人生ゲームのダンジョンで、万策尽きた時の最終兵器 | 魔法の言霊――寿詞(よごと)説法師が贈る人生のヒント

魔法の言霊――寿詞(よごと)説法師が贈る人生のヒント

おめでとうございます!

『魔法の言霊(東方出版刊)』の著者・橘月尚龍です。
ボクが、この本を上梓したのが2002年――
それから世には同様の表現があふれて玉石混合で、
わけ分からん状態になってます。

そこで本家としてのメッセージを発信することにしました。

 あなたが神さまコンビニに並んでまで買った人生というゲームには、それはもう、さまざまなダンジョンが仕掛けられている。
 そして、これまでで敵キャラも分かったし、持っている武器も知った。さらに各ダンジョンでのボスキャラの属性についても理解した。

 ところがである。
 敵キャラを分析して、持っている武器を使いまくり「もうこれ以上ない」ところまで奮闘したにもかかわらず、どうしてもクリアできないケースがあるのだ。そんな時にパワーを発揮する最終兵器を紹介しよう。

 いつもの著書『魔法の言霊(東方出版刊)』からの引用――

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 この章の最後に、あなたに究極の破壊力を誇る武器――最終兵器を授けよう。それは「イメージの魔術、祈り、そして……笑い」だ。ただし、これらは、ここまでで述べた「こころの武器」のうえに成り立つ武器だ。あなたのこころがクリアでないと充分機能しない。もちろん、まったく機能しないとはいわないが、最終兵器といえるほどのパワーを発揮することはできない。そのことをしっかり認識して使ってもらいたい。

イメージの魔術
 イメージ――想像のこと。あなたは、あなたが想像したとおりの人間になれるし、想像したとおりのことを引き起こすことができる。

 こんなことを考えた経験はないだろうか? この世に存在するすべてのものは、最初はだれかの頭の中にあったってこと。例えば、あなたが毎日使っているコップ。それは買ったものか、もらったものかは別にして、だれかがつくったものだ。いきなり、あなたの前に出現したものじゃない。最初は、つくったひとの頭の中にあった。サイズはどのくらいにするか? 素材は陶器がいいのか、ガラスがいいのか? 容量はどのくらいがいいのか? 色はなに色がいいのか? デザインはどうするのか? 取っ手や飾りをつけるのか? といったことをだれかが考えた。そして、絵に描くのか、いきなり制作にかかったのかは分からないけれど、そのコップをつくったのだ。そしていま、あなたの手許にある。

 ……中略……

 同じことは人間にもいえる。あなたは、なりたいひとになれるのだ。ただ人体は生ものなので旬があるけど――つまり、七五歳のお年寄りが、いまからオリンピックの選手になるのは旬を逃しているのでむつかしい。でも、たいていのことはできる。たいていのものにはなれるのだ。

 そのために最も重要なことはイメージだ。深く深く想像することで、あなたはなんにでもなれる。そのイメージを言霊に乗せることで、なんでもできるのだ。ありありと思い描くこと……それもサクセスイメージを。サクセスイメージとは、そうなった未来をいま鮮やかに思い描くことだ。別名「つもり」の魔術だ。

 ……中略……

 これから、あなたが言霊を発する時も、このイメージは絶対に必要な武器である。なんとなく発した言霊は単なる言葉の場合が多く、それを言霊化するには、強い思い=具体的な実現イメージの裏打ちが重要になる。あなたが鮮明に思い描いたイメージこそが、その魔術を発揮してくれる。

祈り
 第二章のアジナ・チャクラのところでも「祈り」は宗教団体の専売特許じゃないと話した。ここで再度、取りあげるのは、それほど重要な武器だからである。
 あなたがプレイしている人生ゲームは、あなたが神さまから手に入れたものだ。ということは、神さまがわざわざ、あなたのためにプログラミングしたものである。もちろん、神さまも全面クリアを願っているだろう。
 でも、今世において、あなたは初心者だ。前世では、どんなに達人であったとしても、たいていの場合、その記憶はない。当然のことながら、途中で分からなくなることも多いだろう。そんな時のために、神さまは、リファレンスを用意した。コンピュータでいうなら「ヘルプ(Help)」だ。それが「祈り」である。
 ただ、この「祈り」というヘルプ機能は、あなたがトコトン考え得る限りの手を尽くしたのちでないと開くことができない。なんとはなしに開いてみても、ヒント程度しか載っていない。
 ちょうどカーソルでオブジェクトを選択してからでないと、コマンドを実行しても、なにも起きないのと同じだ。つまり、コンピュータ(ワープロ)で文字を倍角にしたい時、いきなり倍角コマンドを選択しても、なにも起きない。コンピュータでは「どこから、どこまで?」と訊いてくれるやさしいソフトもあるが、神さまの「祈り」コマンドは、残念ながら、そこまで初心者向けにできてない。

 あなたが、やれるだけのことをして、考えられる限りの挑戦をしたのち(これがオブジェクトの選択だ)、懸命に祈ることで、あなたに奇跡をもたらしてくれる。むかしから「人事を尽くして天命を待つ」というが、この天命を引き出すのが「祈り」だ。
 なにもしないで、ただ祈っていても奇跡は起きない。これ以上することはないというところまで行動し、言霊を発し、万策尽きたのちの「祈り」は奇跡を呼ぶ。

 宗教に狂信してしまうひとは、祈っていればなんとかなると思っている。あなたが神さまの立場になってみれば分かると思う。なにもせずに「助けて、助けて!」といわれたら「おまえなあ……」っていいたくもなるだろう。
 ボクは大阪に住んでいるんだけど、大阪には商売繁盛の神さまを祀る戎(えびす)神社、通称「えべっさん」というところがある。この神社では年に一回、一月の九日(宵戎)、十日(本戎)、十一日(残福)の三日間にわたり大祭が催され、おおぜいのひとが詰めかける。でも、だれも恵比寿神の気持ちを考えていないとボクは思う。日頃は神社の前を通りかかってもハナもかけないくせに、その三日間だけは徒党を組んで押し寄せ、遠くから賽銭といってお金を投げつけ「今年は大儲けさせてや」と虫のいい願いごとをしていく。さらに昨年にご利益(りやく)を感じなかったひとは裏に回って、裏戸をドンドンッとたたき(裏参りという)、耳が遠いとされる恵比寿神に「今年は頼んまっせ!」と願いごとをしていく。ほとんど脅迫だ。ボクが恵比寿神なら、神殿から飛び出して、かたっぱしから殴ってやるけど……神さまというのは、ホント温厚だと思う。

 だけど、それだけじゃご利益は、やっぱりないみたい。だって自分自身の努力の先にしか奇跡は訪れないのだから……。懸命の努力ののちの「祈り」こそが、奇跡を生むのだ。だから、あなたも、この最終兵器を使う時は、しっかりチェックしてから使ってほしい。

笑い
 これこそ人間にだけ許された特権だ。そして最高のコミュニケーション手段であり、あなたが、ひととの関係を結ぶ最終兵器だ。
 人間には喜怒哀楽がある。素敵なことだ。とりわけ「笑い」は素晴らしい。あなたは、笑っている犬や猫や馬や牛や豚や……を知っているだろうか? ボクは知らない。笑いを失った人間は、歌を忘れたカナリヤといっしょだ。でも、この社会、ほとんどの場所で笑いが禁じられている。悲しむべきことだ。

 例えば学校の教室、例えば仕事場、例えば国会……。笑うことは不真面目とされるようになってから人類は不幸になった。学校が笑いであふれたら登校拒否もイジメもなくなるかも知れない。仕事場が笑顔で満たされたら、もっと素晴らしい仕事ができるだろう。国会が笑いに包まれたら、国民はもっと政治に関心を示し、国会議員は与党も野党も力を合わせてもっと国民が笑えるような政治をするだろうとボクは思う。

 笑いは、ひとを惹きつける。日本神話で、天の岩戸に隠れた天照大神を引っぱり出したのも、ドンチャン騒ぎをした神々の笑い声だ。七福神のひとり、布袋(ほてい)和尚は、いく先々で説法をせずに、ただ大声をあげて笑った。なにごとかと周りに集まったひとに笑いはつぎつぎと伝染し、ひとびとは「なんで笑ってるのだろう?」と思いながらも笑った。そして布袋の来訪をこころ待ちにしたという。この布袋は弥勒(みろく)と同一とのこと。いずれ訪れるとされる理想の世界を弥勒世ということから、理想郷は笑いの世界ということになる。それほどにまで、笑いは重要である。

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 これらの最終兵器は、マンガ映画『宇宙戦艦ヤマト』の波動砲みたいに絶大な威力を有する分、エネルギー充填に時間がかかるわけ。トコトン、打てるだけの手を打って、やれるだけやってみてからでないと充分な威力を発揮しない。
 もちろん、日常的な武器にもなるけれど「それなりに……」という域を出ない。なので充分なエネルギー充填と一気放出の爆発力が必要なんだ。
 だから最終兵器となり得るわけである。