Chapter 05 悩んでるのはあなただけじゃない!
弱点を認める勇気

あなたは自分の弱点を知っていますか?そしてその弱点を人前で言えますか?

「めちゃイケ」という番組で、2010年に新メンバーオーディションを行った。

そこにダイノジというコンビが出ていて、最後の10組に残った。

このダイノジ、ツッコミの大地とボケの大谷ともに僕と同じ年。僕と二人との付き合いは8年ほど。特に大地君は、彼と出会ったことで妻とも出会えて結婚できた。家では夫婦で大地君のことを「神様」と呼んでいる。

芸歴は18年近くになるであろう彼ら。先輩も同期もそして後輩もどんどん売れていった。

そんな彼らにビッグチャンスが来たのは数年前。大地君がエアギター世界選手権で優勝した時だった。しかも2年連続。

だが、その時、大地君だけちょっとテレビに出たものの、チャンスは過ぎていった。


そのチャンスを逃し、大地君がどれだけ焦り、悩んでいたのか、僕は飲み屋でたまに聞いたこともあった。不思議なのがコンビってそういう思いを相方に言えなかったりする。


そんな彼らがめちゃイケオーディションで最後の10組に残った。

3次面接は白紙の手紙を読み、自分たちのピンチについて語る……という内容だった。1次、2次と大谷君の指示で大地君がギャグをするというプレーで勝抜いてきたが、3次では迷わず大谷君が手紙を読んでいた。


白紙の手紙で大谷君は告白した。


大地君がエアギターで世界選手権を取り、一人でテレビに出始めた時に嫉妬してしまい、その嫉妬のせいでせっかくのチャンスを潰してしまった、と。

大谷君は一言で言えば非常にプライドが高いタイプの芸人だと思う。わかっていても負けは認めたくないタイプというか。

実は、僕もそう感じていたし、彼らの周りにいた人もわかっていたと思う。大谷君が告白していたことを。

自分の弱点って意外と自分でわかっていることも多い。でも、若い頃はまだいいが、年を重ねてくるとそれを認めたくない自分もいる。

自分の弱点に気づくだけで発見。それを認めることで勇気。しかも、それを公言することで大きな勇気とたくましさを手に入れる。

テレビで自分の弱点を言うことって、恥ずかしいことだし、そうそうできることじゃない。

それを大谷君はやった。38歳という年齢で。大谷君のその勇気にテレビの前で涙しちゃった。

ダイノジはとんでもなく大きな武器を手に入れたようだ。


僕も自分の弱点を言えるようにならねば……


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