りでないものとする。
(注) 募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合(第244条第1項)であって,当該募集新株予約権が譲渡制限新株予約権であるとき等についても,同様の規律を設けるものとする。
今の会社法だと、総数引受契約を締結する場合、募集事項の通知・割当手続が省略されるため,登記手続は譲渡制限株式を発行する場合でも割当者を決定する議事録の添付は不要です。
総数引受契約に関する記事は、会社法入門第16回の記事を参照ください。
http://ameblo.jp/shoshi-ohkoshi/entry-11152932571.html
会社法上は解釈に争いがあるものの、登記手続上も会社法の条文上も不要とされているので、割当者を書面上記録せず、増資をするケースも多いでしょう。
今回は、それが改正された場合には、必要となるという話。
総数引受契約をする場合もその旨を総会又は取締役会の承認が必要となります。
実際には募集事項決定の株主総会の時点で、割当先は決まっていることがほとんどでしょうから、それほど支障がないかもしれません。条件付で総会議事録に割当先を記載すればいいでしょうから。
でも、注意点が1つ。このまま文理解釈すると、取締役会設置会社の場合には、取締役会の決議で承認をする必要があり、株主総会で決議をしても不可ということになります。
そのため、登記申請時に取締役会議事録という書類が余分に増えることになるし、取締役会を開催しなければいけないでしょう。これはちょっと面倒かも。
まあ、本来は株主総会を招集するために取締役会が必要で、その際に条件決議をすれば、余分な取締役会が不要となるかもしれませんが。
でも、株主1名だけど、取締役会はあるみたいな昔ながらの会社だとちょっと面倒かもですね。
定款で調整できるみたいですし、会社法が改正されたら、また定款の見直しが必要になるかな(#^.^#)